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【感想】武器人間

2013年 オランダ・アメリカ・チェコ
監督 リチャード・ラーフォースト
出演 カレル・ローデン
   アレクサンダー・マーキュリー
   ルーク・ニューベリー

あらすじ

第二次世界大戦末期の東部戦線にて。救難信号を受信したソ連兵一行は、ナチス・ドイツの占領地へと赴く。しかし、指示された場所は寂れた村で、なぜか誰一人姿が見えない。
調査を続ける彼らだったが、突然不気味な化け物に襲われてしまう。それは、死体と兵器が融合したグロテスクなモンスター『武器人間』。なんと、この村はナチスのマッドサイエンティストの実験場だったのだ!
残忍で斬新な『武器人間』たちと対峙する、POVホラー映画。

感想

1週間に一度はB級映画を見ないとやっていけない体になってます。

本作はB級ホラーでも珍しいタイプになってます。大体のB級ホラーって、とんでもなストーリーorキャラクターの個性を尖らせる方向で差別化しようとしますが、本作は真っ向勝負! モンスター造形に全てを賭けています。

プロペラヘッド(SONY pictures公式ページより)
モスキート(SONY pictures公式ページより)

めっちゃイカしてますよね! 絶対に実用的ではないフォルムがたまりません。モスキート君とか、足払いされたら一発で壊れそう。でもそこがいいんですよ。あとは、ナチスの軍服に錆の浮いたツギハギな機械もよく似合います。

多分そんなに予算のある映画ではなく、細かく見ればこのモンスターたちも粗があるんでしょうけど、そこはPOVというジャンルを上手く使っていたなと感じました。主観カメラなのでブレが激しい上に、研究所内は薄暗く映像も荒い。なので、細部は曖昧にしたままで、全体的な造形のおぞましさはしっかりと伝わってきました。

POVといえば、戦時中のカメラ映像という設定は独特でうまいこと作ったなぁと感心しました。映画って撮ったものをカット・編集して完成させるわけですけど、POVは実はそれが難しい。ずっと主人公がカメラ持ってるという設定だから視点が動かないため、場面切り替え、つまり編集点が作りにくいんですよね。今作は戦時中のカメラなもんで、こまめにフィムルを取り替えるシーンがあります。つまり、編集点に困らない。その結果、ダラダラしない、スピード感のあるPOVにまとまっていました。

ストーリーについてですが、特段語ることはありません。武器人間たちのキモかっこいい姿を見ることが本題なわけで、ぶっちゃけストーリーなんざどうでもいいんです。あらすじをちんたら書きましたが、要約すると、ナチ公がいつもどおり邪悪な実験をしていて、生み出された化け物が襲いかかってくる、ただそれだけですから。シンプルで潔い。

人間サイドのキャラクターたちがどいつもこいつもクズばっかだったのも良いポイントでした。全く感情移入しないので、武器人間にやられても心が痛まなかった。思う存分、モンスターの暴れっぷりと博士のサイコっぷりを楽しめます。巻き込まれたサブキャラたちだけが可哀想です。

まとめ。格好良さと気持ち悪さが同居した『武器人間』の造形がたまらない一作。POVホラーとして新たな可能性を開拓した映画です。ストーリーは期待しないでね。

以上、フランケンシュタイン博士の孫でした。お疲れ様です。

視聴:アマプラ

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