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冷めたコーヒー

冷めたコーヒーが美味しく感じるというのを
ある人が言っていて、すごく共感したのでその話を。

親の教えもあって、残さず食べる、しっかり3食とる、
熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに。
そんな意識が染み付いている私は、
ゆっくり食事を摂ることが苦手だったりする。

特に、上に姉がいるのもあって
あまりのんびりと食事をしているのは好きな物を奪われる危険性も伴う。
だからのんびりと、
自分のものを 自分の分だけ 自分の時間で という贅沢を
カフェでの時間や、大人になって一人暮らしの今味わうことができている。

湯気の立つコーヒーも素敵なのだけど、
早く飲まないといけないような強迫観念を覚える時もあって、
でも本当に自分が時間を忘れるほどリラックスしている時は
知らぬ間にコーヒーが冷めていて、
それを一口飲むと、自分の雑念が見事に沈殿して
すっきり澄んだ黒い液体になっているのに気がつくことができる。

家にいることが多くなった今は、
コーヒーを淹れて、映画をオンラインで観ることも多くなった。

「なんとなく見る」ために、
普段は観ないジャンルのタイトルをクリックしてみると、
とんでもなく引き込まれて、してやられた感。うっかり泣いてしまった。
泣きたいような気分でもなかったのに、うかつだった。

映画のタイトルは、
【コーヒーが冷めないうちに】。

私のコーヒーは、冷めていた。


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