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ひたちえぼ
2023年10月15日 23:19
厳冬の大地に紛れる私の白い被毛は、遠目の追手を躱すに向いている。背に跨るバナルは、しゃくりあげながら、私の進むに任せていた。「父さん、大丈夫かな」 鼻をすすったバナルが、手袋越しの幼い手で私の額を撫でる。私は返事の代わりに、額から突き出る六角柱の結晶を光らせた。我々角犬のオスは角の大きさで序列を決める。私は特別に立派な角と体格を持つ角犬として創られ、そのおかげでここまで逃げ延びたというの