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【感想】シカゴ7裁判

2020年 アメリカ
監督 アーロン・ソーキン
出演 エディ・レッドメイン
   アレックス・シャープ
   サシャ・バロン・コーエン

あらすじ

平和的に行われるはずの抗議デモが、警察との激しい衝突に発展。その責任を問われ逮捕・起訴された7人は、米国史上最も理不尽な裁判に立たされる。

Netflix公式より

感想

多少の現代史知識を要求される映画なので、敷居が高い(誤用)と感じられるかもしれませんが、上手いこと脚色と説明を挟んでくれているので、見た目ほど難しい映画ではありませんでした。社会・差別問題についても切り込んではいますが、あくまで映画の一部なので、主義主張もそこまで強くない感じ。

内容といえば、ひたすらに理不尽すぎる目にあう7+1名の身になってムカムカイライラする映画。どれだけ異議を申し立てても判事(裁判官)にスルーされるし、風向きが悪そうだってなると陪審員を隔離したりするしで、もう裁判というよりかは一方的ないじめを見ているかのような感覚です。

イライラといえば、とにかく判事のキャラがヤバすぎる。被告人たちの名前を間違えまくる上に、何か口答えしようもんなら「法廷侮辱罪だ!」って黙らせます。ボケ老人&自己中とこってこてにキャラ付けされており、観客からのヘイトを一身に引き受けてます。その分、被告側に親身になって感情移入できるので、魅力的な敵キャラという点では満点に近い作りになってるんじゃないでしょうか。

そんな感じに劇中はかなりストレスフルなストーリーになっているんですが、エンディングでそれに見合うカタルシスを得られる展開かというと、実話ベースなこともあり、そこまでハッピーというわけではない。字幕で判事がクビになったことが語られるんだけど、絶対そこを映像化したほうが気持ちよかったと思います。

この映画で一番いいなと思ったポイントは、これだけ登場人物がいっぱいいる中で、主要となるメンバーを絞り、演出を集中させたことです。みんなに見せ場作ろうとすると絶対にとっ散らかるので、主役・脇役をはっきりさせたことで非常にエンターテイメントとして見やすくなっています。魅力的な題材でもっと風呂敷を広げたくなる気持ちをグッと抑え、あくまで楽しめる映画として完成させたのが素晴らしい。

キャラクターで目を見張るのは、サシャ・バロン・コーエン演じるアビー・ホフマン。いちおうアカデミー賞的には助演男優という括りルーらしいんだけど、ぶっちゃけ主演級の存在感を放ってます。演説シーンなど喋るところももちろんいいんだけど、黙っている時の演技もめっちゃ好みでした。

あとは前に見た『私は確信する』(こちらも実話ベースの法定サスペンス)もそうだったんですが、裁判シーンをとにかく面白くダレないように撮ってるなぁというのが印象的でした。あえて数日飛ばして裁判シーンの続きを見せたり、被告人たちと判事の皮肉たっぷりの舌戦を繰り広げさせたり、退屈させる隙を与えない。現実の裁判なんて多分とても単調なので(見たことないけど)リアリティそっちのけであの手この手の工夫を重ねることが法定サスペンスでは重要なんだなと感じました。

まとめ。実話を基にした裁判を巡る法廷サスペンス。めちゃくちゃ理不尽な扱いを受けるシカゴ7に死ぬほど感情移入する映画でした。

以上、血を流すなら街中で流せ。お疲れ様でした。

視聴:ネトフリ

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