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【感想】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎

2023年 日本
監督 古賀豪
出演 関俊彦
   木内秀信
   種崎敦美

あらすじ


廃墟となっているかつての哭倉村に足を踏み入れた鬼太郎と目玉おやじ。 目玉おやじは、70年前にこの村で起こった出来事を想い出していた。 あの男との出会い、そして二人が立ち向かった運命について… 昭和31年―日本の政財界を裏で牛耳る龍賀一族によって支配されていた哭倉村。
血液銀行に勤める水木は当主・時貞の死の弔いを建前に野心と密命を背負い、また鬼太郎の父は妻を探すために、それぞれ村へと足を踏み入れた。
龍賀一族では、時貞の跡継ぎについて醜い争いが始まっていた。
そんな中、村の神社にて一族の一人が惨殺される。
それは恐ろしい怪奇の連鎖の本当の始まりだった。
鬼太郎の父たちの出会いと運命、圧倒的絶望の中で二人が見たものはー

東映オフィシャルサイトより

感想

ロングラン上映中である本作。いちおう地上波アニメのスピンオフ?にあたると思うんですけど、特別前知識は必要ありませんでした。鬼太郎・目玉親父・猫娘・ねずみ男のキャラさえ把握してればok。

そんで内容ですけど、陰鬱な村ミステリー+キャラ萌えするバディものという、新旧の人気邦画要素をいいとこ取りって感じです。そこに鬼太郎要素も組み合わさるのでごちゃごちゃしそうなもんですが、きっちり2時間以内に収めていて綺麗な仕上がりになっていました。

まず村ミステリー要素なんだけど、やっぱ良いよね。日本人はどうして閉鎖的な環境で起こる猟奇的な事件がこんなに好きなんだろう。アニメーションという手段をフルで活かしたおどろおどろしい色彩も、不穏な雰囲気を盛り上げてくれてめっちゃ良きです。

村の隠された真実を暴く、という定番な流れなんだけど、この真実が中々ドス黒い。子供向けの『鬼太郎』という看板を背負いながら、ここまで湿度の高い展開にしているのは相当攻めているなと感じました。

次はキャラクター要素なんですけど、ゲゲ郎(目玉親父)、みんな好きですよね。水木もいいキャラしてるんだけど、やっぱゲゲ郎のキャラクター性がここまで映画の人気を高めているような気がします。

初登場時こそ妖怪らしく不気味な雰囲気なんですけど、交流を深めていくうちに、かなり情に厚いキャラクターが見えてくる。戦争で心に傷を負っていたり、ムラ社会によって歪んでいたりと、人間たちの性格は大体みんなマイナスよりなんですけど、妖怪であるゲゲ郎だけは誰よりも愛情を信じてるんです。このギャップがたまらない

一番好きなシーンはやっぱり、墓場で水木とゲゲ郎が酒を飲むところ。妖怪の存在を認めた水木と、妻への愛情を泣きながら語るゲゲ郎が、互いにバディとして認め合う。ちょっとした笑いも良いバランスで、もう最高としか言いようのない場面です。あとは、ゲゲ郎が八面六臂の大活躍をするアクションシーンも超好き。

さて、最後に『鬼太郎』要素についてなんですが、ここがちょっと問題点ですよね。映画としては上で語ったようにかなり満足のいく出来になってるんですが、果たしてこれを『鬼太郎』としてやる必要があったのかどうか

タイトル通り、確かに最後には鬼太郎が生まれるんですけど、実際その流れがなくても物語としてそこそこ成立していまして。もっと色濃く鬼太郎要素を出すか、それかいっそのこと完全に排除してしまってもよかったような気がします。そこだけが中途半端で映画全体のクオリティから浮いてしまっているような感じです。

まとめ。『鬼太郎』を知らずとも楽しめるミステリー&アクション。どぎつい展開と個性的ななキャラが魅力の傑作アニメーション、って映画です。

以上、久しぶりに水木しげるロードへ行きたくなりました。お疲れ様です。

視聴:劇場

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