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個別機能訓練加算の改定ポイントまとめ -2021年度介護報酬改定-

1月18日に開催された第199回社保審・介護給付費分科会で【2021年度介護報酬改定】についてが更新されました。今回も様々な改定が行われますが、その中で今回の記事では通所介護における個別機能訓練加算の変更ポイントをまとめつつ、現行の算定要件から引き継がれる重要ポイントもまとめていきます。

個別機能訓練加算の見直しでは、より利用者の自立支援等に資する機能訓練の提供を促進する観点から、加算区分や要件の見直しが行われます。それぞれのポイントから見直していきましょう。

単位数

<現行>
個別機能訓練加算(Ⅰ):46単位/日 
個別機能訓練加算(Ⅱ):56単位/日 

<改定後>
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ:56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ:85単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ):20単位/月

現行の加算(Ⅰ)(Ⅱ)は廃止され、加算(Ⅰ)イ・ロに統合され、新たに加算(Ⅱ)が新設されました。注意点は新設の加算(Ⅱ)は月額であるということです。

機能訓練指導員の人員配置

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加算(Ⅰ)イ:専従1名以上配置(配置時間の定めなし

→現行の加算(Ⅱ)の人員基準に相当します。そのため、非常勤の機能訓練指導員で算定が可能となります。つまり、現行で加算(Ⅱ)を取得できる人員を有する施設は、改定後には加算(Ⅰ)イの算定が可能となります。

*イは運営基準上配置を求めている機能訓練指導員により満たすこととして差し支えありません。

加算(Ⅰ)ロ:専従1名以上配置(サービス提供時間帯を通じて配置

現行の加算(Ⅰ)の人員基準に相当しますが、ここでポイントは、『ロはイに加えて1名以上配置する』というところです。そのため、イの機能訓練指導員に加えて、常勤の機能訓練指導員で算定が可能となります。つまり、現行で加算(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定できる人員を有する施設は、改定後には加算(Ⅰ)ロの算定が可能となります。

*イとロの併算定は不可です。
*人員欠如減算・定員超過減算を算定している場合は、個別機能訓練加算を算定できません

報酬額の変化

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現行(Ⅰ)(Ⅱ)を併算定している施設に関しては減算が見込まれます。

機能訓練項目(メニュー)

利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。訓練項目は複数種類準備し、その選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助する。

今回の改定の中で最も注意が必要になるところは、この機能訓練項目の解釈です。

現行の算定要件において、加算(Ⅰ)は、「座る、立つ、歩く等の身体機能向上を目的」とし、加算(Ⅱ)では、「心身機能・活動・参加等の生活機能の維持向上」という明確に分けられていました。そのため訓練項目もそれに適したものを実施する必要がありました。

今回の改定では、イ・ロともに同じ要件となり、『身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を”柔軟”に設定』することになります。つまり、対象者ごとに評価を行い、必要な要素を明確にし、身体機能や生活機能などの目的に合わせた訓練項目を決定していくことになります。

実施方法・実施者

・5人程度以下の小集団又は個別(イ・ロともに)
機能訓練指導員が直接実施(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)

実施方法と実施者は現行の加算(Ⅱ)に相当します。5人程度の小集団で実施する場合のグルーピングが運用のポイントになりますね。

計画作成

居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。

計画作成は、現行と大きな変更はありません。居宅訪問の実施、多職種共同でのアセスメントがポイントになります。
また、現行で加算(Ⅰ)(Ⅱ)の併算定をしている施設では、それぞれに目標と訓練項目を設定していましたが、改定後に加算(Ⅰ)ロを算定する場合には、1組の目標(長期目標と短期目標)と訓練項目を作成することになると考えられます。ここは大きな変更ポイントと言えるかもしれません。

加えて、個別機能訓練計画書の様式の見直しがされることになります。この見直しには、訪問リハビリテーションや通所リハビリテーションのリハビリテーション計画書との共通部分や固有部分の整理が行われることになりそうです。

進捗状況の評価

3ヶ月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の
進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。

こちらも現行からの大きな変更はありません。3ヶ月に1回以上の居宅訪問がポイントですね。

ここまで見てきたように、改定後の加算(Ⅰ)は現行の加算(Ⅱ)を踏襲しています。そのため計画書の作成から実施まで現行の加算(Ⅱ)を想定して行う必要があります。

〈新設〉個別機能訓練加算(Ⅱ)の算定要件

加算(Ⅰ)に加えて、個別機能訓練計画等の内容を厚生労働省に提出し、フィードバックを受けていること(CHASEへのデータ提出とフィードバックの活用)

新設された加算(Ⅱ)は、加算(Ⅰ)に上乗せして算定します。単位数は20単位/月です。ポイントは介護データベースCHASE*へのデータ提出とフィードバックの活用です。どのように提出するかなど今後の情報に注意が必要です。

*CHASEは令和3年度から「LIFE」に名称が変更となります。科学的介護情報システム (Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)

さいごに

今回の改定では、通所介護施設に関わる変更ポイントは22項目にもなり、その中でも自立支援に向けた取り組みを評価するというものが非常に際立っています。入浴など一部減算するものもありますが、自立支援を一体的に取り組むことで増収する仕組みになっています。

その中でも個別機能訓練加算は大きな変更となり、過去の改定の歴史から考えても個別機能訓練の重要性は益々高まっていると言えます。自立支援に向けたケアの視点でも機能訓練は欠かせないことからも、私たちはより一層学び、取り組んでいくことが求められています。


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