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4.100章 巻き返し

「これより作戦を開始するわ!みんな持ち場についたかしら?」

「オッケー」

「いつでも、いけるよ」

「よし、ならば。はじめましょう!」
「作戦名『Replicate』!」
そう言って、一斉にサングラスを着用し銀色の太陽を見る。

砲身の様な筒を機器でしっかりと固定した上でソラナが操作を行う。
彼女の瞳には、いくつかのコントラクトが浮かびトランザクションが展開される。
砲身は、長く、ソラナはその先端部をニトロは後方部を動かす形で照準を合わせる。

ニトロの手の甲には、SVMの文字が浮かびトランザクションが彼女と砲身の間を往き来する。
それに呼応するかの様に鈍色だった砲身は銀色の光を灯す。

「捉えましたわ!」
ソラナの声に応える様にセンチネルがコントラを展開し砲身から太陽まで一直線に結ぶ長いシールドを構成する。

「ニトロっ、装填お願い!」

「了解!」
ニトロが観測用のダミーコアを装填し、空かさず転送先のジノのコアと同期をとる。

「行けるよっ!ソラナちゃん!」

「カウントダウン、3、2、1」
砲身の先端部に銀色の光が集約する。
コントラクトの集合体であるそれは、無数の文字を空間に浮かべながらその大きさを拡大させていく。

「ゼロっ!」
「射出!」
ニトロの叫び声とともに、銀色の光の塊が発射された。
それは、引き伸ばされ先端に行くほど細くなる閃光として放たれた。
先端部に核であるダミーコアを乗せて。

引き伸ばされた光が太陽へと辿り着くと、その表面から侵入した。
熱せられたナイフがバターを切る様な滑らかさで侵入した。
瞬きも許さぬ刹那よりも短い時間で。

着弾し、侵入したダミーコアが太陽の中心へと向かい大きなコアとぶつかる。
もとより強度が乏しいダミーコアは、粉々に砕け散っていく。

「今よ!」
その僅かな時間に全てを集中し、トランザクションを放つソラナ。
ニトロがそれを媒介し、砲身、そして砕けつつあるダミーコアに届ける。
「あなたのっ!ジノさん!わたし達の思いをフィーちゃんに届けてっ!」

その声が届いたのか、砕けつつあったダミーコアは時間を巻き戻したかの様に収束。
そして、太陽のコア表面に接着した。

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