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子どものオンラインワークショップの検証③

2020年の春に家で過ごしながらできることを考えたくて、オンラインワークショップをいくつか実施しました。これはその振り返り。①では、実施に至る背景や僕の思いを書きました。②以降は各論となります。過去の記事はこちらです。

②みんなの街

一つのキャンバスにあらかじめ決めたルールに従って、参加する子どもが各々のタイミングで自分のパートの絵を描くというものをやりました。Google Jamboardというオンライン・ホワイトボードのようなものを用いました。Googleアカウントがあれば誰でも参加できます。

このときのテーマは「みんなで大きな街を描こう」と言うもので、予め描かれた最小限の道路のみの絵に、自分の家か、街の機能を描くと言うものでした。プールのある家を描く子どももいれば、公園を描く子どももいました。参加するのは子どもとは実は限りません。匿名性があるので、大人の参加もチラリとあったようです。

実施の日取りを決めることはせず、いつでも自由に参加できるようにしてあります。なので、日を追うごとにじわじわと街が形成されるように、絵が増えていきました。

最初の頃はこんな感じ。ちゃんとしたスクリーンショットを残していなかったので、一部です。

スクリーンショット 2021-03-07 9.51.16

しばらくしたらこんな感じになっていました。

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途中でみたときには、背景の色を変えた人がいました。夜になったようで、それはそれで面白いことをするなぁと感心したのを覚えています。

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狙いとプロセス

一人で街の絵を描くのではなく、自分が描いた一つのパーツ(家)がいつの間にか、街という大きな作品の一部になっていくという体験が生まれればいいなと思ってやりました。2020年の4月にやっていますから、自宅で過ごす子どもたちに対して「他者の存在」を感じてもらいたかったということが動機になっています。

twitter上で呼びかけて、参加者は特に限定しませんでした。実際何名の参加があったのかもわかりません。大人でやっても楽しいのかもしれません。

よかった点

予想よりも絵の中の秩序が守られていました。もっとめちゃくちゃになるかな〜と思っていたのですが、最初の数点の家の絵に牽引されるように、家のサイズ感や、描くモチーフなどは統制されている印象です。

また、初期に参加すると、絵の変化をみるのが楽しくなってきます。植物にお水を与え、芽が出て花が咲く変化を観察するかのように、少しづつ街ができていく様子を眺めるのは、驚きもあって子どもともども楽しみました。

課題

リアルタイムに絵が変化するものではありませんから、変化の幅が大きくないと、何が変わったのかわかりづらいということがあります。小さな家が1軒増えたくらいでは絵の変化は感じづらいものになってしまいます。タイムラプス動画のように観察・記録できると面白いかもしれません。

ハード面のハードルも高かったと思います。Google Jamboardというサービスに馴染みのある人は少なかったように感じます。不慣れなツールで絵を描くというのはなかなか難しい行為です。

何より課題だったのは参加する子どもに満足感が生まれないこと。小さな家を一軒描くだけで、それが全体として何になるのか?というのを感じづらい仕組みになってしまっていました。一軒の家にしたって小さくて十分な描き込みができるわけでもありません。何かと不満足な体験でとどまってしまう感じだったと思います。

今後やるとしたら

描くという行為を切り離した方が楽しめたのかもしれません。例えば、シム・シティのようなプログラムがあるとして、それを共同でやるようなイメージです。パーツを選んで設置することで街を作っていきます。

あるいは描くという行為をリッチに体験できるコンテンツとしてならばより楽しめるものになるでしょうが、僕の技術ではアプリケーションの提供は難しい。

むしろツールにはこだわらず、各家庭にある画材を使って同じテーマで描いたものを写真で送ってもらい、コラージュする方がやりやすいかもしれません。例えば、テーマはやはり「街」で良いとして、それぞれ好きな大きさで好きな紙に「建物」を描いてもらう。それを僕が任意で街にプロットして大きな一枚の画像を作るとか。大変だけど…。

また、リアルな場を共有しつつ、大きな架空の地図の上で積み木やお菓子の箱などを用いながら立体でやったら楽しいでしょうね。それはそれでいつかやりたい。

もしくは現状のツールでやるのであれば、目的を変えたほうが面白いかもしれません。例えば、大人の抽象表現を楽しむ場としてやるのであれば異なる魅力が浮かび上がるかもしれない。

なんにしろ課題の多いトライアルだったと思います。

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