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grass-6

「うぅ〜ん。ここは?」
嗅覚を刺激するのは、干し草の匂い。
そして、体はふわふわとしたものの上にあるのが感じ取れた。

(何かの横になっているみたいね)
ゆっくりと目を開けようとするも、視界がぼやけてよくわからない。

ふと、隣には緑色の物体がある。
しかし、ぼやけた視界では何かわからない。

まるで、モザイクがかかったように世界にフィルターがかかっていた。
ただ、それは、なんとなく懐かしい香りがした。
少し前までは、それがあるのが当たり前になっていたというか。
なんというか。
(懐かしい香り)
そう思い、香りを嗅ぐ。
緑色の物体は、もぞもぞと動いた。

(いきもの?)
自分の視界が回復せず、だからといって何かを出来るわけでもない状態。
とにかく、現状を復旧させるのが先だった。
幸い敵性勢力にさらわれたのではないと判断し。

ソラナは、二度寝することにした。
緑色のよくわからない懐かしい物体を抱きながら。

(それにしても、懐かしい。いい香り)
(そうね。お日様の様に温かい香り)
(少しくらい、いいわよね)

そして、再び眠りについたのだった。


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