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SaasとExcelとその間

私が製造業に携わっていた頃、生産技術が新しい図面共有システムを導入していました。客先や現場の要望に応じて図面の書き直しを強いられる生産技術にとっては待望のものだったと思います。

しかし、そのシステムはほぼ死蔵してしまうことになってしまったようです。なぜ又聞きのような形になっているかと言えば、同室である品質管理部にExcelのアドバイスに行った際に話のついでに聞いたからです。

死蔵した理由は「使いづらい」の一言でした。この言葉を額縁通りに受け止めると今で言うUX,UIが悪いという事になりそうですが、彼らの性分を知っている身としては「親しみを覚えなかった」と勝手に翻訳されました。

多分、生産技術は説明だけしていたのでしょう。また、同室なのだから話しかけてくれるだろうとも思ったに違いありません。

Excelも使いこなしているとは言えない人々にとって、プログラムを説明だけで使いこなせる筈はありません。ましては苦手意識があり、大なり小なり利害関係にある場合は質問をすること自体億劫になるものです。そんな中、導入したシステムに不具合があれば、一気に排除の動きとなります。

生産技術が導入したシステムも同じ憂き目にあったようでした。ただ、そんな彼らもExcelに関しては別でした。当時、私がほぼ覚えたてだったVBAを使って作ったツール類も普通に使ってくれていたからです。

日頃、利用しているExcelには親しみがあり、自分が知らない事をしている人には自分もできるかもしれないという期待もあるのでしょう。

この感じは他の現場や会社でも同じだったように思えます。「あいつはExcel使える」はある意味で通行手形のような振る舞いをすることに気づきました。

Saasを含め、ITツールが目指すべきはExcelのように親しみを持ってもらうことなのでしょう。勿論、事実上のデファクトスタンダードになるのはかなり難しいとは思いますが別の方法で親しみを演出することは可能だと思います。

アフターケアだけでなく、常駐するスタッフを置いたり、あえてExcelを補完する技術を開発するなど。

因みにFormeは後者を選びました。便利かどうかの以前に簡単な説明で使い始めることができ、試行錯誤が簡単にでき、失敗してもすぐ元に戻せる。これも親しみを持つ事のできる行動のひとつではないでしょうか。

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