Well-beingを日常生活の中で実現するには

みなさん、お久しぶりです!五十棲です。
前回は「Well-being」の定義・本質について、私なりに考えたことをまとめました。改めて整理すると、以下の3つにまとめることができます。
➀Well-beingにはQOL・持続的幸福のような「状態」を表す意味とその状態をクリエイトするための「能力」を表す意味の両方が含まれる
②Well-beingは個人と社会の2つの観点から考える必要がある
③個人のWell-beingの観測者は自分であり、他者や社会が決めるものではない
今回はこの3つの視点をもとに、日常生活の中でWell-beingを実現するにはどのような取り組みが必要なのか、考えていきたいと思います。
Well-beingは、<個人>と<社会>の2つに分けられます。両者は相互に影響を及ぼしあいますが、今回はわかりやすいように<個人>のWell-beingに主眼をおいて考えます。
まず、Well-beingには「状態」と「能力」の2つの意味がある、と記載しました。「状態」とは、身体的・精神的・社会的な充足を意味します。「能力」については様々な議論がありますが、ここではオランダ発の概念である「ポジティヴヘルス(2011年)」の考え方を採用し、主体的に問題や課題を管理し、具体的な行動とともに適応していくこととします。
この2つの関係性を捉えると、Well-beingは

身体的・精神的・社会的な充足の確認

主体的な問題・課題の発見

問題・課題に対する具体的な行動による適応

身体的・精神的・社会的な充足の確認

というサイクル構造になっているのではないか、と考えられます。
これを仮に「Well-beingサイクル」と呼びます。
では、このWell-beingサイクルをどのようにして日常生活の中で実現していくことができるでしょうか。身体的・精神的・社会的な充足は、<Well-beingの定義③:個人のWell-beingの観測者は自分であり、他者や社会が決めるものではない>という定義にしたがって、個人の主観に委ねられる領域です。重要なのは、より良い状態を実現していくために自分のココロとカラダの声を素直に聞く耳をもつこと、そのために解決が必要な問題・課題に対して適切な行動を実践できることです。
私が運営しているイヴケアで一番気を付けていることは、まさにこの点です。特に、イヴケアでは毛髪中のホルモン量という本人が誤魔化すことができない、とてもインパクトが強い生体指標を扱います。そのため、返却の仕方を一歩間違うと「相手のココロ状態を決めつける」結果をお返しすることに繋がり、Well-beingの定義を破ってしまいます。そのため、私たちは常に「状態を決めつけるための測定」ではなく「自分のココロとカラダの声を素直に聞く機会を提供するための測定」であることを強く意識して結果の返却やその後のフィードバックを行います。具体的には、単に結果をお返しするだけではなく、結果の返却と一緒に、そもそもストレスとは何なのか、今回の結果にどのような意味があるのか、という流れを説明会方式でお伝えします。また、定期的なセミナーを通じて、ココロとカラダの声を聴くための知恵と姿勢づくりのお手伝いを行っています。

メンタルヘルスの領域は、個人の主観が非常に重要な指標となる特性上、医療とヘルスケアの明確な切り分けが難しい領域でもあります。
あくまでヘルスケアの文脈で事業する身としては、Well-beingサイクルの実現を科学的・体系的にサポートしていくことが、明確な区分けにつながり、医療とヘルスケアのグレーゾーンで悩む多くの人の支えになると信じて、これからも挑戦し続けたいと思っています。