白シャツon the battle

2006年2月の日記。久しぶりに読んだら面白かった(自画自賛スタイル)。これ14年前のあれですからね、今やったら誰が候補にあがるんだろうね、誰かやってください(他力本願スタイル)。
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女はみんな白シャツが好きである、というのは言い過ぎとしても、白シャツが好きなのは女である、と逆方程式なら余裕で成立すると思う。男性の眼鏡、というのは最近とみにフューチャーされていて眼鏡ももちろん大好きな私としては大変にありがたい世情であるが、男性の白シャツというのは眼鏡を富士山9合目とするなら富士山頂ぐらいの眼福アイテムと言って差し支えない(意味のない比較)。先日友人に教えてもらったとあるサイトで「シャツ談義」をしてらっしゃったのが非常に面白かったのだがそこは音楽系のサイトだったので、はて小劇場界で白シャツの似合う男と言ったら誰だろうとふと考えてしまった。

しかし考察に入る前にまず、私にとっての理想の「白シャツ着こなし」について述べておきたい。何しろ白シャツに賭ける女性の意気込みというのは鼻息で牛をも倒すというほどのものなのであって、白シャツが世界で最も似合うのは吉井和哉だと主張する私と世の中の白シャツはすべてエマのものであるとわけのわからない主張を展開するエマファンの友人の間で血で血を洗う抗争が繰り広げられたのは記憶に新しいところであり、議論は紛糾し唐揚げは空を舞い焼酎は零されるといった阿鼻叫喚の中「どちらも世界で一二を争う」というところでなんとか平和協定を締結したのはいいがお互い「1位はこっち」と思っている一触即発の状態が未だに続いているのである。従って安易に「誰々が一番似合う」などと結論に飛びつくべきではない。白シャツといってもそれは様々に分類されるからである。

私にとっての理想の着こなし。基本はもちろん無地。かっちりしすぎていないものが好み。第一ボタンは開ける(絶対条件)。ボタンを開ける、という条件からしてネクタイ着用はナシ。いや、場合によってはアリだがそれは「外されるのが前提のネクタイ」がオプションでついてますといったものに限る。そしてその条件からもうひとつ、開襟シャツはナシ。大いにナシ。なんでだよ、見えるのは同じじゃねえかよとお思いだろうがいいや違う。ラウンドカラーなど死んでしまえ。袖口は止めていてもいいが、外しているのも大好物。言うまでもないが長袖に限る。半袖シャツなんてものは悪魔の産物であってあんなものは即刻国外退去に処すべき。裾は長すぎず、基本アウトでお願いしたい。

さて、これを読んでもおわかりの通り私の「理想」はかなり「ざっくり」言い換えれば「だらしない」とも言われかねないスタイルである。これをふまえていくと、小劇場界で誰しもが認める男前でありテレビでも大いに知られるところである堤真一ならびに上川隆也などはタイプが違うと言わざるを得ない。彼らは名付けるならばシャツの中でもシャツ科Yシャツ属ネクタイ目に属するものであり合い言葉は「私の真ん中に俺が帰ってくるby佐藤浩市」(あのCM何度見ても恥ずかしくて死にそうになる。「バカな!」のとこがちょうヤバイ)なのであって、むしろシャツというよりスーツですよね、先生!じゃあ無尽蔵フェロモン(舞台限定)の古田新太はどうかというとどうかというまでもなく悪即斬。あんな腹で白シャツ着ようと思うな。10年遅い(遅いのか)。朝日91に代表される第三舞台男衆はどうだ。これも残念ながらスーツ芝居の印象が強く白シャツをざっくりなどというのは大高小須田の双璧にはピンとこないと言わざるを得ない。筧・京などはどうかというとその身長が白シャツを許さないとあえて言う。160㎝台は去れ。というかこの二人はシャツ科ですらなくむしろタンクトップ科、それも黒タンクトップ属であると持論をさらに展開させたいがそれは後日に譲る(いつだ)。

文句ナシの綺麗顔、藤原竜也はどうか。いいに決まってる。しかし、彼も舞台でよく白いシャツを着用しているが彼の場合もう「それをいつ脱ぐのか」がデフォとなってしまっていて脱がない竜也など竜也であって竜也でなしといった境地に達しているのであり番外としたい。同じく綺麗顔の山本耕史はというと、身長・体型・顔ともに不安要素なし。しかし惜しむらくは顔が白過ぎてシャツと同化するというのが難点と言えよう。ではこちらもテレビでも大活躍の内野聖陽並びに佐々木蔵之介などはどうなのか。いい。かなりいい線。うっちーは公式サイトの写真からしてまさに白シャツ・ボタン開け・袖口開けであって本人それが似合うことを十二分に意識していると思われる。身長はそれほど高くないが気合いがそれをカバーしている好例。そして蔵は何しろベストオブ白シャツといっていいほどの理想体型で、長身やせ形、しかし肩幅はしっかりとあり開けたシャツで鎖骨をチラ見せするという芸当もこの人ならば可能である。言ってみればモデル体型なわけで、マジで蔵は何でも似合うという点では小劇場界随一ではないだろうか。

ここでひとつ、うっちーと蔵の共通項、つまり「人間でないものを演じたことがある」を思い出してもらいたい。うっちーは死神。蔵は胃ゲルゲ。そう、この二人にはある共通の匂いがある。それはなんともいえぬ「胡散臭さ」だ。そして胡散臭さと言ったら忘れてはいけない、この男、池田成志を。

正直なところうっちーや蔵の方がビジュアルでは数倍勝っているとは思うのだが、過去多くの舞台を見た中で私の中のベストオブ白シャツは池田成志その人である。轟天2では黒のフリルシャツをはぎ取ると一転真っ白なシャツという鼻血コンボで私を卒倒させた。惜しむらくは裾がインであったことだが、それもロッカー顔負けの細い足に黒パンツというボトムで不問に付す。あんなアホみたいな役なのに(つーか、アホなのに)こんなにカッコイイってなんなんだ。思えば熱海での池田伝兵衛から白シャツを着た彼には独特のフェロモンがあったように思う。いや、はっきり言う。成志の白シャツにあって他の人の白シャツにないもの、それはエロさだ。成志の白シャツはエロいのです!脱がせたい!と思わせるエロさ、でも脱がせたくない!と思わせる格好良さ、このアンビバレンツな感情が絶妙なバランスのうえに成り立っている、それが成志の白シャツボタン開けなのだ。

しかし先日、「スタジオパークからこんにちは」を見ていてここに強力な対抗馬が現れたことを告白しておかねばなるまい。彼の名は長塚圭史。見ましたか、あれ。ツボど真ん中。おまかせください基本はすべて押さえてますといわんばかりの白シャツ姿に私はくらくらきたよ!もともと自分の作演だからといって出演もしていない舞台のチラシで、第1ボタンを開けたシャツ(白じゃないけど)を着て長い足を見せびらかしていた彼である。相当な自信があるとみて間違いない。若い彼に死角はあるのか。白シャツキング池田成志の牙城が崩壊する日は来るのか。白シャツを巡る熱い闘いから今年も目が離せない。

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