![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79127105/rectangle_large_type_2_990fa6861688b1f8754a6d00f3a57ba1.png?width=800)
Cinderellaでカオスを描く:面積保存型カオス
前節「Cinderellaでカオスを描く:繰り返し関数の分類」で分類した中の「(1) 面積保存型カオス」です。
式は,「Cinderellaでカオスを描く:鳥の翼」と似ています。$${x_{n+1}}$$ の$${y_n}$$の係数は 1 に固定で末項(定数)がありません。$${y_{n+1}}$$ の$${x_n}$$ の係数も$${-1}$$に固定で,可変とするのは $${x_{n+1}}$$ の第2項の$${x_n}$$の係数だけです。
$${x_{n+1}=y_n+a x_n+\dfrac{5}{1+x_n^2}}$$
$${y_{n+1}=- x_n}$$
この係数を−2から2まで変化させるとさまざまなアトラクタができます。
「カオスCGコレクション」(川上博著:サイエンス社:以下「この本」)には,係数を小数点以下2位までにしたものを34個載せています。次がその一例です。(51,53ページ)
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79058280/picture_pc_219972704307c3aac9cc237a1dd9fb90.png?width=800)
放射状のものから花のようなもの,鳥の翼で出てきたようなもの,顔のようなもの,シンボルマークのようなものなどいろいろあります。
どれも正方形の中に対称形に描かれていますが,実際にはそうではありません。図が小さくて見えませんが,縦横のスケールが異なるのです。左上の放射状のものは縦横比が 3:40 になっています。縦のスケール30に対し,横は400です。それを横方向に圧縮して縦横を合わせると放射状に見えるのです。(すこしわかりにくいでしょう,あとで実際に試します)
係数$${a}$$ を−2から2まで変化させるのですが,0.01 ごとに変化させると401($${a=0}$$も含む)の図ができることになります。実際には,0.01 増減してもあまり変わらないこともあれば,ガラッと変わってしまうこともあります。見出し画像は,はじめは閉曲線だったものを,係数を0.01 ずつ変えていったときの図の変化です。
また,関数の反復回数などによっても異なる図ができ,着色すると趣の異なる図になります。したがって,バリエーションは400には収まらないでしょう。
では,これを「実験」しましょう。
リンク先を開くとつぎの画面になります。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79125722/picture_pc_000da555a89300f2ee0cea216caee21f.png?width=800)
初期値は$${(1,0)}$$です。係数は $${a=0}$$ なので,$${x_{n+1}=y_n+\dfrac{5}{1+x_n^2}}$$ です。この場合は閉曲線になるわけです。
係数のスライダを動かして,この本に掲載されている図の1番目にしてみます。$${a=-1.98}$$ です。斜めに点が散在しています。着色は256色です。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79125737/picture_pc_ff89711c5a6e3f168a5249abedbb8c11.png?width=800)
この本に掲載されている図とは似ても似つかないものです。何が違うのでしょうか。
前述のように,縦横のスケールが異なるのですが,それだけではありません。この本のプログラムでは,$${(x_n,y_n)}$$ をそのままプロットしているのではなく,変換してプロットしているのです。プログラムはちょっと違いますが,原点周りに135°回転すると同じ結果が得られます。
そこで,左にある円形スライダで135°回転し,縦横比を小さくしていくと次の図が得られます。回数も増やしました。
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79125923/picture_pc_a3174497949ae1fed894ea17fb088158.png?width=800)
回転と縦横比でここまで変わるのです。再度,念のために書いておきますが,計算のときにはこの図の点の座標を使うのではなく,プロットするときに変換してプロットしています。
このまま回数を変えてみましょう。いったん少ない方に戻すと,図の大きさが変わります。はじめは小さい図なのです。これがあるところから大きくなり,模様も変化していきます。
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79125949/picture_pc_85b700a2dfe773e52856bf426d18d4d9.png?width=800)
初期値(緑の点)によっても図は変わります。次の3つは初期値以外は同じです。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79126214/picture_pc_2e13baa062bb7b4e6aa9950a1e4929ee.png?width=800)
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79126220/picture_pc_cd8762a4b7ef214d2b8b48bff182d2bd.png?width=800)
![画像8](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/79126240/picture_pc_81f4324e43c591e862de5d0224c46327.png?width=800)
3つ目はカオスにはならず2つの閉曲線です。このスクリーンショットだと点に見えますが,Zoom で大きくしていくとわかります。
このようにして動かしていった様子を動画にしました。
こうしてみると,係数,初期値,反復回数,回転角,縦横比によって実にさまざまな図ができることがわかります。
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