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ゼロから始めるメカヘッド制作 - 後編 -

 「メカヘッド」と言うジャンルをご存知でしょうか?  
 知らない?それも結構。知っている?それは素晴らしい!
  
 この記事は、筆者がそのメカヘッドを作った経験談です。  
 どういった所で詰まったのか、どういった所で迷ったか、  
 人が苦悩する所が大好きな人に向けて書くエンタメよりな記事です。  

 この文章の中身の傾向としては………   
 「3Dプリンター」「fusion360」「メカヘッド」  になると思われます。
 どうか所々ゆるい文章を見てってください。
   
 ※『あくまでも個人の体験談です。悪しからず』※  
 ※この文章は『後編』です。是非とも『前編』からお読みください※  
 ※前・中編と比べて、もっとも筆者がボロボロになります※  
 ※この記事は『PCブラウザ』から見る前提でレイアウトしています※


【6】準備 :完成3Dモデルを……ブッタ切る!!

 物騒な物言いですが、要は3Dプリンターで印刷するための準備です。
 前章で完成した3Dデータですが、まだ3Dプリンターで印刷できません。
 正確には『やろうと思えばできる』けど現実的じゃない感じです。
 
 (※3Dプリンターによって個体差がありますが、それは次項で)

 なので、まずはパーツに分割して印刷可能?位の状態にしておきます。 
 現状ではまだ印刷する3Dプリンターを持っている人は少ないので、
 パーツ分割(参考書通り作っていれば大まかな分割はされている)
 は実は大きさなどはこの段階ではあまり気にしなくてもいいです。

 ただ、3Dプリンターを導入してからこの項に戻ってくるかもしれません。
 少し先の話になりますが、買ったプリンターの印刷スペースが狭いとか、
 印刷スペースが狭いとかの問題があるかもしれません。



【7】選択 :3Dプリンターッ、君に決めた!

 てなわけでここからは相棒となる、3Dプリンター選びのお時間です。
 (※ここから3Dプリンター関係の話が続きます※)

 参考書でも触れていますが、基本的に3Dプリンターには二種類あります。


 FDM式(熱溶解積層方式)と言われているものと、
 SLA式(光造形式)と言われる二種類があります。


 正確には双方ともに複数あるのですが、今回は関係ないので割愛します。

 まず結論から言うと、前者のFDM式(熱溶解積層方式)をお勧めします。
 というより、選択肢としてはコレしかありえないレベルです。
 強度と印刷時間を両者で比較・考慮をした上で光造形での印刷となると、
 よほど金と時間が有り余っていて、それでいて強度なんざ関係ないという
  強い覚悟が必要になりますので、断然『FDM式』です。はい。一択です。

 ではプリンターの選定基準ですが、細かい数値等は参考書にあるので、
 個人的なお勧めとして、『ender3 V2』を挙げます。
 このプリンター選定基準としては、『社外パーツがぶっちぎりで多い』
 『トラブルシューティングが多い』『ほとんど弄る必要がない』
 『印刷ステージが200mm以上あって大型のものが印刷できる』
 となります。ですが個人的には、

 『最新のenderシリーズ』買っとけば、ハズレの確率はグッと減るよ。

 ぐらいざっくりと言ってしまいたいのが本音です。

 ついでにフィラメント(3Dプリントに必須の材料)でお勧めとしては、
 SUNLUとPolymakerのPLAフィラメントです。

 塗装をしないのであれば複数色を買ってパーツごとにフィラメントを
 変えればパーツの色を変更ができるので色替えにもチャレンジ。


【8】洗礼 :灼熱!3Dプリンターとその他の洗礼

問題が山積みな様子

 ender3 v2も届き、組み立てからテストまで終了したMμLT1ですが、
 合計して7つの問題に直面し、前者の2つに関しては体調とメンタルに
 著しいダメージを与えたのでここで微力ながら注意喚起です。
 


 1. 夜通しの3Dプリンター稼働で部屋が暑く、体調管理が難しい
 2. 3Dプリンターの駆動音がやかましいので寝るのに慣れが必要
 3. 印刷のステージが小さく、スライスができない
 4. 印刷物の底(ステージに接触している部分)が何故か反る
 5. プリント終盤で印刷物がステージから剥がれる(印刷失敗)
 6. 印刷しているのにフィラメント(材料)が出てこない
 7. 印刷途中でフィラメントがスプールで何故か絡まる



 【 トラブルナンバー1・2 】

 まず『1・2番の暑さ問題、騒音問題』ですが…………
 申し訳ないのですが、
 気合で乗り切ったのでコレと言った対策はしていないです。
 ただただ苦しんで乗り切りました。
 
 個人的な持論ですが、お金をかけないという制約があるなら、
 『FDM式のプリンターは極端な温度変化をさせない』
 ほうが良いと考えているので暑さは我慢するしかないと思っています。
 対策というわけではないですが、印刷も残りわずかとなったくらいで
 一日一パーツ印刷できればいいか、くらいの気構えでいました。
 おはよう御座います→プリンターで印刷開始→仕事→帰宅してできている
 最終的には上記のサイクルになってました。

 
 3Dプリンターを生活スペースで夜通し稼働させると暑さ・騒音問題は
 残念なことに常に付きまとうでしょう。
 ender3V2に関しては静音化されていても耳障りだなと思うレベルなので、
 壁が薄い所にお住まいの方は深夜稼働するなら苦労するかもしれません。


 【 トラブルナンバー3 】

 次に『三番の印刷のステージが小さくスライスができない』問題ですが、
 コレは単純にもとのデータを更に分割して個別に出力し、
  パーツが出揃った所で接着剤で接着するという工程を挟みました。
 パーツの大きさ的にどうしてもプリンターで印刷ができない時の苦肉の策
 なのですが、分割してなくいいのなら分割はしないほうが良いです。

 今回は塗装することが前提なのでどうとでもできるのですが、
 無塗装となると接着面が非常にみっともないので分割する際は
 最終的な仕上がりをイメージするのが良いでしょう。

 PLAタイプのフィラメントを使っているなら接着剤は断然こちらがお勧め


 その名も【アクリルサンデー】
(結構有名なので検索すると一発で出てきますので何卒……)

クソデカ写真のアクリルサンデー見本


 溶解してガッチリ固定するタイプで、強度必須のメカヘッドにはお勧め!


 【 トラブルナンバー4 】
 
 印刷物の底(ステージに接触している部分)が何故か反る問題
では
 想像がつきにくいかもしれませんが、FDM式では印刷中のモデルが、
 湿度やステージの温度・フィラメントの吸着度合いなどの様々な原因で
 印刷物が『物理的に反ってしまう』ことがあります。
 平面の板を印刷したら妙に反っている板ができたなんていい例です。

 コレこそ原因が多種多様にあるのですが、初心者がやりがちな原因として
 『印刷ステージが汚れている』『フィラメントの温度設定が不適切』
 『ノズルと印刷ステージのキャリブレーションが不適切』の三点です。


 印刷ステージの汚れの対処は簡単ですね。『脱脂してください。』
 フィラメントの温度設定が不適切なのは、初心者つまづきポイントで
 フィラメントには『メーカー適正温度設定値』が存在します。
 大体はインターネットか、箱・付属冊子に記載されていますので、
 スライスの段階まで戻って設定し直しになります。
 最初は筆者もコレ知らなくて何度もやり直しました。
 最後にノズルのキャリブレーションになります。メジャーな方法として、
 紙一枚をステージとノズルの間に挟んで『少し』引っかかりがあるように
 調整するとあります。
 ぶっちゃけここは手動でやるなら『感覚』です。


【 トラブルナンバー5 】
 
 
プリント終盤で印刷物がステージから剥がれる問題ですが、
 僕はコレで何度もメンタルが折れそうになりました。
 想像してみてください。印刷時間二桁時間をかけて残り数十分で
 印刷物がコテッっと転倒し、かなりの量のフィラメントと時間と電力を
 無駄にした瞬間の事を…………


 そんなメンタルを抉る問題ですが、結論を言うと
 印刷物の重心とステージとの密着率が大事になります。
 まずは重心ですが、湾曲したパーツを立てて印刷した場合、
 重心はまっすぐにはならず常時外側に引っ張られる形になります。
 そして長時間印刷をしているといくらステージが温かいと言っても
 印刷物自体の温度は少しづつ下がっていく場合があります。

 PLAは温度が下がると硬化してツルツルな表面になるので、ステージとの
 密着がへり、最終的には重量に負けてころっとステージから剥がれます。
 では対策として、重心を改善するかステージとの密着を上げるかの二択に
 なる訳ですが、重心改善は大概戻れない所まで来ているので後者で断行。
 密着率を上げる最終兵器『マスキングテープ』の出番です。
 
 対策は至って簡単です。マスキングテープをステージに貼る。以上です。
 デメリットとして印刷物の底面にマスキングテープがべったりくっつく事
 があるのと、単純にお金がかかります。ただ効果バツグンすぎて、
 なかなか印刷物がステージから剥がれないこともあります。
 尚、キャリブレーション方法は紙を一枚から二枚にするといい感じです。



【 トラブルナンバー6 】

印刷しているのにフィラメント(材料)が出てこない問題もまんまですね、
何故か出てきません………
対策は、ender3をお使いの方はエクルストルーダーを金属化しましょう。
何故最初から付いてないのレベルで個人的には必須だとおもっています。
初心者でフィラメントが出てこない問題に遭遇したらまずは
エクストルーダー関係を疑うことをおすすめします。
意外と初心者はやりがちだとは思うのですが、フィラメントロックのレバー
を引かずにフィラメントを力づくでガリガリと引っ張るとギヤが欠けたり
するので注意が地味に必要な所だったりします。



【 トラブルナンバー7 】

印刷途中でフィラメントがスプールで何故か絡まる問題。
FDM式を使っている人は一度は遭遇するであろう、あるある問題。
画像のようになったらアウトです。印刷終了まで面倒を見れない場合
『今すぐに印刷を止めて、フィラメントを抜いて』
絡まりを解消してください。ほんとコレもメンタルに来ます……

人によってはメンタルにくるフィラメントが絡まっている画像

この問題の対処として、フィラメントを扱う時の絶対ルールとして、
『フィラメントの先端は絶対にフリーにしない』

というのを大原則にしたほうが良いです。フィラメント無駄になるので……



【9】完成 :塗装と、ご挨拶

ヘッドのみ塗装したMμLT1のメカヘッド

 さて最終工程の塗装なのですが、
 こちらは当方ズブの素人なので対して書くことがありません。
 強いて言うなら、
 『PLAはクッソ硬いからヤスリがけは覚悟したほうがいい』
 『PLAにはタミヤから出てる2液パテがいい』
 『単色に塗る時でもしっかりとヤスって脱脂はしたほうがいい』

 と上記の三点になります。

 前中後編と合わせて1万文字オーバーの超大作が爆誕しました。
 長くてすんません。読んでくれてありがとうございます。
 一人でも『まぁ少しは役に立った』と思っていただけたら幸いです。

 中編から結構な時間がたってひとまず完結。ありがとうございました。
 

フードにすっぽりメカヘッドが入ってご満悦なMμLT1



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