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【小説】空白の14年 2.42 Before:Q

 第3新東京市に襲来した第10の使徒の被害は前例のないものであり,使徒迎撃要塞都市としての機能は消失,黒き月内部のジオフロントまでが壊滅的な被害を受けた。NERV本部についても,第10の使徒の侵入を許したほか,エヴァ零号機の消失及び,エヴァ2号機も甚大な損傷といったこれまでにない凄惨なものであった。
 またこの襲来における被害の拡大は使徒の襲来のみならず,エヴァンゲリオン初号機の覚醒もまた要因となっていた。第3の少年をパイロットとした初号機は第10の使徒戦において覚醒し,セカンドインパクトを彷彿とさせる現象を起こしたものの,上空から飛来した”何者か”によって阻止された。
 この被害に際し,使徒迎撃として特権を付与されていたNERVの組織凍結が日本国政府によって閣議決定。甚大な被害をもたらした一連の現象は「政府特務施設における実験事故」と称され,表向きには使徒やエヴァの存在は公表されなかった。日本国政府は第3新東京市の住民に復興支援として,他政令指定都市への移住に関する補助金と以後10年間の生活支援基金を国債から発行する法案「第3新東京市における政府特務施設実験事故復興に関する基金に関する法案」が衆参両院,全会一致で法案が可決した。この異例とも呼べる日本国政府の対応に際し,各国首脳が賛美を送り国際社会からも称賛の嵐であった。しかしながら,第3新東京市の住民や週刊誌等の取材等から「日本国政府は非人道的な実験を行い,隠蔽工作として基金の法律を全会一致で可決した。」等の噂が広まり,一時は大阪や名古屋などの都市部において日本国政府に説明責任を求めるデモや抗議が頻発した。
 これら未曽有の危機に対し,言わば「飴」の対応で一連の騒動を乗り切った日本国政府は水面下で特務機関NERVへの調査を始める。政府は国土交通省及び防衛省と合同で「特務機関NERVにおける特例調査機関」を設立,本格的なNERVへの調査が開始。NERV職員を始め,第3新東京市の使徒迎撃装置に関わった全ての関係者を対象に大規模な調査を開始。これに目を付けた米国,欧州等の先進各国は国際的人道的支援と称し,政府機関に人員を派遣した。表向きは人道的な支援として派遣されたものの,事情聴取内容の音声記録や第3新東京市における爆心地等の情報等,隅々に至るまで本国に持ち帰られていた。エヴァンゲリオンの運用にも関わるNERV施設関連の事情聴取は調査としては例のないものであり,昼夜問わず行われ,幽閉状態とも言えるものであった。
 日本国政府は第3新東京市住民の完全移住を確認後,第3新東京市の廃棄を閣議決定し,以後関係者以外の立ち入りを禁じた。このように日本国政府が先進各国の干渉を受けながらも,NERVの調査を積極的に行ったのは,これまでのNERVの活動があまりにも不透明だったからである。NERVから日本国政府に対して継続的に報告は行われていたものの,使徒やエヴァの運用に関する情報は「複雑及び機密事項につき報告を制限ス」と表記され伏せられていた。故にこれを好機と見て大規模な調査に踏み切ったのであった。しかし,NERV内部の不透明さは外部だけではなく内部にも浸透しており,調査対象となった職員の約9割はエヴァや使徒に関する情報について概要すらも認識していなかった。

 いかがでしたでしょうか?初めてのこういった文章を書いたので拙い表現等が多々あるかもしれませんが,温かい目で見守ってください。一回に付き約1000字程度の読みやすいものを続けていこうと思います。基本的には2日に1回程度の更新でやっていきたいと思います。

読んでいただきありがとうございました。ぜひコメントや良いね等いただきたいです。

2021年10月18日 父さん


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