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【感想】ウィリーズ・ワンダーランド

2021年 アメリカ
監督 ケヴィン・ルイス
出演 ニコラス・ケイジ
   マイク・ナイロン

あらすじ

とあるトラブルから、廃墟となったテーマパークを一晩かけて掃除するという仕事を請け負った無口な主人公。彼は時折、謎のジュースを飲み、ピンボールに興じながらも、黙々と掃除を進めていく。
一晩で1000ドルという破格の仕事。当然というべきか、この仕事には裏があった。なんとこの廃墟は、悪魔によって魂が宿った8体の殺人ロボットに生贄を捧げるための、地獄のワンダーランドだったのだ。
次々と襲いかかる動物型ロボットたち。果たして無口な彼は、生き残ることができるのだろうか……!?

感想

世界一有名なB級映画俳優こと、ニコラス・ケイジおじさんの映画である。彼のような、幾つもの世界を救い、あるいは滅ぼしてきた人間が、果たして下等な動物ロボット程度に屈するだろうか、いやあり得ないだろう。

というわけで、本作は無口な怪人物が、迫り来るモンスターたちをボコボコにするタイプのコメディホラーである。もうこれ、ネタバレな気もするけど、開始早々ニコラスおじさんは正体を表すし、レビューにも書かれまくってるから言ってもいいよねと判断した。

戦闘シーンは爽快そのもの。初めこそ敵の不意打ちを喰らって怯むニコラスおじさんだが、その後は反撃の隙さえ与えずに、メッタメタのゴアゴアにモンスターを撲殺する。おそらく、この映画に出てくる血飛沫の9割以上はモンスターたちの血液だ。おじさんの顔は返り血で染まりきっている。

主人公の変人っぷりは暴力性だけではない。仕事の前に「無理せず適当に休めよ」と雇用主に言われたものだから、彼は律儀に何度も休憩を挟む。持参した謎のジュースを飲み、ピンボールをしながらはしゃぐのだ。その聖なる休憩は、モンスターの襲撃程度では止まらない。たとえ目の前で人が襲われていようと、彼はどこ吹く風で休憩に入っていく。

一番ツボったシーンもその休憩がらみで、ヒロインと二人、敵のロボットと対峙するんだけど、休憩の合図である腕時計のアラームが鳴ると、これで戦えと言わんばかりに彼女にそっとナイフを渡し、ニコラスおじさんは休憩室へと戻っていくのだ。これにはヒロインもモンスターも呆然である。

そんな感じに、主人公があからさまにやり過ぎなキャラクター設計ではあるのだが、いかんせんB級映画なんて尖っててなんぼみたいなところがあるので、私的には大好物だった。あのニコラス・ケイジに一言もセリフを喋らせないなんて、よく怒られなかったなと本気で感心します。

さて、始まってからニコラスおじさんについてしか喋ってないわけだが、ぶっちゃけそれ以外の部分はありきたりなB級ホラーなので、特に語りたいところもないというのが本音だったりする。死ぬために用意された愚かな若者だったり、秘密を死守しようとする老人だったり、その他のキャラクターについてはテンプレそのもの。

モンスター造形に関しては、わりと個性的で魅力があるのだが、まぁぶっちゃけてしまえば、そこも含めて設定はほぼとあるホラーゲームのパクリだろうから、素直に褒められるポイントでもなかった。

いや、ほんとにこれ、許可取らないとマズイんじゃないってくらいあれに似てるんですよね。もう言っちゃうけど、監視カメラで人形たちが動かないか見るあのゲームです。ただ、裁判沙汰になってないってことは、元ネタの作者的にも、「まあ、ニコラス・ケイジが出てるなら許すか」ってなってるのかもしれない。すげえよ、ニコラスおじさん。

まとめです。ニコラス・ケイジが一言も喋らずにモンスターどもを返り討ちにする映画、です。これ以外に表現しようがない。

以上、本当にお疲れ様でした、ニコラスおじさん。

視聴:アマプラ

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