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国内旅行体験記 #7

2023.11.4

東京の宿泊事情を甘く見ていた。

一泊の予定は決まっているのだから、
予定が決まった時点で宿も早めに予約すれば良い。
それを理解することと行動を起こすことは往々にして別のメカニズムがはたらく(要は何となく面倒くさい)。

ようやくホテルを探し始めたとき、目的地周辺のホテルを検索して驚愕した。高い。高すぎる。
沿線ぞいにもう少し範囲を広げて探す。高い。東京高い。

これ以上安いところはなさそう、と諦めて山手線エリアで予約。
東京素人には乗換えが分かりやすくできるだけ駅近が無難。

夜、初めての駅に降り立つ。
いつも思うが、山手線は一つ一つの駅すべてが大きい。大阪環状線の駅とサイズが違う。
人通りも多い。

コンビニで朝ごはんを買い、ホテルへ向かう。
自動ドアを抜けて中に入ると、フロント脇の壁際におびただしい数のキャリーケースが並んでいた。何となく海外の団体っぽい。
フロントに荷物を預けていたのだろうが、既に時間は21時を過ぎている。まだ帰ってきていないのだろうか。

チェックインの手続きをしていると、向こうで中国語で電話をとっているスタッフがいる。
隣に客が来た。お箸ありますか、すみませんないんです、というスタッフとのやりとりが英語で聞こえた。
語学できたらカッコいいよなー。
というか、ここのホテルではカッコいいというより多分普通のことらしい。

カードを受け取ってエレベーターに乗り、該当の階で降りる。
少し暗めの廊下の両側に、ドアがずらっと並んでいる。

部屋に入ると、シックな色調。うん、落ち着いていて良い。
自動でテレビがつくのはやめて欲しい。
怪奇現象だと思って一瞬体がびくっとなる。

壁に絵はなく、折り鶴がちょこんと1羽。
究極のインテリアだ。
ベッドサイドのボタンもそれぞれ説明がついていてわかりやすい。

机の引き出しが最初から全部開いていた。
「必要なものは全部ここにありますから」というメッセージを感じる。
これも毎回思うが、1人で泊まっても全部2つずつ揃えてある。

ゴミ箱が2つあったので「ここまで2つにするのか?」と思ったが、燃えるゴミと缶・びんの分別用だった。
そりゃそうか。

ペットボトルってどっち??

各自治体によって何故ここまで違うのだろう。同じ日本で出るゴミなのに。
多分燃えるのかなと思ったが、よくわからないので机の上に置くことにする。

今回初の「ユニットバスのドアが半透明」というそこまで半透明の必要性を感じないドアを開けると、目前に「ヒゲソリ専用」のコンセントがあった。
電圧の問題なんだろうか。ドライヤーはダメなんだろうか。とりあえず今回は使わなさそうだ。

せっかくだからお風呂に入ろう。お、アメニティに櫛がある。もーらお。
…と思って袋をぺりぺり開けると、文章が目に留まった。

「研ぎ澄まされた 叡智を力に 美しく生きろ」

突然の格言。
何これ。
気になって他のアメニティを見ると、全部違うことが書いてある。

「もしかしてここのホテルは何らかの団体と連携しているのではないか」と一瞬考えたが、さすがに違うだろう。
違ったら違ったで、誰がここに格言を入れようと思ったんだろう。

なんだか「人生ゆるく生きていてはいけませんよ」と諭されたような気分になって、湯船に浸かる。
コンパクトな白いオーバル型の浴槽。
これくらいでいいんだよなぁ、一人風呂のサイズ。

就寝。
枕が低い。
宿泊史上最高に枕が低い。首が沈まない。
今までホテルは枕が高いのが当たり前と思っていたが、そもそも自分の家の枕も低いので、最初から低くて良いのだった。
唯一、私の身長で結構ギリなベッドサイズだったので、泊まる人によっては足が出たかもしれない。

翌朝、準備をして部屋のドアを開けると、廊下に東南アジア系と見られる方達が10人以上立っていた。状況が判別できない。
ベッドメイクなのか何なのか、枕みたいなものを持った人もいる。
何この状況。修学旅行の勢い。

絶対エレベーター乗られへんやん、ここ2階やから階段でええねんけどでも階段どこなん、と思いながらとりあえずエレベーターのほうに向かうと、何故か全員譲ってくれた。
降りないのだろうか。
会釈をしてエレベーターに乗り込む。何だったんだろう。

ひとまず、良いホテルでした。

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