少女☆歌劇レヴュースタァライト 第12話 レヴュースタァライト 分析

今回は最終話です。


完全ネタバレ有りで書いて参ります。


既にアニメ本編を通しで1回以上ご覧になった方向けの解説となりますのでご了承下さい。


◇◇◇



それでは参ります。
今回は最終話ということで、この回についてと共に12話まで全体を通しての分析も交えて書いていきます。

最終話では大部分の時間が華恋とひかり、二人の対峙で使われています。
最初はひかりの台詞は一人芝居としての独白であり、華恋の問いかけに「あなたは誰? 分からない。あなたの声、あなたの温もり、あなたとの約束。大切だった覚えがある。でも、思い出せないの。」と返すのも戯曲スタァライトの台詞で、ひかり自身の言葉で応える事が出来ない。
それが華恋の「帰ろう、ひかりちゃん。私たちのスタァライトは、まだ始まってない。」という言葉を契機にひかりの台詞が途切れ、自らの意識で華恋に向き直る。
Aパートは構成としては上記のようにシンプルですが、“スタァライト”という劇中劇の台詞がもたらす重さ、そこから開放された瞬間の「バカ、バカバカ、バッ華恋。」の幼馴染の関係だからこそ言える言葉の対比が光ります。

そしてBパートでは終盤に第1話冒頭、アバンタイトルがここに繋がっていたと明かされる箇所も第1話からの細かな描写の積み重ねが全て緻密な構成の下に作劇されていた事が実感されます。
1クールを通してシリーズ構成、脚本、演出といった各制作陣の目指す所が明確に共有されていた事が伺え、だからこそアニメに続くロンド・ロンド・ロンドや劇場版スタァライト、♯2からの舞台版といった作品の中でより世界観やストーリーを発展させていくことに繋がっていったのだと思います。

第4話の分析などでも言及しましたがスタァライトはアニメ全体として、台詞ではっきりと説明する内容とそれ以外の画面の動きで視聴者に伝える箇所との配分が絶妙に練られていますね。後者は小説では地の文、戯曲等の脚本ではト書きと呼ばれる部分(尤も、実際はその中でも直接ナレーションとして表現する場合もあれば風景描写や暗喩等から間接的な表現を選択する場合もありますが)になる訳であり、私も二次創作を書いていく中で両者のバランスを考慮しつつ展開を進めていく重要性を改めて認識させられます。

最後に、最終話のエンディングについて述べます。

スタァライトを名作足らしめている大きな要因は、終わり方の素晴らしさにもあると強く思います。
ただ大団円だから良いということじゃない、登場人物がトップスタァの座を賭けたレヴューの中でそれぞれの経験をして、一人一人が第1話の時点とは変化している。
それがラスト2分、第100回聖翔祭を通して余すところなく描写され、最後には“星のダイアローグ”のCメロをバックにオープニングで幕が上がるシーンで物語は終幕を迎える。
スタァライトというアニメを何周していても、私は最終話を観終える度に毎回、ここまで綺麗な結末があるのかと心を動かさずにはいられないのです。

以上、最終話の分析でした。

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