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赤い電車。

京急は思い出の電車。

20代の初めに好きだっだ人に会いに行くのに乗っていた電車。ガンガン飛ぶように疾る赤い電車の先頭に乗って都会の風景から海辺の街の風景に変わっていくのが最高に楽しかった。

もちろんその頃にこの曲はまだ世の中にはなくてアタシのカセットには渡辺美里とか大江千里とか。

その頃の恋愛にはいつも今しかなくてそから先の未来なんて考える必要もなく、その時の今に夢中でそれでよかったから気持ちや関係が長く続くことはなく。そういう気持ちや関係の中にいる自分が好きだっただけだから。

そのせいでその短い時間の音や匂いや景色が濃縮されたままカプセルになっていて、すれ違う人や街の香りとか音とかニュースとかでそのカプセルのスクリューが不意に緩んで脳の深いところが揺れてその時のあの時に連れ去られる。

赤い電車のニュースは大変な出来事を伝えていたけれど。


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