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良いおもちゃとはどんなおもちゃ?

「良いおもちゃ」とはどんなものでしょう?様々な定義があり得ると思いますし、受け取る人によっても答えは異なるでしょう。

例えば、子どもにとっては大好きなアニメのキャラクター玩具は、最高のおもちゃなのかもしれません。その瞬間に限って、でしょうけどね。幼稚園、保育園の先生ならばみんなで使えるもの、丈夫なものなどは良いおもちゃでしょう。忙しい親ならば片付けが簡単なものや、子どもが一人で遊べるものとなるかもしれません。だから親にとってタブレット端末は便利なのも事実。とはいえずっとタブレットを眺めている子どもを見ていると、心のどこかにちくーっと来るものがあります。タブレットは便利ですけど、時間やルールを決めて使いたいと考えています。

抽象度の高いおもちゃ

さて、僕が考える良いおもちゃの定義は「抽象度が高い」ことです。これは場合にもよります。あくまでも一つの側面という感じでその限りではない場合も多々あります。

抽象度が高いというのはつまり具体的ではないと言うこと。例えば、「今日は誰と会うの?」と質問されて、「人と会う」と答えるのはかなり抽象的。「同じ学校の山田くんに会う」と答えるのは具体的と言えます。つまり一般化された状態が抽象的とも言えます。おもちゃの場合どういうことなのか、実例を交えて考えてみたいと思います。

例えばおままごとセットがあるとします。おもちゃの調理器具がいろいろ入っています。お鍋や食器に、プラスチックでできた包丁もあります。この包丁だけ見てもじつは、おもちゃによって様々です。あくまでイメージですけど、こんな感じ。

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①は実にシンプル。なんの装飾もない。刃先から柄の部分までが一体成形でできている。もう片方の②は、少し複雑なデザイン。刃と柄の部分は別々に成形されたパーツを接着しています。また、柄の部分の一部にはゴムのパーツが付いています。この2つで比べると前者のシンプルなものの方が抽象度が高いです。

もう一つ例をあげます。今度は人形で考えてみます。

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この方がわかりやすい。①はやはりシンプルという表現がしっくりきます。素朴とも言える。目は点だし、着ているものも飾りっ気のないものです。もう一方の②はキラキラしてる。女の子のウケはこちらの方が良いかもしれません。目も大きく髪の毛もふわふわ。着ているものもドレスのようで派手です。

この2つで考えるのならば抽象度が高いのはやはり前者。抽象度が高いというのは、そのままシンプルという意味でもありませんが、シンプルになる傾向はあると思います。抽象度が高いおもちゃがなぜ良いのかというと、子どもの想像や工夫次第で、何にでもなれるからです。それはつまり長く、たくさん遊べるということでもあります。

抽象的なおもちゃは何にでもなれる

シンプルな人形は遊びの中でプリンセスにも自分自身にもなることができます。悪役にもヒーローにもなり得ます。個性が薄い分、個性を与えやすいのが良い点です。反面、何かを模している人形はそのもの以外にはなりにくいものです。シュタイナー教育で有名なルドルフ・シュタイナーの作った人形はまさに抽象的です。シュタイナーはキャラクターを否定すらしています。

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遊びとは、その広がりにこそ価値があると思います。おもちゃに置き換えて考えるのであれば、いろんな使い方ができるおもちゃこそ価値があると思っています。

ジェンガというゲームがありますが、あれはゲーム以外にも使ってもとても楽しいおもちゃです。おうちを作ったり、積木のようにも使えます。

また、「うちの子なんでもすぐ飽きちゃう」という話をたまに耳にします。これはむしろ沢山のことに興味があるのだろうと推測するのと同時に、使っているおもちゃに遊びの幅が少ないのだろうとも思うんです。

おもちゃの王様?積木

その意味では積木は良いおもちゃの好例です。ただの立方体や円柱の集まりなんだから極めて抽象的。しかし、抽象的だからこそ、何にでもなれます。積み上げて家や街もできるし、お鍋に入れば食材にもなる。人形の代わりをすることだって可能です。あるいは積木はごっこ遊び以外にも使えます。たかーく積み上げてバランス遊びをしたり、数や量を学ぶなんてことも。

もちろん、具体的な役割を持った優れたおもちゃもたくさんあります。何かを学ぶためのものなんかに多いです。それもそれで必要なものです。キャラクター玩具にしたって、それが興味の入り口となって、夢中になって遊ぶと言うこともあります。だから一概に否定するものではありません。

ただ、子どもの遊びって、見ていると積木で遊んでいたものが、いつの間にか人形なども交えた壮大な遊びに発展しているなんてこともよくあります。おもちゃにはそういった子どもの発想を支えてくれる、懐の広さを期待したいと思っています。

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