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子どものオンラインワークショップの検証④

2020年の春に家で過ごしながらできることを考えたくて、オンラインワークショップをいくつか実施しました。これはその振り返り。①では、実施に至る背景や僕の思いを書きました。②以降は各論となります。過去の記事はこちらです。このシリーズはこれでひとまずおしまいです。

検証① 総論
検証② 同時多発的オンラインお絵かき
検証③ みんなの街

④オンラインワークショップ(小麦粉を使った感触遊び)

オンラインで行うとはいえ、造形のワークショップでよくある手法もやってみました。ここでは小麦粉を用いた粘土遊びをやっています。ファシリテーターには教育者であり、アーティストでもある知人にお願いをしました。心強かった!

オフラインでリアルな場に集まってやる分には珍しくないタイプのワークショップです。小麦と水を使って粘土を作るというもので、主旨としては「感触遊び」に近い部分があります。ファシリテーターが何を目指すのかが見えやすいプログラムかもしれません。

狙いとプロセス

「粘土遊び」と聞くと、何かを作ることを想像するかもしれませんが、目的はそこになく小麦粉をこねて粘土になるまでの感触を楽しむことに主眼を置いています。

参加してくれたのは3歳くらいから小学校低学年までの10組くらいの親子です。大まかな手順としてはこんな感じ。
・小麦粉をサラサラと触って楽しむ
・水を少しづつ混ぜて好みの感触を探す
・塩とオイルを少量混ぜて粘土の出来あがり

これで45分くらいですから、プログラムとしてはちょうど良い印象でした。ちなみに塩は防腐剤の代わりになります。

前述の通り、このワークショップは通常、リアルな場を共有して行うタイプのワークショップのスタイルです。それをオンラインでやったという意味では、すでにまとめた2つのワークショップとは異なる特徴を持っています。それゆえに、家庭でやることの可能性を強く感じるものでもありました。

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よかった点

まず家庭で行うということに触れたいのですが、通常、ワークショップに限らず多くの体験型のコンテンツは会場の時間や場所そのものの制限を受けます。時間になったらきっちりワークショップは終了するものですが、家庭で行ったことで、ワークショップ終了後も粘土遊びを楽しんだという声を多数頂きました。

これは題材が「小麦粉粘土」だったことも功を奏しています。ワークショップの中では感触を楽しみながら、粘土になるところまでをやりましたので、その後は参加した子どもたちの自由な創作に任せたのですが、終了後に早速、粘土で作品を作ったという子どもがたくさんいたのは狙い通り。小麦粉ですから、オーブンで焼くことで硬くなり、着色も可能なのですが、そこまでやった家庭もありました。家だから時間を気にせずに遊べたために、実現したこととも言えます。

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また、保護者の方にとっても参加のハードルが低かったのかもしれません。小麦粉と水があればできますから、準備はほぼ不要です。汚れても掃除が簡単ですし、遊びながら食事の準備を済ませるなんてことも不可能ではありません。

体験と家庭がシームレスにつながっていることの恩恵を受けたと言えます。

課題

手元の作業が中心となるので、ファシリテーターから子どもたちの様子が見づらいのは難点です。夢中になるほどにカメラに映ることは忘れられます。参加者同士の関わりも極めて薄かったと思います。横の子どもが何をしているのか?という意味では、良い影響を感じにくい仕組みです。

また、家でやることのメリットは前述の通りですが、逆に家だから集中をそぐ部分もあります。慣れた環境であり、おもちゃやら兄弟やら集中を切らす要因はたくさんあります。

今後やるとしたら

例えばワークショップを始める前に、絵本や紙芝居で小麦のことを考える時間を設けたり、粘土を知る機会を作ったりするだけでも体験の奥行きは、より深いものになっていくと思います。

あとはやはり出来上がったあとに、各家庭の様子をシェアするしかけが欲しいですね。各自が作った作品のギャラリーを一定期間ウェブ上で閲覧可能にする等、他者を知ることができると良いかもしれません。この目的は作品を作ることでも、その良し悪しでもありません。あくまでも他者を知る(みる)こと。

よく言われることですが、オンラインで行うものが恒常的になったことで、良いことも、やりにくいことも両方あるのだと思います。居住地を超えて様々なことを体験できるのは、とてもありがたいことでもあります。

オンラインだからこそできることもたくさんあるのでしょう。そう言ったことに少しづつチャレンジしてみたいと思っています。

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