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スパイス料理研究家・印度カリー子さんがイベントで語った、クリエイターとファンを幸せにする「道づくり」とは?(聞き手:有賀薫さん)

学生時代から「印度カリー子」と名乗って仕事をはじめ、ここ4年でスパイスに関する書籍を15冊出版!東大大学院でスパイスを研究したり、スパイスカレー初心者のためのお店を運営したりと、その魅力を伝え続ける料理研究家・印度カリー子さん。

スパイスカレーブームはまだ道半ばと謙遜しながらも、ご自身や商品のブランディング、SNS活用の心得、多くの人に手に取ってもらえるレシピ本づくりの工夫についても、余すところなく語っていただきました。

この記事では、イベントで話された内容をダイジェスト形式でお届けします。今回のイベントのすべては、以下のYouTubeよりご覧ください。

「どうしてないの?」疑問からはじまったスパイス作り(18:29-)

印度カリー子さん 毎日カレーをつくっているときに、スパイスの悩みがたくさんあったんです。例えば、どこで買えばいいかわからないし、余るし、量が多いし、高いし。日本のほとんどの人がスパイス初心者なはずなのに、どうして初心者のためのスパイスが存在しないんだろう? って思っていました。そこで、「初心者のためのスパイスセットがほしい!」と強く思って、1年以内に販売をはじめました。

(寄せられたコメント抜粋)


クリエイターが考えるべきは「道」をつくること(30:57-)

印度カリー子さん 「初心者にとってスパイスは非常にわかりにくい」と自分自身が感じていたし、そう感じている人はきっと多いはずだと思っていました。なので私は、スパイスセットやレシピ本を通して、初心者が渡りやすい「道」をつくっただけなんです。(中略)クリエイターは作品をつくっているだけではダメだと思っているんです。作品をつくっているだけの人は、ただ生んでいる状態。クリエイターがしなければいけないのは、届けたい人を明確にイメージして、いいものをつくり、そこに「道」をつくること。どちらもやらないといけないのに、片方ばかりを追い求めることに満足してしまう人が多い気がします。

(寄せられたコメント抜粋)


試した人を100%幸せにするレシピ本へのこだわり(36:47-)(50:27-)

印度カリー子さん レシピ本の通りに厳密につくる人って半分ぐらい。もう半分は分量を少し変えたりと、どこかしらゆらぎが出てくると思うんですよね。だからこそ、きっちり量らないとおいしくできないレシピは出さないようにしています。再現してつくってくださっている方を100%幸せにしたいので。そのための試作が1番多いのは、レシピ本です。

例えば『圧力鍋で作る印度カリー子のスパイスカレー教室』の場合、圧力をかける時間が長いほどブレが出てきてしまいます。その時間を少しずつ変えながら、ゆらぎがあってもおいしくできる時間を何度も検証します。なので、試作の回数は増えてしまいますね。

でもそこまでこだわれるのは、最初から最後まで全部のレシピをつくってくださるフォロワーさんがいるから。レシピを書くときに、その人たちの顔が思い浮かぶんですね。その人たちに100%満足してもらいたいから、とことんこだわり抜いたレシピが書けるようになったんだなと思いますね。

(寄せられたコメント抜粋)


スパイスセットの比率を当初からあえて変えた理由(43:11-)

印度カリー子さん 私の場合、タ・ク・コ(ターメリック・クミン・ コリアンダー)の比率を 1:1:1 にしているんですが、厳密にはターメリックの比率がちょっと少ないんです。でも、それはわかっていて。むしろ、これまでの配分(1:1:1/2)の難しさのせいで諦めた人が何人いるかを考えたかったんです。

実は、『1人分のスパイスカレー』の1番最初の原稿では、比率を1:1:1/2にしていました。そのとき、編集者から「1:1:1じゃダメなんですか」と質問されて。試作したところ、その比率でもおいしかったんですね。私が届けたいのはスパイス初心者。1:1:1でもおいしいのに、1:1:1/2のままにするのは私のエゴでしかないと思ったので、わかりやすくするほうを選びました。

(寄せられたコメント抜粋)


インプットを続けなければアイデアは降ってこない(1:01:51-)

印度カリー子さん 発想は天から降ってくるわけではなく、自分のインプットしてきたことの網合わせでしかないと思っていて。過去のインプットや経験の要素の組合せで出てくるもの。常にインプットし続けることをやめないですね。そうしないと、アイデアが出てこなくなってしまうから。4年で15冊のレシピ本をつくりましたけど、それ以上のペースで他の人のレシピ本を見て(実際に)つくっていますね。

(寄せられたコメント抜粋)


質問 : 悩んだときは誰かに相談しますか?(1:07:30-)

印度カリー子さん 相談しないです。自分の熱量が100%だとすると、それを超える熱量のある人はほとんどいないんです。もし120%の人がいたらすでにやっているはずですし。つまり、自分よりも低い熱量がある人しかないのであれば、マイナスの要素が入ってしまうことが悔しいので。全部やってから事後報告ですね。

(寄せられたコメント抜粋)


視聴者の感想


フードカテゴリ担当者の感想

印度カリー子さんが、なぜここまで多くの人に信用されるようになったかを垣間見ることができました。特に大事だと思ったことは、クリエイターは生み出すだけではなく、読んだ人がつくれるようにするための「橋(道)」をつくること。印度カリー子さんの場合は、「スパイス初心者」という需要のある層にきちんとターゲティングし、その人たちに届くように道をつくったからこそ(スパイスの比率をわかりやすくするなど)、スパイスカレーの裾野が広がっていったのだと感じました。今週末、印度カリー子さんのレシピ本を読みながら、スパイスカレーをつくってみようと思います!(平野)

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