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自然になじんだ名曲:ハンガリア舞曲第5番

 ハンガリア舞曲の中からどれか1曲を選べと言われたら,私は1番を選ぶ。
冒頭がなんとなく日本の演歌風。

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しかし,第3テーマになるともうハンガリアンだ。

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5番ほどポピュラーではないだろうから,Youtubeへのリンクを張っておこう。

 ただし,私自身は演奏をしたことがない。演目にはあったけれど降り番だったような気もする。

一方、選ばない方の第5番。
学校の音楽の授業で聞いていると思うし(いまはどうかな),ともかく,誰でも知っている曲だろう。
こちらは,特段好きというわけではないが,自然に身になじんでしまっている曲だ。
小学校の音楽部で5年生の時に演奏した。

 音楽部は,全員が何かしらに入るクラブ活動(6年生)とは別で,4年生以上なら誰でも入れるものだった。ただし,オーディションあり。オーディションは歌とハーモニカ演奏だったか。
 3年生から,もしかすると1年生からずっと同じクラスだった子がいた。学級委員のその子から誘われてオーディションを受けた。音楽部はリード合奏。つまり,ハーモニカとアコーディオンの合奏で,私のパートはパイプハーモニカ。2人のうちのひとりだった。
 指導者は青木先生で,市内でもトップクラスの音楽部だった。青木先生は子どもたちから絶大な信頼を受けていた。厳しい指導,と感じたことはない。難局か演奏したはずだが,水上の音楽とハンガリア舞曲第5番しか覚えていない。6年生になったとき,青木先生は転任してしまったのだ。
 この5番については,先生がよく「レドドシシーミラー」と歌っていたのを覚えている。冒頭の7小節目である。(タイトル画像)

 ある意味,私の音楽活動の原点ともいえる曲なのだが,学生時代にオーケストラでやった記憶がない。同時に所属していた市民オケでは,音楽教室をよくやったから演奏していると思うのだが,それも記憶がない。
 では,なぜ「自然に身になじんでいる」のか。
実はそれもわからない。
 ただ,いろんなテンポ設定がある中で,「私のテンポ」というのがあるのだ。
大学を出て所属したオーケストラや,今のオーケストラでは何回かやったから,その中で自然に身についていったものと思われる。大学時代から指揮者としていろいろ教わった先生のテンポだったかもしれない。

 たとえば,先ほどの冒頭,ゆっくり始めてだんだん速くするという演奏があるが,カラヤンはほとんどインテンポで,かなり速い。(私のテンポと比べると)

オーマンディ・ファイラデルフィアと比べるとその落差の大きさに驚く。

私はこの中間。

第5番には,リタルダンド・インテンポ というのが何ヶ所かある。
そこのテンポ設定が人によってずいぶん違う。
まぜ,前半はこの部分。

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後半はここ

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 poco (少し)となっているから,あまり粘らないのがいいのだろう。

 アバド・ウィーンフィルはカラヤンに似ている。全体が速いし,ルバートもあまり大きくない。
もっとも,アバドといえども,これはウィーンフィルテンポなのかもしれない。

 これまでいろいろな指揮者のもとで演奏したが(降り番も含め)この poco rit. をかなり遅くする人もいる。フルートもしくはピッコロバートを担当して演奏するときはもちろんそれに合わせる。
 しかし,指揮をするときは(今までに何回かあった)自分のテンポにする。
そうでないと振れないからだ。
Youtubeで聞いてみると,多分一番近いのが emsemblearakawa の演奏だ。

 ところで,ハンガリア舞曲を聴くときは,民族衣装を着て円形になって踊る娘たちのイメージがいつもある。何番でも。たとえば1番だったら,はじめに書いた第3テーマのところ。
 それも,いつ,なぜそのイメージができたのかはわからないのだが,多分いつかテレビで見た映像だろう。
 もちろん指揮をするときもそれをイメージしながら棒を振る。そのときに「踊れるテンポ」を考えるので,あまり速かったり遅かったりは感覚に合わない。
 もっとも,ハンガリーに行ってロマの人たちが踊るのを実際に見たわけではない。もしも実際に見たならば私のテンポ感も変わるかもしれない。