もはや日記ではない


2015年のラグビーワールドカップのことを書いた日記。本当に楽しい1か月だったねえ…そして2019年もやっぱりJ-SPORTSに加入してしまいましたね…

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ラグビーワールドカップが終わってしまってかなしい日々を送っている。いろいろ楽しかったことを日記に書いておこうと思って書き始めたらびっくりするほど書けなくなっていてものすごいショック。というわけでひとに読ませる読ませないに関わらずちょっとずつでも書いておこう。ともあれ、こんなにまとめてラグビーの国際試合を立て続けに見たのは初めてで、プールステージのときはまだ地上波かBSで放送してくれるものを録画して見ているぐらいだったんだけど、決勝トーナメントに入ってからがまんできず結局JSPORTSに加入してしまった。2年前にオールブラックスが日本に来た試合を見たのが「ルールぜんぜんわかんないけど、ラグビーおもしろいかも」と思い始めたきっかけだったので、決勝トーナメントはもちろんオールブラックスを応援していたわけだが、準々決勝も準決勝も決勝もヒーヒーハーハー言いながら見てしまった。結果はご存知の通りオールブラックスが連覇を成し遂げたわけだけれど、わたしの御贔屓であるところのダン・カーターが活躍してくれたのがとってもうれしかった。4年前のニュージーランドでの自国開催のW杯で、かれは途中で怪我のために戦線離脱を余儀なくされたという話を知ってから、世界最高のスタンドオフと評されテストマッチ最多ポイント記録保持者という輝かしい経歴なのに、欠けた何かがある…とか、あーこういう風にのめりこむのよくないよねーと思いながらも肩入れしてしまっていた。加えて、こちとらバスケでもポイントガードを好きになる性質ですよってに、そりゃスタンドオフやスクラムハーフが気になるのはしょうがなかろうもんという感じだ。ともあれ、オーストラリア・ワラビーズを破って優勝し、表彰台でキャプテンのリッチー・マコウが掲げたウェブ・エリス・カップをカーターの方に差し出したのを見た時は、さすが世界の漢が惚れる漢、漢と書いて男と読む男だぜリッチーは!!!と思いましたし、カーターが一瞬いやいやいいよ、みたいに遠慮したのもらしくてよかった。でも最終的にはふたりでウェブ・エリス・カップを捧げて、そしてたぶん世界中のファンがこのシーンを待っていたんだろうなあと思うすばらしい光景が見られたのだった。今発売されているラグビーマガジンの増刊号も表紙はこの瞬間の写真だ。マコウは“My old mate at number 10, after the disappointment of four years ago, I am so happy for him.”とも言っていたようなので、つまるところあれは4年前を思ったマコウの計らいだったのかなーと思うとやっぱり胸熱である。

胸熱といことでいえばもちろん日本vs南ア戦がやっぱり最大級の胸熱だったわけですが、長年のラグビーファンの方が、録画を何回見ても、何回でも日本が勝つのがうれしい、と仰っていて、いや確かに私も録画を何度か見返しているけれど、毎回、これほんとに勝つのかなって思うぐらい、ほんとすさまじいアップセットでした。何しろワールドカップにおける最高勝率を誇る南ア、かたや最低勝率の日本ですもの。ほんとに歴史が変わるってこういうこというんですね。当日、朝起きてツイッタのTL見たら、フォローしてるラグビーファンの方がえんらいことになっていて、マッチハイライトを見てわたしもホギャーー!!!ってなって、いやもう海外のほうがすんごいことになってましたよね。マニックスのツイートがRTで回ってきてその興奮ぶりがすごかったし、ダンカン・ジョーンズが浅野忠信さんに「おいお前試合見てんのか!?JAPANすげえぞ」的なメンション送ってたりするのもわらいました。youtubeでも現地のパブリックビューイングで国籍関係なく日本の勝利の瞬間に文字通り大騒ぎになっている動画がたくさんあがっているけど、中でも日本のジャージを着た男の子をおそらくは全然知り合いでもなんでもない人たちが肩車してみんなハイタッチしにきてその男の子が感極まって泣いちゃうやつとか、ほんと何回見てもいい。

今でも正直わかんないルールたくさんあるのだが、しかしたくさん試合を見てると自分でも調べてみたりするし、日本代表の活躍のおかげでこんなふうにポジションとルールをわかりやすく解説してくれたりするひとがいたりして、いやーほんとに楽しい1ヶ月間だった。

印象に残ったエピソードいくつか。個人的に毎回、見ててたのしいなと思ったチームはアルゼンチンでした。ニコラス・サンチェス(得点王!)のプレースキック、つるっと蹴って外れる気配ゼロすぎ。そしてかわいい。準決勝でオーストラリアに負けてしまったんだけど、その最後の10分はもうなんつーか、見ていてわけもわからず泣けてくるつーか、点差からいってももはや逆転は無理なんだけど、それでもワントライにくらいつく姿がすごすぎました。アルゼンチンは監督も泣いちゃうし、選手も皆がっくりと肩を落として座り込んでしまっていて、でも勝ったオーストラリアがそうやってうちひしがれたアルゼンチンチームが立ち上がって円陣を組んで去るまで、かなり長い間待って最後花道を作って見送っていたのはもうれつにいい光景でした。そのオーストラリアにデビッド・ポーコックという選手がいるんだけど、いやもう試合のたびにポーコックしんじゃう…!ってぐらい顔がボコボコになってたりするのだが、そのポーコックがラグビーを離れてもファイティングスピリッツあふれすぎるひとで、昨年は炭鉱開発による森林破壊に抗議して「自らの体を掘削機に鎖で縛り付け」て逮捕されたとか、豪州で同性婚が合法化されるまで彼女との結婚も封印してるとかいう記事を読んじゃうと、ポーコック…抱いて!みたいな気持ちになるのは致し方ないとおもう。

おなじオーストラリアのアダム・アシュリークーパーは、末期ガンで余命幾ばくもない幼なじみのバケツ・リスト(死ぬまでにやっておきたいことのリスト)のひとつ、W杯でオーストラリアの試合を見る、を叶えるために東奔西走し、トウィッケナムでのウェールズ戦に彼を招待したそうです。特別室で母国の勝利を見守った友人のもとに、かれは試合のあとスタンドを一目散に駆け上がりその笑顔を見に行ったそうだ。公式サイトでもそのときのコメントがでている。「悲しい境遇ではあったが、はっとさせられる経験でもあった。試合後に彼と何かを共有し、彼を喜ばすこともできたから、とてもうれしかった。彼の笑みは心からのものだった」。その数日後に、友人は亡くなったそうだ。

もうひとつ。今回、準々決勝のスコットランド対オーストラリアの試合で、最後の最後に勝負の行方を決定づけるようなプレイについて、誤審だったとの発表がなされた件。わたしがすごいなと思ったのは、基本的にラグビーファンの姿勢が一貫して「誤審はラグビーにはつきもの、30人もの選手が入り乱れるコンタクトスポーツで、見えない部分があるのは当然である。それもふまえて、試合の采配を託しているのではないか」というスタンスにあることでした。かっこいい。たしかに、審判にケチをつけはじめるとスポーツは途端に面白くなくなると私も思う。決勝戦の主審をつとめたナイジェル・オーウェンスさんは「試合のあとで、審判が話題にものぼらないのが最高の褒め言葉」と年間最優秀審判に選ばれたあとのコメントで仰っていましたが、この姿勢もまた、カッコイイ。ちなみにオーウェンスさんは試合中の気の利いたコメントで有名な方なのだそうですが、ご自身がゲイであることをカミングアウトされていて、かつてラインアウトでまっすぐボールを投げなかった(ノットストレート)選手にこう言ったそうです。「わたしだって、あれよりはストレートだ」。

4年後には、こんなドラマティックでいい男が文字通りぶつかり合う最高級の試合が日本で見られるんですってよ!マジか!どうにかして、一試合ぐらいは足を運んでみたいと思うのココロよ!

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