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5.3章 手紙の真相は?

「ソラナが言っていることは、ほぼ間違いないわ」
「これを見てくれる?」
そういって、オズモが起動したモニターに映し出されたのは、コスモスの地図だった。
赤い点が8つ記載されていた。
円形に配置された赤い点。
それぞれ、ランダムに点滅のスピードを変えていた。


「これは?」
イーサが不思議そうに尋ねる。

「これは、ポルカ君に調査してもらった結果。それとアトムさんの提供してくれたデータを元に解析したものよ」

「点が点滅してるよー」

「いいところに気付いたわね。エブ子ちゃん」
「この点滅は、リソースの存在確率よ」

「存在確率?」

「そう。細かいことは省くけど、ここにアクセスできる確率が決まっているの」

「それってどういうこと?」

「あー、実際話した方がいいかもしれねぇな」
そういって、話に割り込むポルカドット

「ほら、これだよ」
そういって、エブモスに写真を見せる。
ある写真には、地面に深く突き刺さっている杭の様な建造物が見えるのに対して、他の写真でそれを確認できない。

「1マイクロ秒ごとに遷移してやがるんだ」
悔しそうにいうポルカドット

「折角、場所を特定したのにそこに攻め入ることが出来ねえんだわ」

「なーるほど!」

「つまり、ここに『存在している』状態ではないと干渉ができないと」

「イーサさん、正解だ。その通りなんだよ」
「それが、これだけの数ある」
「しかも、どうしたことか、すべてがリンクしてやがる」

「リンク?」
首をかしげるエブモス

「あぁ、オズモさん、あの動画、見せてくれないか?」

「いいわよ。こういうのは、実物を見た方が早いと思うし」
そういって、手にリモコンを持ち、立体画像で2つのスクリーンを新規に起動させる。
そこに映し出されているのは、パラチェーンズと地面に刺さった建造物だった。

小柄の男の子、アス太が構えをとる。
その横で、長身の青年がコントラクトの詠唱を始めた。
高速で存在確率を変動させ、消滅と生成を繰り返す建造物に対し、長身の青年がコントラクトを放つ。
瞬間、建造物が現実に縛り付けられる。
その隙に、アス太が大型のライフルを建造物に放った。
オズモ印のブロック超加速ライフル
リソースの元であるブロックそのものを超加速して打ち付ける兵器だ。
破壊力は、コスモスにあるものと定義したものならば、対象物を完全消滅させることが可能なものだった。
加速されたブロックは、存在確率を固定されコスモスの物質と定義された建造物を消滅させた。

しかし、次の瞬間、それは復活していた。

「で、それがこのときのデータ」
そういって、オズモが提示したデータからは、消滅させた箇所以外の赤い点が激しく点灯し、消滅した点に線が集中する様に描かれていた。
そして、消滅した点の箇所に新たに赤い点が作られたのだ。

「ねっ。復活しちゃったでしょ?」
「つまり、これを打倒するには、一気にすべてを倒さなければならないって話し」

「だったら、全てを同時に倒せばいいんじゃない?」
エブモスは、それなら大丈夫でしょ?と聞く。

「それが出来ないのよ」

「なんで?」

「まず、この作戦に使用したライフル。急ごしらえの一丁限りのものなの」
「それと、一度発射したら、クールダウンさせる必要があるのよ」
「更に、さっきトランザクションを放ってサポートしていた子がいるでしょ?」
「彼、アゼロ君っていうんだけれどね。彼がトランザクションで拘束出来るのは、24時間に1度が限度なのよ」
詰んでるでしょ~と、何気なくいうオズモ

「だから、結局、ソラナの誘いに乗るしかないのよ」

「でも、あれが、罠である可能性はないのか?」

「んー、ポルカ君。仮にそうであったとしても、今は、他に方法がないのよ」
「つまりね」

「つまり?」

「コスモスの未来は、エブ子ちゃんとイーサさんにかかっているってこと!」
そう、オズモは言い切ったのだった。

「おい!こいつらに、すべて押し付けて『はい終わり!』っていうんじゃないんだろうな!」

「勿論、そんな無責任なことはしないわ」
「意識体は、2名、彼女達以外はこないこと。これが、ソラナの指定だったわね」
そういって、オズモはニンマリ笑う。
その笑いは、そばに控えていたシークレットがぞくりとしたものだった。
(これ、ぜったいなんかやらかすやつだ)

「いや~ね。シークレット君。別に何かやらかすつもりはないわよ」
「ただ、万全をもって送り出す」
「これだけは、させてもらうわ」
そういって、オズモは、エブモスとイーサに研究室の奥の部屋へと来るように促したのだった。

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