見出し画像

国内旅行体験記 #2(前編)

2017.2.25

大学院のレポートが差し迫る週末。
ここ最近仕事のことをずっと考え続けていて、レポートに頭が切り替えられない。
よし、ここは会社近辺のホテルに籠って仕上げよう、と思い立つ。

日曜に思い立って火曜泊のホテルを調べたところ、空きがない。
もしかしてこれは予約サイトを変えると見つかるかもしれない、と試しに○ッキングドットコムで検索すると、無数の宿がヒットした。

2400円。ゲストハウス。

激安価格と共に「ゲストハウス」の文字が並ぶ。
最近駅の辺りで観光客らしき人をよく見かけるなと思ったが、
やはりこのあたりは宿が多いらしい。

安すぎると怖い。
それでも一応「ホテル」と名のついた3500円の宿を、物は試しで予約。

地図を見ながらてくてく歩くと、
ラブホテルの看板の上に「ビジネスホテル」と張り紙を貼ったホテルが見えてきた。
お願いだ。違うと言ってくれ。

違った。その隣だった。
でもいい勝負だった。
元々はワンルームマンションだったのを「ホテル」に改装したらしい。

部屋に入った瞬間、「暗っ」と思った。レポートやるのに大丈夫か。
見た目はそのままワンルームマンションだった。
土間と部屋を区切る敷居にそって延長コードがテープで固定されている。
カーテンを開けると、向かいのワンルームマンションのベランダが正面に見えた。
そっとカーテンを閉じた。

なんとなく電熱の何かっぽい暖房器具がある。
デロンギと書いてある。
やけにこれだけセンスあるなと思いながらスイッチのようなものを回すが、
タイマーだったようで電気がつかない。

他にあるのかと部屋を探すと、カーテンの向こうにエアコンらしきものを発見した。
カーテンを締めながらどうやって使うのか、と思いながらスイッチを入れるが、つかない。
仕方なくフロントに降りて「窓際のエアコンがつかないのですが」と聞くと、
「あれクーラーなんですよ」と言われる。

「何か四角い大きなのありませんでしたか」
「あぁ、デロンギの…ごめんなさい、使い方がわからなくて…」

使用方法をレクチャーしてもらった。
タイマーを先に回すとつかないらしい。

「あの、タイマーを先に回してしまって…説明書を探したんですが…」
「あぁ、そうでしたか!待ってくださいね、ほんなら部屋行きますわ」

フロントのおじさんいわく、当初はちゃんと説明書を置いていたらしい。
何故か海外観光客が捨ててしまうらしく、今は置いてないとのことだった。

フロントのおじさん共々部屋に入って、デロンギをつけてもらう。
そのとき、部屋のフローリングに靴のまま上がったのを見て、
『あぁ、別に土間で靴を脱がなくていいんだ』と悟った。
見た目はマンションだが床はホテル扱いなのだった。

無事にデロンギが稼働し、礼を言って再び部屋を見回す。
早速暖かくなってきた。なるほどこういう器具か。

あ、浴衣がない。

アメニティグッズ付きプランだったのでもともと
タオルや歯ブラシ、スリッパがないのは理解していたが、浴衣を忘れた。
どうしよう。ユニクロで買うか。
しかし「部屋の荷物を6割に減らす」が今年の目標なのに、服を増やして良いのか。
あとは照明だ。
レポート用のケース課題を開いてみたものの、やはり読むのは厳しい。

ひと手間かけて今晩を快適に過ごせるかが腕の見せ所(?)だろう、と解釈し、外出。

部屋が寒いといけないので、100均で靴下を手に取った。
さらに、手元を明るくするための照明はないかと探した結果、ミニランタンのようなものを選択。
これに単4乾電池をプラスし、計3点購入。

次に一応ユニクロに行き、一応店内を見て回る。
シーズン特価でフリースのタートルネックが990円で売られている。
どうする。いるか。いらないか。

しばし思案した結果、ちょうど家で着ていたフリースもくたびれてきたし、
風邪を引くよりマシだと判断して購入。

ごはんを済ませて再び部屋に戻り、まずランタンをセット。
スイッチを押すと、眩しい。LEDの光は目に厳しい。
試しにトイレットペーパーを巻いて和紙風にしてみる。やや収まった。
しかし、もともとのLEDの白さがあまり目によろしくない。
ひとまず諦める。

続いてユニクロのフリースを着る。
買うときに、レジでタグを切ってもらうことを忘れなかった。
すぐ着るし、ハサミがないことに気づいていたからだ。
我ながらよく気づいた、と思いながら着てみると、
これがまた思いのほか着やすく暖かい。
ケチらなくて良かった。

話は逸れるが、
持論として、「頭が良い」というのはただいろいろ知っているとかいうことではなく、
持っている知識を総動員して見たこともない&やったこともないことにどうやって対処するか、
それがうまくできるか、
言わば「知恵のある人」をそう呼ぶのだと思う。

例えばだ。
今目の前に、さっき買ってきた靴下がある。
かかとの部分が、両端がT字になっている白いプラスチックで縫いとめられている。
買うときに「すぐ使えるな」と確認したのに、
紙帯で巻かれた部分の内側にあったのを見落とした。

この数センチの細い物体によって、現在靴下として使えない状況である。
部屋にハサミはない。カッターもない。手で切れない。
さて、どうするか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?