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5.5章 ひととき

「A~D隊、分散して各方面の対処にあたれ!」
「E~Uまでは、陣形COSMOS」
「残りは、私と遊撃だ!」

Junoの声が戦場にこだまする。
兵を鼓舞する為の号令。
彼女が示すのは大まかな方向性
それを情報補佐官が、綿密な計画をベースに各隊の隊長に連携していく。

表裏揃った情報戦

敵性体や敵部隊が現れる度に彼女が先陣を切り切り伏せていく。
その手に持ったサーベルで。
まるで、自らの部隊を鼓舞するかのように。
答えるように彼女の指揮する部隊の士気もあがる。

「おっと、やらせないよ」
派手な乱戦とは離れたところで、潜伏していた工作部隊をナイフ一つで屠るシークレット。
彼もまた、戦いのプロであった。

「しかし、今回の侵略は少しおかしい」
アラメダリサ―チの部隊が攻め入って、これに対応しているのだが、どうも挙動がおかしいのだ。
僅かな違和感。
それをJunoに伝えたところ、彼女が返す。

「今回も、民間人に死傷者は無しだ」
「喜ばしいことなんだが、空白の3日を置いてからの敵の攻め方がおかしい」

そう。
民間人に死傷者が出ていないのだ。
勿論、喜ばしいことなのだが、敵方からの侵略が止んだ3日間を過ぎて、再度侵略がはじまったと思ったらこれだった。
まるで、敵の司令官が変わった様な攻め方。
戦闘員には、代わらず死傷者が出てはいるが、それでも、『戦いを覚悟して』出て来たもの以外に対する攻撃がなかった。
以前は、そんなことは構わず、全てを壊滅させるくらいの勢いでせめて来ていたものが、だ。

(どうしたのだろうか)
(いや、望ましいのではあるけれども)
そう思考して、再度、ナイフと剣を構え闇へと消えていったシークレット

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(招待された日は、明日か)
エブモスは、部屋の中でお絵描きをしていた。
それは、彼女の心を落ち着かせる儀式でもあった。
絵の中には、銀髪の女の子と緑髪の女の子が描かれていた。
(ソラナちゃん。何を考えているんだろう)

『ニトロ!ありがとう!ここに来て、一番美しいものをみたのだわ』
そういう彼女の言葉が頭をよぎる。
彼女と旅した日々。
夢の中だったけれど、それはとても新鮮だった。
だからこそ、わからないのだ。
今、そんな彼女と敵対していることが。
そんな彼女が、招待状を持って現れたことが。


(答えは、明日出る。か)
(イーサさんは、そういって日課の稽古に出かけたけれど)
(んー)
そう思い、机の椅子にもたれて伸びをする。

(ソラナちゃんは、何を考えているのかな?)

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「あと少し、少しよ」

「ソラナCEO!来客です」

「アポは何はずよ?」

「いえ、あの」

「何よ!早く言いなさい。こっちは忙しいんだから!」

「はっ!」
そういって、通されたのは、白衣を着た青色の髪の青年と亜麻色の長い髪をした美少女だった。
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