【TAM第9話】オータム・スカイ
まぶしい陽の光とは裏腹に、中々暖まらない、秋の午前、トーキョー。
この冷たい空気が無性に泣けてきちゃう。 なんでだろう?
どこかに帰りたい、ううん、このままこの時間に留まっていたい、そんな気分にさせられるんだ。
あれ? 珍しいな。 空を見上げてるビジネスマンがいるよ。 雨なんて降ってないのに。
僕も空を見上げてみれば……あぁ、空の色も大分薄くなってきたね。
夏はどこに流れていっちゃったんだろう?
街は、ビジネス街をセカセカと歩く人。 相変わらずだ。
けれど、そんな相変わらずの中にも、ちょっとした変化はあるんだよね。
こうやって見ていると、僕まで鬱々とした気分になっちゃうよ。
初々しかった新入社員もこの時期になれば、今の環境に溶け込んで、皆同じような顔して、思いつめた顔で毎日歩いてる。
果てしない生活へと一歩一歩進んでるみたいに。
ちょうど、その薄くなった色の向こうに果てしないものを隠してる、この空みたいな世界に向かって行くようだ。
このままその宇宙へ自分は進んで行っていいんだろうか?
止まってくれない時間に引き摺られながら、色んな人が今日ももがいてる。
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アンニュイな気分になりたい時、ほんの少し自分から離れたい時におすすめです。
架空の町トーキョーに住む天使の独り言。 1話A4用紙(だいたい)1~2枚分程度のお話です。 10話の予定で、1~3話は無料で読めます。 …
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