見出し画像

【第3話】ごはんエピソード(第3話編)

ここは、クウ星のとある街にある、少食さん向けの会員制隠れ家カフェ。
今日は新しく会員になろうとしているサッゴさんと、久々の来店ローミニさんがお店に来ています。
 
「わーがーりーまーずーぅぅぅ」
申込書を両手で持ちながら、共感で天を仰いで立ち尽くすサッゴさん。
マスターのマーチさんとローミニさんは一瞬固まりましたが、すぐに弾む会話へと進んでいきました。
 
「サ、サッゴさんも心当たりありますか!?」
ローミニさんが話しかけました。
「それはもう! ボクはちょっと痩せてる程度の体型だと思うんですが、言われます! “そんなんじゃ太れないよー?”とか“大きくなれないよー?”なんて……。
 冗談だと聞き流してはいますけど、でもやっぱり言われないようにって、“量が減ってるように見える食べ方”を心掛けちゃってて、だから食事を楽しめてないって言うか……」
サッゴさんの言葉にローミニさんも深く頷きます。
「うんうん! 分かります!! ぅぅ、私も小鉢系から攻略していって、ちょっと料理をよせてみたりして……」
「そうそう!」
そんなやりとりをマーチさんは優しく会話を見守ってました。
 
「って、これ……ママさん、申込書です! よ、よろしくお願いします!」
「あ、はい! こちらこそ!」
 
マーチさんは、折角だからと、サッゴさんに一口サイズのデザートと少なめコーヒーを追加でサービスしました。
ローミニさんには、ミニミニ野菜ジュースを食前用ジュースとして特別サービスし、ローミニさん注文のトマトソースパスタの調理に取り掛かりにお店の奥へ向かいました。
サッゴさんとローミニさんはカウンターに並び、また少し会話を続けました。
 
「えっと、ボクはお昼をスーパーで買って食べる事が多くて、マーチさ……ママさんとは週に2~3回、スーパーで何となくすれ違って挨拶する程度だったんです。
その日もスーパーで中くらいの海苔巻きのスライスが4つ入ったものを買ってレジに行ったんです。 そしたらレジの人が“これがお昼?”って聞いてきて……」
「うん……」
「“少ないね~”なんて言われて……よくある事って思ってたんですけど、支払いの時に、また“それにしても少ない!”って言われて、そう言われても……って内心思ってお会計をして……」
「う~……その光景がアリアリと想像できちゃって辛い……」
「そんなところをママさんが声をかけてくださったんですよ!」
嬉しそうなサッゴさん、その表情を見て、調理中のママさんにも見せてあげたい、とローミニさんは思いました。
 
「そっかぁ~。 やっぱり皆、色んなエピソードがあるんですねぇ…。 私もこれからお店に顔を出す事が増えると思うので、よ、よろしくお願いします、サッゴさん! でも私、うぅ、人付き合いは上手な方じゃないです……でもでもそれなりに何となく仲良くして貰えると嬉しいです……!」
「こちらこそです!」
こうしてサッゴさんも「会員制カフェ 少なめごはん」の会員になったのでした。

当作品は架空の宇宙(星)のお話です。
登場するキャラクター・名称・店名・イベント等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
色んな感覚の方がいらっしゃるので、合わないなと思った方は閲覧を控えてください。

●作者コメント●
ここまで少食困ったエピソードが多めでしたが、次回は少し違う感じも出せたらいいなぁと思います。
(確約は出来ませんが…! 次回もご来店よろしくお願いいたします!)

フォローやスキも歓迎です・・! いつもありがとうございます!