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山下義弘さん×假屋崎ひでとしさん「ファンとつながる、ブランドストーリーの届け方」イベントレポート

クリエイターエコノミーの普及で、自分でブランドをつくり、ネットショップで商品を販売し、ブランドのストーリーや商品の魅力をnoteで発信するクリエイターがふえています。

そうしたブランド運営者にとって役立つナレッジを紹介するため、noteは8月6日(金)に「ファンとつながる、ブランドストーリーの届け方」イベントを開催しました。イベントでは、BASEとnoteを両方活用しながらブランドストーリーをうまく発信されているドケットストア店主の山下義弘さんBuddy’s假屋崎ひでとしさん、モデレーターとしてBASE株式会社のOwners Marketing Division マネージャー岸本康希さんをお招きし、noteやSNS、ネットショップのそれぞれをどうブランドづくりに活かしているのかお話しいただきました。

イベントのアーカイブ動画はこちらからご覧になれます。

効率化できるところはしっかり効率化する

大阪府箕面市で文具と収納用品のラベリングをテーマにしたお店を運営している山下さんは、ネットショップの運営やSNS発信もおひとりでされています。「効率化できるところはしっかり効率化するのがコツ」とのこと。

「ヤマト運輸のシステムに、BASEからダウンロードしたお客様情報を簡単に登録できるので、発送にもとても便利です。noteはつかっていてストレスフリーですごく楽ですね。たとえば高画質な画像でもドロップするだけで綺麗に挿入できたり、商品の埋め込みもURLを入力するだけでリッチな形で表示されたり。いろいろな面で助かっています」と山下さんは言います。

効率化して捻出した時間を、山下さんはnoteの記事を書く作業にあてているそう。現在は週に1回のペースでnoteを更新。お店で販売しているものや気に入っているものについて、高い熱量で書かれた記事が人気を集めています。

目指す最終地点は「仲間をふやす」こと

Buddy’sさんは、環境や社会に配慮したグッズを扱っているセレクトショップ。5人のチームでネットショップとSNSの運用をしています。

「BASEとnoteを連携させることで、ネットショップで販売している商品の詳細をnoteで伝えられるのがいいなと思いました。うちは環境や社会に配慮した商品を扱っているので、その商品がつくられた背景や、環境や社会に関する問題についてもしっかり伝え、読んでおもしろいと思っていただける記事を発信していきたいです」と假屋崎さんは言います。

Buddy’sさんの目指す最終地点は「仲間をふやす」こと。noteは交流や出会いが生まれるプラットフォームなので、想いを語る場所としてぴったりだと思ったそうです。

オフラインでのコミュニティづくりにも意欲を見せるBuddy’sさん。やさしさを体感できる飲食店「yacore」が、10月頃に吉祥寺でオープン予定です。

発信することで知ってもらうきっかけになれば

事前質問でとくに多かった「発信は売上にどうつながるか?」という質問に対し、山下さんは「売上を目的として発信するのではなく、発信することで商品やお店を知ってもらうきっかけとなれば」と言います。

「『買ってください』というメッセージは直接的すぎる。何気なく読んで『ちょっといいな』と思ってもらえるぐらいでいいのでは。以前、自分のネットショップで販売していない商品を褒めた記事をアップしたことがあったんです。売上には影響しないんですが、だからこそ本音で褒めることができたのかなと。そこに好感を持っていただけたのか、この記事はたくさん読んでもらえました」

知ってもらえるきっかけになる記事を公開することで読者の信用につながり、それが売上にもつながっていくのかもしれません。

01_談笑する山下さん

ドケットストア 店主
山下義弘さん

ドケットストア店主。無印良品を運営する良品計画で店長などをつとめ独立。文具と収納用品のラベリングをテーマにしたお店を大阪府箕面市で運営。三角コーン看板のD2Cや、クラウドファンディングを活用したオリジナル文具開発等、noteを起点に様々な挑戦を行っている。
note / BASE / Twitter

ニッチなもののおもしろさをたくさんのひとに届ける

山下さんが一番最初に想定したお客様像は「自分自身」だったといいます。

「noteはたくさんの方に読んでいただけるのですが、うちが扱っている商品はニッチなもの。ニッチなもののおもしろさをたくさんの方に向けて紹介するため、言葉遣いなどは選びつつも、基本的には『自分が読んでうれしいと思うことを書こう』と心がけています」

ニッチなものを扱いながらたくさんのひとに届いた事例が、SOGUのブックエンド「9° BOOK STOPPER」です。

生活必需品というわけではないけれど、「こういうのがあるといいな」という要望を叶えてくれる「9° BOOK STOPPER」。山下さんの記事に共感したひとの反響がじわじわと広がり、最終的にはメーカーの在庫が1回なくなるくらいの注文が集まったそうです。

「だれから買うか」に訴える記事を心がける

一方、Buddy’sさんは、Amazonや楽天でも販売している商品を取り扱うことも多いそう。発信するときは「『だれから買うか』に訴える記事を心がけている」とのこと。

「Buddy’sでは5人のチームでネットショップとSNSの運用をしています。5人のなかでも商品の説明がうまいメンバー、熱意や哲学を伝えるのがうまいメンバーなど、得意分野が違うので、記事の目的によって担当を分けています。そうすることで、1つの商品を切り口を変えて何度も紹介することが可能になります」と假屋崎さんは言います。

02_談笑する假屋崎さん

Buddy’s
假屋崎ひでとしさん

環境や社会に配慮したグッズのセレクトショップを運営。「どうせ買い物するなら、環境や社会に良いものを選ぼう」と想いをもった仲間(Buddy) をふやすことを目標に活動しています。
note / BASE / Twitter

商品を紹介する記事のなかにも「自分の想い」を乗せる

假屋崎さんは、「セレクトショップの利点はいい商品やブランド、ひとに出会ったときに、それがそのままお伝えできるコンテンツになること」だと言います。そこにどれだけ「自分」を出すかということに取り組んでいるそう。

「チームメンバーは5人全員シャイなんです(笑)。なので、イラストをつかったりして、できる範囲で『顔』を出すことで熱い想いを伝えたいなと。自分たちが日常のなかで感じたことや、思考の仕方といったものを記事で見える化し、読むひとに追体験してもらうことで、少しずつ僕たちのことをわかってもらえたらと思っています」

夏、コンビニとレジ袋』という記事は、コンビニで買い物をするときにレジ袋を断るという内容。
そこに、レジ袋がないから両手に収まる量の買い物をするように行動が変化してきたことや、結果出費が減ったこと、商品にプラスチックがつかわれすぎているという気づきを得たことを盛り込むことで、日常のシーンから「こんな見方もあるのでは?」という主張を折り混ぜた、読むひとの共感を呼びやすいストーリー仕立てにする工夫をしています。

オンラインの発信は続けること、数を打つことが大事

「オンラインの発信は続けること、数を打つことが大事」と山下さんは言います。「数を打たないと、どれが響くのかがわからない。自分では『これ需要あるのかな?』と思っていた記事のほうが興味を持たれるケースもある」

たとえば、山下さんが2020年7月に公開した補助金の申請方法について書いた記事は、シェア数に比べてビュー数が多かったそう。「必要とされている情報は届く。何が響くかは実際に記事を公開しないとわからない」と山下さん。

假屋崎さんも山下さんの言葉にうなずきながら、「とにかくたくさん出してみて反応がよかったものを残すとか、出してダメだったらそのときにまた次のことを考えようというぐらいのスタンスでやるのがいいのかも」と話してくれました。

04_イベント風景

視聴者のみなさんの質問

最後に、事前にみなさんからいただいた質問に答えていただきました。

「ブランドコンセプトを書けば書くほど要点がまとまらず伝わりにくくなってしまう。壮大なコンセプトと思われることがあるが、どうすれば?」

假屋崎さん:ブランドコンセプトは壮大でいいし、逆にこだわりまくっていてもよいと思います。そこに自分が共感できるものがしっかりあるかどうか、自分が腹落ちしているかどうかが大事かなと。

「発信していてもその他大勢に埋もれている感じがしてしまう。見てもらうためのコツは?」

山下さん:よほどのインフルエンサーじゃない限り、だれもがその他大勢に埋もれていると思います。なので、埋もれているのを前提にして「見てもらうためにどうするか?」を考えたほうがいいかなと。切り口を変えて何度も発信するとか、何がうまくいったかを分析してチェックのサイクルを回してみるといいと思います。

03_イベント風景

写真左上から時計回りに、ドケットストア山下義弘さん、Buddy's假屋崎ひでとしさん、BASE岸本康希さん、note平野太一

最後に、おふたりからひとこと

山下さん:僕も1回noteを書くのを諦めたことがあって。でも何かのきっかけでまた書きはじめて、何本も何本も記事を書いていくうちにそのうちのどれかが当たった、みたいな感じでした。ですのでみなさんもまずは何本か続けてnoteを書いてみてください。それがうまくいくことを祈っています。

05_談笑する山下さん

假屋崎さん:僕はじつは飽き性でして、1人でやっていたら確実に3ヶ月ぐらいで心が折れていたと思うんです。でもチームのみんなが頑張ってやってくれてなんとか1周年を迎えられたというところがあるので、もし1人で心が折れそうであればだれか誘ってみて共同でやってみるというのもいいんじゃないかなと思います。

06_談笑する假屋崎さん


山下さん、假屋崎さん、ありがとうございました!

text by 渡邊敏恵

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