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4.6章 クレセント

(なんなんですの?このハイテンションな声は?いったいどこから出していると)

「あーっ!そこのキミ!いいね。すごくかわいいよ。私の好みだ。ぜひ、今度うちのラボに遊びに来ないかい?」

「!?」

「はーい、ストップ。クレセント、暴走しすぎ」

「そんなこと言ってもさ。ネル」
「これだけの美少女は滅多に、いや、いないといっても過言はないね」
「だから、渾身の力をもって口説きにいかなきゃ」

「はいはい、あなたの趣味はわかったから。でも、その渾身がひかれちゃったら意味ない
よね。もうちょっと、落ち着こうね」
「それと、まだ、自己紹介。互いに済んでないよね」

「かわいい子がいたからさ。声かけるの優先しちゃったけど」
「改めまして、私の名前はクレセントっていうんだ」
「可愛いお嬢さん、名前を教えて頂けないかい?」

「わたくしは、ソラナと申します」
「分け合って、ネルさんの家にお世話になってます」
「よろしくお願いします」
(あまりよろしくはしたくないけど、一応)

「わーーー!ネルの家に居候しているんだ」
「よっし!今日から私、ネルの家で寝泊まりするから!」
「確か部屋が一つ空いていたと思うから、そこ借りてもいいよね!」
(うわぁ)

「ニトロ」
「助けて」
思わず声をもらしてしまうソラナ
正直、ここまで積極的というか、攻めてくるキャラなんていなかったから、対処に困っているのだ。

「ねえ!早速だけれど、お風呂に入ろう!」
「いったぁ!!」
「ネル、殴ることないのに」
「しかも、グーで」

「あなたが変なこと言って、うちの大切な家族を怯えさせたのだから当然よ」
「何?いきなりお風呂って!?!
「沸いているのは、クレセントの頭の方じゃないのかしら?」

「うーー、ひどいーー」

「いきなりそんな誘いする人はいません!」

「うーー、正論」

「ほら、そういうのは時間をかけて互いを理解したら進めるステップなんだから、まずは、お話しからよ」

(ネルさんも微妙にずれてませんこと!?)
(ニトロ、説明して頂載)

(ネル姉ぇも、そういうところずれているからなぁ。否定できない)

「うん!じゃあ、まずはお話ししましょう」
「さぁ、奥のふわふわのソファーで」
「ついついお姉さんに寄りかかって、こっちのソファーの方がいい!って言ってくれてもいいのよ」

(もう、わたくし、あの方をグーで殴ってもよろしいかしら?)

(さすがにそれは、かわいそうだよ。ネル姉ぇに殴られたばかりなんだから)

「クレセントさん、ちょっとまってください」

「あら!ニトロちゃん、久しぶり」
「元気にしてた?」

「はい!」

「それと、私のことは、クレセント姉ぇ、または、クトお姉ちゃんって呼んでいいのよ」

「呼びません!」 

「家にはもう、姉がいるんです。これ以上は結構です!」

「そんなに強く言わなくたって」
「少しくらい、いいでしょ?呼んでくれても」

「呼びません!」
「ふう、それより、上がられたらどうですか?そんな玄関先で話されてもご近所の迷惑になるだけです」
「やめて頂けますか」

「ニトロちゃん、相変わらず厳しいわね」 

「普通です」

「むしろ、変質者には、優しいくらいの対応かと思いますよ」

(ニトロ、結構はっきり言うのね)  

「それに、ほら、今日は、ソラナちゃんの歓迎会なんですよ」
「新しく家族になった」

「ソラナちゃん?そうか、君はソラナっという名前なんだね」
「太陽の様に明るく、そして、優しい。とてもいい響きだね」

「人の話しを聞いてください」

バシンと据え置きの雑誌でクレセントを叩く

「いたい!ニトロちゃんの愛がいたいわ!」

「愛なんて込めてないです」
「それと、人の話しをきちんと聞いてください」
「さっさとリビングに上がってください」
「殴られたいんですか?」

「あーーーニトロちゃんが、暴力に訴えるっ!」
「DVよ、 DV」

「DVじゃーないですよ。愛の鞭です」
「物分かりが悪い先輩をわからせているんです」

「愛!やっぱり、こもっていたのね!」

「籠めときましたので、さっさと上がってください」
そういって、クレセントをあしらって、奥へと案内するニトロ

「先にお茶でも飲んでいてください」

「えー、あなたも」

「愛、込めておきましたから」

「いただくわ」
そういうと、すたすたとリビングへと消えていった。

「ごめんなさいね。いつもはあんな感じじゃないんだけど」

「はぁ」

「多分、何徹かしてテンションが上がっているからかもしれないわ」

「まぁ、あのテンションがいつもだなんて信じたくないわね」

「でも、趣向の方は、完全にあの通りだから、気を付けてね」

「えっ、それってどういう」

「銀髪美少女大好き」
「それが、あの子の抱えるカルマよ」
「それと、年下の女の子大好き」

「何それ、ただの変態じゃない」

「ええ、変態よ」
「でも、間違いなく天才」
「それが、私の幼馴染のクレセント博士よ」

「何、さらっと友人って言わないようにしているのよ」

「あら、ばれてしまったかしら」

「ばれているわ」

「流石にあのテンションで、初対面の子に迫られたら、恥ずかしくて友人なんて紹介できないわ」

「そこは、ちゃんと本人に言ってあげなさい」
「さすがに、可哀そうよ」

「あなた、優しいのね」

「はっきりしているだけよ」

「さて、そろそろいいころね。じゃあ、二人ともリビングにいきましょう」
(そろそろって、何?)
疑問に思うソラナを他所に、先を行く2人
そんな2人を追うように、ソラナもリビングへと向かった。

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