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黒田悠介さん×桜林直子さん「50年働く世代のキャリアのつくりかた」イベントレポート

「人生100年時代」という言葉もありますが、健康寿命がのび、定年が70歳や75歳まで延長されたとすると、いまの若い世代は50年近く働く可能性があります。その一方で、現在の不安定な世の中において、人生やキャリアをどう設計していけばいいのか、悩んでいるひとも少なくないでしょう。

そんな悩みを抱いている方に向けて、3月25日(木)、黒田悠介さん桜林直子さんが出演するトークイベント「50年働く世代のキャリアのつくりかた」をライブ配信しました。イベントでは、事前に募集したお悩みをテーマに、おふたりの考えをお聞きしました。イベントで取り上げた5つのテーマのうち、本レポートでは3つをピックアップしてご紹介します。

イベントのアーカイブ動画はこちらからご覧になれます!

コミュニティ「議論メシ」を主宰し、「ディスカッションパートナー」としても活動する黒田悠介さん。著書『ライフピボット 縦横無尽に未来を描く 人生100年時代の転身術』では、いくつものライフスタイルを転換(ピボット)する生き方を提案しています。

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クッキー屋「SAC about cookies」を経営するかたわら、noteにてコラムやエッセイを投稿されている桜林直子さん。「やりたいことがあるひと=夢組」「やりたいことがないひと=叶え組」という新しい定義をしたnote『世界は「夢組」と「叶え組」でできている』が話題となり、同記事をもとに執筆した書籍『世界は夢組と叶え組でできている』も反響を呼んでいます。

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異なるバックボーンを持つおふたりが、それぞれの観点からお悩みに回答してくれました。

​やりたいことがわからない。どうやって仕事を選べばいい?

就職活動をはじめたひとの多くがぶつかる「自分のやりたいことがわからない」という問題。やりたいことがわからないと仕事選びができない、と思いがちですが、「やりたいことがないといけないというのは思い込み」だと黒田さんは言います。「いま目の前にあることをやりはじめるのが一番。やっていくなかで自分に向いているか向いていないかがわかってくるので、あまり考えすぎずに行動に移すほうがいいと思います」。

いまは1つの会社で何十年も働き続けるというひとのほうが珍しくなりつつあります。「一社目にどの会社に入るかという選択にはそれほど重きを置かなくていいのかも。それよりも、入ってから軌道修正できるように、ピボットできる状況をつくっていくのが大事」と黒田さん。

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そのピボットに成功したといえるのが桜林さんです。桜林さんは12年の会社員生活を経て独立し、「SAC about cookies」を開店しました。しかし、もともと「自分のお店を出したい」と思っていたわけではなく、収入を増やさなければならないという必要にかられての転換だったとのこと。

「ひとからはやりたいことをやっていると思われがちだけど、じつは私も『やりたいことがないひと』なんです」と桜林さん。「仕事って自分がやりたいかどうかではなく、マッチするかどうかだと思っていて。自分が何にマッチしているかを知るには、いろいろやってみることが必要かなと思います。間違ったとしても変えられるので、一発で当てなくてもいい」。

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「やりたいこと」にとらわれすぎず、「とりあえずやってみる」のが大事だと、おふたりは口をそろえます。

転職のタイミングがわからない

今回寄せられたなかでもっとも多かった質問です。「いまの会社でやりたいことやモチベーションはないけど、自分のスキルなどを考えると転職はいまじゃないのかも」と悩んでいる方が多いようです。

「迷っているということは、いまの会社でそこまで困っている状態ではないですよね。それならいったんいまの状態を維持して、いつでも転職できるように準備だけしておくといいのでは。時間があるなら副業を探してもいいですし」と黒田さん。

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一方、桜林さんは、「なんだか損得勘定で考えているひとが多い気がする」と首をかしげます。「転職するかしないか、どちらが得か? みたいな。そういう考え方だと、どちらを選んでも損をしたと思っちゃうんじゃないかな」。

黒田さんも桜林さんの言葉にうなずきながら、「どこに行っても『なんか違う』とならないようにするには、なぜいま自分は転職したいと思っているのか、どこに不満があるのか、分解して考える必要がありますね」と続けました。たとえば、その不満が上司に対してのものだったら、転職しなくても部署を異動すればすむ話かもしれません。

桜林さんも、「自分が何が嫌なのか、自分には何ができるのかを自覚することが大切」と言います。「実際に明日転職していいよという状況になったら何ができるか、ということを考える。それは仕事をしながらじゃないと見つけられないと思うんです。辞めてお家でぼんやりしていてもなかなか見つからない」。

桜林さん自身、自分のお店を出す前に、会社員をやりながら事業計画を脳内シミュレーションしていたと明かしてくれました。

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黒田さんも、会社員時代に毎月のように職務経歴書を書いていた時期があったそう。「仕事は粛々とやりつつ、来るべきタイミングでいつでも転職できるよう準備しておくことが大事」と黒田さん。準備さえしておけば、自信がついた状態で転職できそうです。

40〜50代で新しいキャリアを築き、収入をふやすにはどうすればいい?

なんらかの理由でいったん仕事から離れたけれど、ふたたび新しいキャリアを築いて収入をふやすには? という質問です。

黒田さんは、「完全にゼロベースで新しいことをするというよりも、過去にやってきたことをカスタマイズするだけで、新しいキャリアにつながるのでは」と言います。誰だってこれまでにやってきたことが何かしらあるはず。自分の経験を「棚卸し」して、そのなかからできることを探してみるという考え方です。

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桜林さんもうなずきながら、クッキー屋を経営しつつnoteを執筆したときのことを話してくれました。

「『クッキー屋さんが突然文章を書いた』というと新しいことをはじめたと思われるかもしれないけれど、私はもともと言語化することが得意だったんです。子どもが成長して時間ができたときに、noteで文章を書きはじめて。それを何年か続けていたら文章のお仕事をいただいたり、本も出していただいた。最初からこれを仕事にしようと思っていたわけではないんです」

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桜林さんのお話を受けて、黒田さんは「種をまくことが必要」と指摘しました。「桜林さんのように、本業とは別のラインをつくっておくと、それがいつの間にか大きく育つこともある。すぐに収入がふえるわけではないけれど、中長期的にはふえるかもしれない。試しに種をまいてみたら、いつの間にか成長して本業を追い抜いていた、ということもある」。

何かをはじめたからといってすぐに収入がふえるわけではなく、効果が出るまでには長い目で見る必要がある、とおふたりの見解が一致。「何かはじめてから結果が出るまで、ざっくり2年かかると思ってるんです。逆に、すぐに効果が出るものってリスクも高いと思う」と桜林さん。

黒田さんも、「一瞬でバズって華々しく活躍しているインフルエンサーもいますけど、じつは彼らはフォロワー数をふやすのに何年かかかっていたりします。やっぱりコミットする時間は一定期間持たないといけない」と続けます。

ただ、その間にも食べていかないといけないので、生活のため、食べていくために働く「ライスワーク」と、物事を育てていく「ライフワーク」の時間を使い分ける必要がある、とも教えてくれました。

最後に、おふたりからひとこと

黒田さん:「人生100年時代」は気軽さが大事。一度決めたことで何十年も生きていくのではなく、柔軟に自分を変えていくということが必要です。少しずつ自己理解をアップデートしながら、そのときそのときで最適だと思うところに向かっていけばいい。気軽にピボットの波を乗りこなす、みたいな。今日の話が、そんな感覚を持つきっかけになればいいなと思います。

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桜林さん:私自身も含めて、みんなが同じような悩みを抱えているんだなと思いました。思い込みを捨てるということ、自覚をするということが大事だなと。長い目で見てちょっとでも楽しいほう、嫌じゃないほうに自分を置いていけばいいと思う。自分の位置は自分で変えていけるとわかっていれば、良いほうにいくと思います。これからも働いていくのは大変だけど、気楽にいきましょう(笑)。

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黒田さん、桜林さん、ありがとうございました! おふたりのnoteも、ぜひご覧ください!

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text by 渡邊敏恵

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