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とうとう始まったバイリンガル教育と、予想外だったこと。

 日本で「バイリンガル教育」と聞くと、よし子供をバイリンガルに育てよう! そのためにはこうしよう!! と、綿密な計画を親が立て、それを粛々と外国語のインプットを実行して行く印象があります。(私だけかもしれませんが)これを積極的バイリンガル教育と勝手に名付けさせてもらうとしたら、我が家の場合は、消極的バイリンガル教育なのではないかと、ふと思いました。どのように母国語以外の言葉を覚えさせよう、ではなく、どのように母国語を忘れさせないようにしよう、が最大の目的だからです。
 家で一切英語に触れなかったとしても、キンダーから13年も現地校に通っていれば、英語力はそれなりに付くだろうと私は考えています。(ある程度の工夫はいると思いますが、これはまたどこかで)実際に私は、中高生の頃、家では宿題を記憶力に物言わせてこなす以外に、全く英語に触れませんでしたが、それなりの英語力を身につけ、芸術系と言えど大学院に入れました。なので、きっとそれなりの英語力は何もしなくても身につくはずで、ここから息子たちのバイリンガル教育に必要なのは、どのように母国語を維持していくか。とにかく守りの戦いなのではないかと考えています。
 そんなわけで、六歳の息子がキンダーガーテンに一年遅れて入学しました。どうしたら日本語を忘れないでいてくれるかと、私が右往左往、苦心するであろう日々が正式に始まりました。

 長男は、言葉が遅い子供でした。男の子は言葉が遅いから、と何度も言われましたが、ペラッペラと話す次男を見て、これは生まれつきのものなのだと悟りました。なので、長男が現地校でクラスメイトに追いつくのは小学校3年生以上だろう。とのんびり構えていたら、一週目が終わる頃には、話していて日本語が出てこないことが何度かありました。言いたいことはあるのだけれど、喉の奥で言葉が引っかかって出てこないあの感じ。まさか、第一週目で? と驚きを隠せませんでした。
 英語が話せるようになったわけでも、理解が追いついたわけでもありません。ただ、一日七時間以上も英語しかない環境にいるだけです。一言も聞き逃すまい、としているわけではないと思います。何を言っているのかわからない中、何も耳に残らない時間の方がずっと多いでしょう。それでも、今までするりと出ていた言葉が出てきませんでした。こんなにも早く影響されてしまうものなのか。と驚きました。
 二週目には"What the heck"という言葉を覚えてきたり、絶対にこの名前は発音できないだろうというクラスメイトの名前が発音できていたり、マスクありの(口の動きが見えない)学校生活の割には、順調に英語に馴染んでいるようです。

  長男は言葉が遅い子で、今でも状況などを論理立てて説明することが苦手です。それでも、暇さえあれば本をめくっているほどの本好きであるため、同年代の中ではそこそこ語彙力はあるのではないかと思います。覚えるのに時間がかかったぶん、一度覚えた言葉を忘れるまでに時間がかかればいいのですが、もし単純に言語能力的容量が少なかったら、あっという間に日本語は英語に取って代わられてしまうでしょう。英語があまりにもできなかったら、親が家で少し助けてあげなければ、と思っていましたが、想像以上に英語に馴染んでいる長男を見て、自分がどこまで口を出すべきなのか、悩んでいます。

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