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タヌキ王女と二人の花嫁-2

「敵は!?」
はっと、飛び起きたJunoの瞳には、明るい日差しが差し込んできた。

温かな光
おひさまの匂いがする布団
ふかふかのベッド

ここはどこなんだ、と目を部屋中に巡らせ確認する。
敵影は見当たらず、その気配すらない。

ドアをノックする音が聞こえる。
「入ってもいいかしら?」

いつか聞いたような声がする。
その声に応える様に返事をする。

「どうぞ」
そうJunoが答えると小さな人影が入ってきた。

「はぁーい!お久しぶりです。お姉さま」
そういうと同時にそれは、走り出し、Junoの胸にダイブする。

「お前は!マティックじゃないか!」
撫でて、と言わんばかりに頭をJunoのお腹にこすり付け、主人に甘える子犬の様な素振りをするマティック

(タヌキは、イヌ科だと聞いたことがあるが)
(って、違うぞ、私)

「マティック!ここはどこなんだ」
教えてくれないか。
そう真剣な眼差しを向けるJuno

「/// そんなに見つめられてしまったら照れてしまいます」

「そういうのは、いいから!」
「今の状態を少しでも把握しておきたいんだ」

「わかりました」
「そんな真剣なお姉さまには、真摯に対応します」
「説明は、します。ですが、それは、今夜です」
「今は、ゆっくりとお休みください」

「なぜだ!」

「それは、お姉さまがリソースを消費して意識体を保てなくなっているからです」
「ほら、自分の手を見てください」

Junoが自分の手を見ると、いつもとかわらない自身の手がそこにはあった。
いや、細かく観察するとうっすらと透けている部分があるようにも見えた。

「これは」

「それはチェーンを超えた対価です」
「説明が長くなるので今はゆっくりと癒してください」
「それでは、失礼します」

そう言って、Junoのベッドにもぐりこむマティック
「なっ、何をするんだ」
そして、Junoは洋服を着ていなかった。
裸ではなかったが、その体には薄い布地を身に着けていただけであった。
肌がさらけ出された部分に温かな感触が触れる。
マティックがその体を擦り付けているのだった。

「ちょっとまって、これはどういうことなんだ!?」
年下の可愛らしい女の子がなぜか自分に体を擦り付けている。
しかも、裸に近い格好でだ。
説明を求め無いわけにはいかなかった。

「これは、お姉さまに足りないリソースを私から、補給しているのですよ」
「裸に近いのは、その方が吸収率が高いから」
「効率を重視した結果です!」
えっへんと、ベッドの中で胸を張るマティック
Junoの胸の間から除く顔が小動物の様で可愛らしい。

(可愛いな)
その小動物的な可愛さにやられたのか、マティックの頭を撫でる。
すると、手のひらにぐりぐりと頭を押し付けてくるマティック
もっと、撫でてほしいようだ。
(よし、ならば。って、そうじゃないだろう!私)

流されそうになる自分を鋼の自制心で抑えつけるJuno

「マティック、とりあえず理由は分かった。ならば、私をゆっくりとさせてはくれない
か」
「そうでないと休んだことにならない」
(なんとか、言い切ったぞ)

マティックの動きがピタリと止む
(しかし、あの感覚は危なかった)
(そして、いい匂いだった)
(なんというか、太陽の照らす草原で寝たのならば、確かに、ああいう匂いがするのだろうな)
そんな思考を始めたJunoにマティックは話し始めた。

「わかりました。お姉さまがゆったりしたいというのでしたら、私は」
「十分にご奉仕させて頂きます!」

「にゃ!にゃんだと!」
想像の埒外から飛び出た言葉に、動揺を隠せないJuno

しかし、体が動かなかった。
(どうした!私。からだが動かないなんて)

「抵抗すると都合がわるいので、拘束させて頂きました」

「お姉さまはゆっくりと眠っていてください」
「その間に終わります」
ゆっくりと言葉を言い放つマティックにJunoは息をのみ覚悟したのだった。


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