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【イベントレポート】秀島史香さん×ゆる言語学ラジオさんが「伝わる話し方」のコツを教えます! #もっと上手に話したい

プレゼンをするとき、ミーティングで発言を求められたとき、気になるひとと出かけたとき……。仕事やプライベートを問わず、「もっと上手に話したい!」と思うシーンはだれにでもあるもの。でも、「上手に話す」にはいったいどうすればよいのでしょうか?

この悩みを解消するべく、noteでは、伝わる話し方のコツをスペシャリストから学ぶシリーズ番組をはじめました。いま注目のポッドキャスター「ゆる言語学ラジオ」のおふたり堀元ほりもとけんさん、水野みずの太貴だいきさん)をモデレーターに、毎回さまざまな分野の「しゃべりのプロ」をゲストにお招きして伝わる話し方のコツをひもといていきます。

初回ゲストは、ラジオDJ歴25年・ナレーターの秀島ひでしま史香ふみかさん。5月に刊行された著書『なぜか聴きたくなる人の話し方』(朝日新聞出版)も評判の秀島さんが実践するメソッドについて、たっぷりおうかがいしました。

多くの方にご視聴いただき、大好評だったイベントのなかで出たお役立ちTipsをまとめて記事にしました。「もっと上手に話したい!」とお悩みの方のヒントとなれば幸いです。

Tips❶ 「。(マル)」を増やせばわかりやすさが増す

秀島さんの著書『なぜか聴きたくなる人の話し方』のなかで紹介されている、「『。(マル)』を増やせばわかりやすさが増す」。具体的には「短い文でしゃべる」ということです。

ひとはつい、ダラダラと話を続けたくなってしまうもの。「。(マル)」ではなく「、(テン)」を打ちながら話すほうがラクだからです。

けれど、話を聞く側にとっては、話がどこに着地するのかわからないのは、理解するのにとてもカロリーをつかいます。「何を言おうとしてるんだろう?」と、聞くひとを迷子にさせてしまうのです。

秀島さんはラジオで話すとき、話を聞いているひとと同じイメージを頭のなかに描くことを意識しているそう。どうすればそれがやりやすくなるかについて、「一筆書きで全部書こうとしないことです。1ストロークをなるべく短くすると、『これはこういう話なんだ』と聞いているひとが理解しやすくなるのでは」と言います。

秀島史香さん

堀元さんは、イベントの本番前に楽屋で秀島さんに「今日みたいな湿気のある日は髪の毛膨らんじゃうんです」と話しかけられたそう。「一発でビジュアルに訴えかけたり、ヘッドラインでパッと伝えるみたいなところは本当に秀島さんは意識されているなと感じました」と振り返ります。

本業が編集者である水野さんは、「原稿を書けないときは接続詞を入れられないんです。接続詞は頭のなかで文章を構造化してないと入れられないんですよね」と言います。「しゃべりもそれと同じで、理解しないでしゃべっていると長くなってしまうと思うんです。短くしゃべるためには準備が必要なのでは?」という水野さんの指摘に、秀島さんはうなずきながら答えました。

「その通りです。丸腰で行き当たりばったりで何かおもしろい話をしようとしてもできません。話がうまいひとは、さもその場で思いついたような話し方をしていても、じつは見えないところで準備されていることが多いんです。自分が話したいことについて、ある程度は下ごしらえをしておいたほうがいいと思います」(秀島さん)

ゆる言語学ラジオ・水野太貴さん

Tips❷ 話が生き生きと動き出す「セリフ」活用法

秀島さんの著書で紹介されている「セリフ活用法」。これはたとえば「○○さんにこの前会ったんだけど」と話している会話のなかで、○○さんが実際に言ったセリフを挿入するというものです。

秀島さんは落語を聴いて「セリフ活用法」を思いついたといいます。

「1人の声だけで複数のひとを演じ分ける落語は、まるで憑依しているかのようなすごい表現方法だなと。同じく声だけでやっているラジオでもそういう部分を取り入れられないかと思い、『セリフを入れればいいんじゃない?』と気づいたんです。ラジオである1つの場面を説明するときにただの情景描写で終わってしまうと、どうしても臨場感に欠けてしまうので」(秀島さん)

たとえば、「七夕の日、巨大な笹飾りを見た女子高生が、自撮りをしながらたのしそうにしていました」というのはただの情景描写ですが、そこに「超きれい、色とりどりでなんかかわいくない?」という女子高生のセリフを入れることで、たのしさが伝わってきます。

このように、だれかの言ったセリフを声色やトーンも含めて再現してみると、聞いているひとはよりその様子を思い浮かべやすくなります。

「抽象度の高い話し方をするのではなく、具体的に描写するということですね」と水野さん。堀元さんも「セリフが1個入るだけで、冗長さがなくなって話にメリハリがつきますよね」とうなずきました。

ゆる言語学ラジオ・堀元見さん

Tips❸ しゃべりの達人になる方法
「ネギを捨てない!」とは!?

イベントの最後には、「しゃべりの流儀」コーナーでその日話したことを振り返りました。すると、堀元さんから飛び出した「ネギを捨てない!」がぶっちぎりでパンチラインだという話に。いったい「ネギを捨てない」とはどういうことなのでしょうか。

たとえば、経済学者のインフレの話を聞いて、「そういえばスーパーでネギ高かったなぁ」と思ったときに、その「ネギの話」を言葉にするかどうか。「僕はネギは捨てちゃう派なんです」と言う堀元さんに対し、秀島さんは「私はネギ行く派です」とのこと。

ネギの話のような個人的な感想であっても、それを言葉にしていけば、聞いているひとは自分なりの「ネギの話」を思い浮かべてくれるといいます。

「『ネギが高かった』という具体的な感想を言われることで、聞いているひとは一気に自分ごと化して考えはじめます。その場の会話から生まれた自分の感情は、一期一会のものであり、その場にいるみんなの共有財産でもあると思うんです」(秀島さん)

「こんな個人の感想をしゃべってはいけないのでは?」というのはただの自意識。ネギは捨てずに自意識を捨てましょう、と秀島さんは言います。

堀元さんも、「個人的な感想は話すべきじゃないかもと思っていたけれど、それはいまこの瞬間の自分しか出せないワードだと自信を持ってしゃべっていいんですね」と話してくれました。

「言おうかどうしようか迷うのは、マイナスのほうに舵を切ってしまうんじゃないかという心配があるからですよね。でも、ひとと話していて『これ聞きたいな』ということが浮かんだら、言うのが正解なんじゃないかなと。ひとと話すのは、こちらが言ったことに相手が返してくれて、それに対してこちらも返すというのが一番自然な流れなので。変に考えすぎずに、まずは素直に言葉にしてみればいいんじゃないかなと思います」(秀島さん)

「ネギを捨てない」代わりに「自意識」を捨てる。これこそが、しゃべりの達人への近道なのかもしれません。まずは、ひとと話しているときに頭に浮かんだことを言葉にしていくことからはじめてみてはいかがでしょうか。


▼イベントのアーカイブ動画はこちらからご覧いただけます。

登壇者プロフィール

秀島史香さん

ラジオDJ、ナレーター。1975年、神奈川県茅ヶ崎市生まれ。慶應義塾大学在学中にラジオDJデビュー。現在FMヨコハマ『SHONAN by the Sea』(日曜朝6時〜)、JFN系列局『Please テルミー!マニアックさん。いらっしゃ~い!』、NHKラジオ『ニュースで学ぶ「現代英語」』などに出演中。映画、テレビ、CM、アニメなどのナレーション、プラネタリウム、美術館音声ガイド、機内放送、EXILE『Ti Amo』や、絵本朗読CD『おとえほん』に参加するなど多岐にわたり活動している。 著書に『いい空気を一瞬でつくる――誰とでも会話がはずむ42の法則』『なぜか聴きたくなる人の話し方』(ともに朝日新聞出版)がある。
Twitter

秀島さんの著書『なぜか聴きたくなる人の話し方

ゆる言語学ラジオ(水野太貴 / 堀元見)さん

水野太貴さん(左)
名古屋大学文学部卒。専門は言語学。某大手出版社で編集者として勤務。言語学の知識が本業に活きてるかと思いきや、そうでもない。

堀元見さん(右)
慶應義塾大学理工学部卒。専門は情報工学。理屈っぽいコンテンツを作り散らかすことで生計を立てている。著書に『教養悪口本』『ビジネス書ベストセラーを100冊読んで分かった成功の黄金律』がある。
note / Twitter 

text by 渡邊敏恵


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