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自己平方フラクタルの拡張

 複素数 $${z}$$ または $${c}$$ を $${f(z)=z^2+c}$$ によって次々に変換したとき,原点から遠ざかるかどうかで分類したものが「自己平方フラクタル」。初期値を $${z=0}$$ として,$${c}$$ を分類したのがマンデルブロ集合で,$${c}$$ を固定して$${z}$$ を分類したのがジュリア集合である,と考えてよいでしょう。ただし,「フラクタルCGコレクション 渕上季代絵 サイエンス社」(以下,この本)では,ジュリア集合については別の定義をしています。

 さて,この本には,マンデルブロ集合のところに,$${f(z)=z^3+c}$$ と$${f(z)=z^6+c}$$ の図が載っていて,「$${f(z)=z^n+c}$$ の場合,丸いコブが中央に$${n-1}$$ 個現れます」と説明されています。
 実際にやってみましょう。

Cinderellaへのいざない:マンデルブロ集合」でやったものとほとんど同じですが,左下に「指数」のスライダがあります。これを動かして指数を3にすると,次の図になります。

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指数を6にすると,下図左になりますが,拡大していったときに,指数が2のマンデルブロ集合とさほど変わったことはありません。たとえば,下図右のように「入江」の中のそのまた入江の数が増えますし,海岸線がリアス状になっていきますが(海と陸地にたとえて)そのくらいの違いです。まあ,たいしたことはないといっていいでしょう。この本でも細部を探索した図はほとんど載っていません。

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ついでに,$${n=1}$$ の場合もみておきましょう。 $${f(z)=z+c}$$ です。これは単なる平行移動ですから,単純な図になることは想像できるでしょう。同心円ができて,「深度」を深くすると右のように同心円の数が増えます。これはこれできれいなものです。

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では,ジュリア集合の方はどうか。この本では,前述のようにジュリア集合の定義が異なるので,これについては掲載されていません。やってみると,こちらは実に多彩な結果になります。

これも,「自己平方フラクタル(2)ジュリア集合」でやったものに,指数のスライダが追加されただけです。したがって,初期画面は同じですが,指数だけ3にしてみるとつぎのようになります。

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図がガラッと変わってしまいました。この図は閾回数を 300 , 400 にしてもあまり変わりません。
では,左の白い点をドラッグして $${c}$$ の値を変えてみましょう。

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この図も,300 と 400 にしてもあまり変わりません。しかし,ここからほんの少し動いた次の図では,300,400にすると中の渦巻き状のところが変わります。

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次の図は指数が7の場合です。これも300,400でだいぶ変わります。色合いまで変わってしまうのです。

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指数は実数にすることもできます。整数でない実数の場合はどうなるでしょうか。

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指数とcの位置(値)の組み合わせで実にさまざまな図が出現します。「配色」スライダで色を変えるとまた趣が変わります。

いろいろやってみましょう。


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