英語翻訳日記2022年5月2日
今回は以下の記事における豆知識について書いていきます。英語ができるようになるにはラテン語・ギリシア語・サンスクリットなどの語源・語根を知るのが最短距離であるので、これらの語源の豆知識についても触れます。
all but dead
butには、否定を込めた関係代名詞としての用法があります。たとえばall but A あるいはeverything but Aといえば、「A以外のすべて」という意味になります。ほかにnothing but A「Aのみ/Aでしかない」という表現も重要です。
all but deadは文字通りには「死んでいる以外のすべてである」という意味になりますが、逆説的に「ほとんど死んでいる/瀕死だ」ということを意味する慣用表現のようです。
media outlet
outletは「出口、はけ口、販路、直売部門」といった意味合いです。media outletは直訳すると「メディアの直売部門」ですが、これでは何のことかわかりません。旧来のメディアをテレビや新聞社を仲介した間接販売に見立てて、それに対置される概念としての直売という意味合いなので、個人や企業が直接視聴者にコンテンツを届ける場所ということで単に「ニュースサイト」とか「広報サイト」「ブログサイト」とすればよいと思います。
ちなみにdissentはconsentの対義語です。sentはsenseと同根で「感じる」「思う」という意味です。con+sentで「同じように感じる=賛成する」、dis+sentで「違うように感じる=賛同しない」となります。
quash / dissident
quashは「鎮圧する」「無効にする」という意味です。quash a revoltで「反乱を鎮圧する」、quash the original judgementで「原判決を破棄する」という意味になり、裁判や法律の分野で頻出する単語のようです。
サンスクリット語でナイフを意味するsastra-が、ラテン語に入りcarere(切る)という単語になりました。これがフランス語のcassation(判決の破棄)という単語になったり、「区分された場所」という意味でcastle(城)にもなったようです。サンスクリット・ラテン・ギリシアと転記する中でsas=cas=kes=quesと表記が揺れ、英語ではquashに落ち着いたようです。
また英語を日本語に翻訳する際のコツとしては、英語で名詞構文となっている文章でも日本語では動詞を使って訳す方が自然な日本語になります。上記の例では、英語原文はanother escalation in Silicon Valeyとなっていますが、日本語では「シリコンバレーにおいてエスカレートしていく中で」とescalationを動詞的に訳したほうが自然な日本語になります。英語は名詞的な言語ですが日本語は動詞的な言語です。
dissidentは、dis+sidentで「離れて座る」から「反対の意見を持つ」という意味です。Presidentは「pre+sident」=「前に座る」という意味で、大統領や社長など、その場で最も上座に座る立場の人を表します。residentもre+sident=「繰り返しそこに座る人」=「住民」となります。
語源についての参考:
regurgitate
regurgitateは「吐き戻す、他人の言ったことをおうむ返しに言う」という意味です。re+gurgitateで、gurge-はサンスクリット語で「貪り食う、丸呑みにする」という意味のgiratiを語源に持ち、それを反対に行うということで「吐き戻す」という意味になるようです。
partisanship
「パルチザン」というと、自発的なゲリラ戦闘員の集団という意味合いを連想すると思いますが、原義は「党または派閥の、それらに関係する」という意味で、1690年代においては「特別任務に配属された部隊のメンバー」を意味していました。participate(参加する)と同様に、集団の一部(part)を構成するようになる、ということから「参加」という意味が生まれました。フランス語においては動詞に-antの語尾をつけることで、「〜する人・もの」という名詞を作ることができます。言語学者フェルディナン・ド・ソシュールの「シニフィアン/シニフィエ」のシニフィアン(signifiant)も同様の例です。英語でも参加(participate)する人を参加者(participant)と言いますよね。
今回は以上です。楽しく英語を学んでください。
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