「ともに働く仲間を大切にして、同じ方向を向いて走りたい」PTP CFO 根本 裕 氏が語る理想の組織とは
独自の技術とインフラによって整備したメディアデータを用いて、まだ可視化されていない情報をデータベース化し、社会のデジタル化に貢献する株式会社PTP(以下、PTP)。同社の取締役CFO(Chief Financial Officer)として活躍する根本 裕(Yutaka Nemoto)氏のキャリア形成、企業選択の軸に迫ります。
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“ニューエリートをスタートアップへ誘うメディア” EVANGEをご覧の皆さん、こんにちは。for Startups, Inc.のEVANGE運営チームです。
私たちが所属するfor Startups, Inc.では累計650名以上のCXOを含むハイレイヤーや経営幹部クラスのご支援を始めとして、多種多様なエリートをスタートアップへご支援した実績がございます。
EVANGEは、私たちがご支援させていただき、スタートアップで大活躍されている方に取材し、仕事の根源(軸と呼びます)をインタビューによって明らかにしていくメディアです。
「可視化されていない情報をデータベース化」日本初のサービスを提供するPTPの事業内容とは
-- まずは、PTPの事業内容を教えてください。
PTPは、まだ可視化されていない情報や、構造的に整理されていない情報をデータベース化して、社会のデジタル化に貢献するプロダクトを提供しています。
具体的には、テレビで放送された内容をインターネットのように検索できる全録型のHDDレコーダー「SPIDER PRO」をはじめ、テレビCMをエリア別にデータベース化した「Madison」、テレビ通販番組のデータを可視化できる「ordr」といった3つのサービスを展開しています。いずれも日本初のサービスで、当社で開発からクライアントへの提供まで一気通貫で行っています。
-- PTPにおける根本さんの役割について教えていただけますか?
私は取締役CFOとして、コーポレート部門全般を管掌しています。公認会計士の資格を有しているので経理部門はもちろん、財務・法務・総務・人事部門のマネジメントや、その他IPO準備に携わり、バックオフィス全般を統括しています。
仲間と力を合わせて、掲げた目標を必ず達成する
-- 根本さんの価値観形成の原点を遡って伺いたいと思います。学生時代に印象に残っているエピソードはありますか?
印象深いのは、中学から始めたバレーボール部での活動です。仲の良い友達に誘われたのをきっかけに、そのまま入部しました。当時は強豪校だったこともあり、先生もキャプテンもスパルタで練習は厳しかったのですが、なんとか周りについていこうと頑張ったのを覚えています。
ハードな練習に打ち込む中、中国大会出場を目標として掲げ、仲間と切磋琢磨しながら練習を重ねた結果、無事にその大会に出場することができたんです。
それは私にとって初めての成功体験になりましたし、その経験をきっかけに、「自分で立てた目標は努力すれば達成できる」という気概を持つようになりました。
-- 中学時代の成功体験が、根本さんの価値観を形成したのですね。その後、いつから公認会計士を目指そうと思われたのですか?
きっかけは高校時代の進路相談でした。同級生は、大学進学を視野に入れる人もいれば就職する人も一定数いて、私も進学か就職か迷っていた時に、担任の先生との進路相談で、立命館大学に新しく公認会計士を養成するプログラムが開講することを知ったのです。
当時、高校で簿記を勉強しており、数字を使って決まったゴールを目指すプロセスに面白みを感じていたこと、また、将来的に地元岡山で働くのであれば、人と異なる強みを持ちたいと考えていたので、大学進学を決意し、公認会計士を目指しました。
-- 大学在学中に公認会計士の試験に合格するのは、難易度も相当高いと思います。勉強を続けられたモチベーションはどこにありましたか?
入学時から「公認会計士になる」と決めていたので、あとは目標に向かって走り抜くだけだと自分を奮い立たせて勉強に励みました。
もうひとつ、モチベーションの源泉になったのは「仲間」の存在です。学生時代の部活動もそうですが、目標に向かって頑張るかたわらには、いつも仲間の存在がありました。大学とのダブルスクールになるので、専門学校で仲良くなった仲間と一緒に勉強したり分からないことを教え合ったりするのは、サークルみたいで楽しかったです。
同じ方向を向いた仲間がいたからこそ、諦めずに合格まで走り抜くことができたと思っていますし、「仲間と一緒に物事をやり遂げる」気持ちは、社会人となった今も大事にしています。
監査法人でIPO支援スキルを習得。現場とのコミュニケーションを大切に
-- 公認会計士の資格を取得されたあと、有限監査責任法人トーマツ(以下、トーマツ)に入社されています。入社の背景と、実際に入社してみての印象を教えてください。
数ある大手監査法人の中で、トーマツはIPO支援に強みを持っています。トーマツであれば、監査業務に加えてIPO業務のスキルを身につけられ、公認会計士として強みを持てると思い、入社しました。
入社後は岡山事務所に配属になり、金融、小売、介護など幅広い業界の会計監査を担当しました。業界や会社によって異なるビジネスの仕組みや、統制構築を勉強できて日々充実していましたし、何より地元に根付いた会社を支える仕事ができたのが、誇らしくもありました。
-- その後、キャリアアップを視野に入れて2017年に東京に異動されましたね。
はい。公認会計士としてさらなるステップアップをはかるべく、トーマツの強みであるIPO業務を経験できる部署に異動しました。
IPOを実現するまでには、数多くのステップが存在します。支援に携わる中で一筋縄ではいかないような困難にも直面しましたが、そんな時こそ私は、クライアント側の現場の人との対話を大切にしてきました。課題を見つけた時は、過去の経験や事例を踏まえて、気を付けるべきポイントをレクチャーするなど、指摘だけではなく相手にプラスになる情報を提供していくことを大事にして、クライアントとの信頼関係を築いてきました。
-- IPO支援は、会計士としてキャリアを積むうえで、着実にプラスとなった経験だったのですね。
そうですね。IPOを目指す意欲のある会社と一緒に業務を進めるのは、経営者や現場の熱意を直に感じるので良い刺激になりましたし、困難が多かったからこそ、やりがいも大きかったです。
IPO実現のために会社の課題を解決し、経営者を支えたい
-- 貴重な経験を積めたトーマツから転職しようと思ったきっかけを教えてください。
多くの企業の会計監査と、入社当初の目的だったIPO業務をひと通り経験できたので、公認会計士としてさらに成長するために転職しようと思いました。
トーマツに入社した時点で、いつか外の環境に出ても通用するように、十分なスキルを身に付けておこうとは思っていたんです。それが20代なのか、30代なのか具体的なタイミングまでは考えていませんでしたが、トーマツ内でいかに多く経験を重ねていくかは、常に意識していましたね。
また、転職してから活躍する同期や先輩の姿にも刺激を受け、「自分も挑戦したい、外の世界を見てみよう」という気持ちがふくらみました。
-- 転職先は、どのような選択肢を考えていましたか?
監査法人から転職するにあたって、アドバイザリー業務やコンサルタントへの転身などいろいろな選択肢があります。しかし私は、社外からのアドバイスでとどまる仕事よりも、企業の内部に深く入り込み、成長を支える仕事に関わりたいと強く思っていました。
-- なぜそう思うようになったのでしょうか?
やはり、トーマツでのIPO業務の経験が大きいと思います。外から指摘するだけでは解決できない問題や、時間の限られた中で業務を遂行する難しさを感じていたので、次は外から支援する立場ではなく、企業の中に入り、課題解決に尽力し、経営者がのぞむIPOを実現すること、会社の一員として事業を成長させることで、経営者を支えたいと考えるようになりました。IPOを狙う成長意欲の高いスタートアップ企業であれば、それが実現できると思い、転職先としてスタートアップを検討するようになりました。
-- 転職にあたり、弊社のヒューマンキャピタリスト沼本 敦士からPTPをご紹介させていただきましたが、当時の印象はいかがでしたか?
まず、PTPの展開するサービスに「独自性」があることに惹かれましたね。日本初のオリジナルプロダクトを開発し、顧客への提供まで一気通貫で行う会社は珍しいなと思ったのが、最初の印象です。
「SPIDER」を開発したCEO有吉のPTPにかける想いなども、聞いていて非常に興味深かったですし、もともと私がテレビ好きなこともあり、テレビを軸にした事業に携われるのも面白そうだと思いました。
ただ、本当にPTPに入社するかどうかは、沼本さんにも相談しましたし、トーマツの上司や家族とも、何度も話し合いました。CFOという予期せぬポジションでオファーをもらったため、果たして自分がその役を全うできるのか、決断するまでは迷いました。
-- そんな中、PTPへの入社を決意した決め手は何だったのでしょうか?
常にチャレンジすることを大切にしていたので、最後は「新しいことにチャレンジしよう」という気持ちが勝り、入社を決めました。
実は前CFOも、会計士かつ監査法人出身者で、キャリアに共通点があります。その方とも話をするうえで、「今のPTPにどんな人材が必要なのか」「過去の経験をどう生かすことでPTPに貢献できるのか」を具体的にイメージできたのが、入社を決断する大きなポイントになりました。
「ともに働く人を大切に」事業会社に転職して変化した価値観
-- PTPに入社して感じるやりがいや面白さを教えてください。
経理以外のバックオフィス業務全般を、いちから見る経験ができていることにやりがいを感じています。現在は人事採用にも本格的に携わり、他にも証券会社対応、弁護士対応などバックオフィスを統括するために必要な流れをひと通り経験しています。
監査法人時代は資料をチェックする立場でしたが、その資料を、事業会社の一員として作りあげる立場に回れたのも新鮮ですね。一見するとCFOが担うべきではないだろうこまごました仕事も広く対応しており、そういった部分も含め、様々な業務を担える点もPTPを選んで良かった理由に繋がっています。
-- 根本さんはスペシャリストとして1つを極めるだけではなく、ゼネラリスト目線を持って未経験なことにもトライする姿が印象的です。なぜ多くのことにチャレンジしたいと思うのですか?
そもそも、バックオフィスとは「ヒト・モノ・カネ」を扱う会社の基盤部分です。その基盤を支えなければ、事業も拡大できませんし、会社自体が回っていかない。だからこそ、バックオフィスを注視していきたいという考えが、まず根底にあります。
また、監査法人での経験を通して、一点集中ではなく全社的な視点で物事を俯瞰し、全体最適をはかるよう調整していく目線を養いました。同じように、PTPの基盤となるバックオフィスを俯瞰することは、結果的に会社全体の流れを知ることに繋がりますし、その視点が私の介在価値でもあるので、未経験のことも含めて幅広く携われることにやりがいを感じています。
-- バックオフィスを俯瞰することで、気づいたことはありますか?
見ていけばいくほど、気づく箇所が出てきます。例えば、従業員満足度向上のための施策や業務フローなどは、まだまだ改良する余地があると感じています。そういった改良をコーポレート発信で積極的に取り組むことで、働きやすい会社にしたいです。
-- 監査法人時代から、根本さんの中で変わった価値観はありますか?
CFO、取締役として実際にマネジメントする立場になってから、どんな取締役になろうかと考えたり、勉強したりする中でたどりついた考えがあります。
それは「ともに働く人を、家族のように大事にしたい」と。
振り返れば監査法人は、目的も方向性も同じ人たちが集まった組織でした。ひとつの物事を実行するにあたって、それほど多くの言葉を交わさずとも走っていけたのです。
しかし今は、色々な考えを持っている人たちが集まっています。監査法人時代とは異なり、時には同じ方向を向けない状況もあることを認識しましたし、そんな状況をカバーするのがコミュニケーションであることにも、初めて気づきました。
ひとりひとりの特性を生かす方法や、従業員の将来を考えるためにも、多くのコミュニケーションを交わすことが何より大切であることは、事業会社に入って強く実感したことです。
-- 事業会社に入ったからこそ、持てた視点だったんですね。
そうですね。せっかくPTPに入社したのに、「入って失敗だった」となるのはお互い悲しいじゃないですか。そんな状態を作らないためにも、積極的なコミュニケーションをはかれる環境作りを大事にしていこうと思っています。
-- PTPで現在、根本さんが特に注力して取り組んでいることはありますか?
今ある会社の仕組みを、どう変革すればより良い組織になるかを常に考えています。例えば、魅力的な制度を考えたり、無駄な工数を省いた業務フローを構築したりなど、コーポレートメンバーと話し合いを重ねながら進めているところです。
会社の仕組み改革の延長で、コミュニケーションの形も徐々に仕組み化していきたいと思っています。トーマツ時代は、業務のことはもちろん、今後キャリアをどうすべきかといった将来のことも話し合う機会が非常に多かったです。しかし今は、そういった話し合いの場がそれほど多くないと感じます。上司と部下の些細なコミュニケーションも含め、PTPに合った形を模索しているところです。
-- コミュニケーションの仕組み化を進めるにあたって、意識していることはあるのでしょうか?
例えば、PTPに新しい人が入社してきたら、その人たちが過去どんな状況で、どのようにコミュニケーションを取ってきたかをヒアリングしています。異なるバックグラウンドを持った人たちの情報を集めながら、PTPに最適な方法を取り入れていきたいですね。最終的には仕組みでなくとも活発なコミュニケーションが取れる組織にしたいと思っています。
新たな提案を積極的に行い、組織のさらなる成長を目指す
-- 最後に、根本さんが今後取り組みたいことについて教えてください。
まずコーポレートを統括する身として、バックオフィスメンバー全員がスペシャリストとして育つ環境を整えたいと思っています。
そのためには、ただ業務をルーティンでチェックするだけではなく、ひとりひとりのキャリアを見据えながらマネジメントすることが大切です。スペシャリストとして更なる成長を遂げてもらうために、何のスキル、どんな目線が必要なのかを、メンバーと共に考えて行動していきたいです。
-- 取締役として、どう組織に貢献していきたいか意識していることはありますか?
社内で貢献したいことと、社外の人に向けて実現したいことの2点あります。
まず社内では、現場の意見を良い方向に持っていける調整役として動き、従業員満足度の向上をはかっていきたいです。
PTPはベンチャーにしては社歴が長く、いきなり全ての仕組みや根付いているマインドをがらっと変えるのは難しい部分もあります。しかし、PTPで30代の取締役は私だけ。新たな意見や、異なる角度からの見解を積極的に提案できる立場だと思っているので、率先して動いていきたいと考えています。
-- 社外の人に向けては、いかがですか?
PTPの魅力や、興味を持ってもらえるような要素を、社外の人にもっと知ってもらえるような体制を構築したいです。そのためには、PTPならでは強みを洗い出し、多くの人にアピールできる基盤を整える必要があります。
また、組織が成長していくために、「人」の存在はなくてはならないものです。今後PTPの成長を支えてくれる「人」を採用するためにも、組織の強みを明確に打ち出すことは必要不可欠だと思っています。
PTPの魅力を多くの人に知ってもらい、興味を持った人を採用につなげ、また強みを打ち出して…といった良い循環を作るのが、今後のミッションです。
-- そんなPTPの成長を実現するために、どんな人と一緒に働きたいですか?
PTPは社歴は長いですが、ベンチャーマインドを持って活動している企業なので、幅広い経験を積みたい人、新しいことにチャレンジしたい成長意欲のある人と一緒に働きたいですね。
当然、新たなチャレンジを実行するにはエネルギーを使いますし、困難も伴うでしょう。しかし、それを苦と思わず、共に悩み考えながら行動できる人であれば、その困難は必ず成長につながると思います。色々なことに挑戦して成功体験を積み重ねていきながら、会社と共に大きく成長したい人と一緒に、PTPの事業成長をつくっていきたいです。
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