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【感想】ボーはおそれている

監督 アリ・アスター
出演 ホアキン・フェニックス
   ネイサン・レイン
   エイミー・ライアン

あらすじ

日常のささいなことでも不安になる怖がりの男ボーはある日、さっきまで電話で話してた母が突然、怪死したことを知る。母のもとへ駆けつけようとアパートの玄関を出ると、そこはもう〝いつもの日常〟ではなかった。これは現実か? それとも妄想、悪夢なのか? 次々に奇妙で予想外の出来事が起こる里帰りの道のりは、いつしかボーと世界を徹底的にのみこむ壮大な物語へと変貌していく。

公式サイトより

感想

風邪で寝込んだ時に見る悪夢みたいな映画でした。唐突で無秩序な展開がずっと続き、真綿で首を絞められているような息苦しさを感じました。分かりやすいエンターテイメントが求められる現代において、モードに逆行するような今作。よくもまあこんな映画を世に出せたなぁと感心するばかりです(褒め言葉)

おそらく世界中の考察大好きマンたちがこぞってしゃぶり尽くすであろう映画ですが、ぶっちゃけそこまで考える必要のない作品だとも思いました。私の低いIQでは、シーンに隠された意味とか暗喩とかさっぱりですが、それでも最後まで引き込まれるように鑑賞することができて。ネジの外れた展開の仕方をする物語が、純粋に楽しかったです。

特に、最初の過敏すぎるボーの心配性が本当に起こるみたいな、どこからどこまでが現実で幻想なのか分からなくなる不気味さがとても好みでした。ボーも少なからずおかしいんだけど、世界はもっと狂ってるんじゃないかと、境界線が溶けていくような感覚。映像にリアリティがあるのもめっちゃ良くて、ボーの混乱っぷりが伝わってきて観客側まで息苦しくなってくるんです。

そこからは手を変え品を変え、物語はカオスの極地へと運ばれていくわけですが、とにかく終始気持ち悪さが伴っていて、視聴後はどっと疲れてしまいました。僕的には心地よい疲れって感じだったんですが、人によっては耐え難い苦痛になる可能性もあるなと思います。上映時間も約3時間と相当に長く、入れなかったらかなりしんどい映画だと思います。

特に、アリ・アスター監督の『ミッドサマー』が面白かったからと期待して見にいくと痛い目を見るかもしれません。ユーザーフレンドリーの欠片もない。ついてこられるやつだけついてこい、を地でいってますからね。

キャストについてですが、ホアキン・フェニックスは相変わらず役への入り込み方が病的なほど素晴らしい。『ジョーカー』と同じく孤独な中年男性なわけですが、180度違う狂い方を見事に表現しています。この映画の半分は彼の演技も見るためのものと言っても過言ではない。

あとは全体的に知名度低め?(にわか映画オタクなので間違ってたらすみません)ながらピンポイントで印象を残すことに特化したキャストだなぁと感じました。ロジャー役の人とかセラピスト役の人とかインパクト大です。

まとめ。訳のわからない展開と意味不明な恐怖を楽しむイカれたロードムービー。深く考察するもよし、表層だけで楽しむもよし、な映画でした。

以上、仕事忙しくてだいぶ映画見れてないですが、お疲れ様でした。

視聴:劇場

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