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grass-5

木目調の家具が並ぶ部屋
フラスコがオブジェの様に飾られており、研究室というよりは、どこかの教授の部屋といった方がしっくりとくる間取り。

そこに、テーブルを挟みエブモスとグラスが座っていた。

「まずは、状況整理ね」
「エブモスさんら、索敵のコントラクトを発現していた」
「そこで、全ての出入りは、点と矢印で記載されていると」

「そうだよ」

「ソラナさんが消えた箇所には、その2つが存在しない」
「いなくなった場所には、草が残されており、grassによる転移が疑えた」

「うん」

「ただ、grassにしろ自力にしろ、コントラクトを用いて転移した場合は、記載されるはずの点と矢印がない。だから、おかしい」

「そうなんだよ!」

「『何も記録されていない』ということは、この索敵のコントラクトでは、何が示されるの?」

「コントラクトによる移動は、無かったってことだよ」

「物理的な移動は、含まれないの?」

「そうだよ。そこまで含んだら、図がぐちゃぐちゃになってわからなくなっちゃう」
「それに、今回、空間転移に気をつけてって言われたから」

「それは、誰に?」

「ソラナちゃん」

「いつ?」

「ここについてから、すぐだよ」
「丁度、グラスさんに挨拶に言った後に戻ってきて一番に言われた」

「なるほどね」
ふと、ひらめいたようにグラスは言った。

「これ、ただ超高速で連れ去られただけなんじゃないかな?」

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