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語学の覚え書き 令和6年4月3日(水)


 黙々と記事や文章を読んで単語や表現を調べているだけだと飽きてくるので、散発的にメモもしていこうかと思う。英語・ロシア語を中心に、定住世界を考えたりロシア語情報を読み解く上で便利であろうものを記載していく。

sedentism

 "Against the Grain"の著者による造語で、「定住主義」とでも訳すべきものか。辞書に記載の単語としてはsedentary「座りがちの、定着性の」というものがあり、sed-はsit(座る)に連なる印欧語根。a sedentary statueで「座像」。
 対義語はnomadismだろうか。nomadはラテン語で「アラブの遊牧民」を意味するnomas、あるいはギリシア語の「彷徨っている」という意味のnomasに由来する。

irrigation

 「灌漑」の意。rig-はreg-で「雨」を意味する。英語だとrainだがドイツ語ではregen、「雨が降っている」はEs regnet.なのでregの語根がそのまま残っている。

alluvium

 「沖積層・沖積土・沖積世」。「沖積世」は、約1万1,700年前から現在に至る期間を指す地質時代の区分の一つだったが、現在は「完新世 Holocene」と呼ばれている。holoはholisticとかホロコーストのholo。
 単語としてはラテン語のalluvius(washed against)に由来する。地質年代上の説明については下記参照。
 最近は「人類の活動が活発になり地質学的な影響を及ぼすようになった時代」のことを「人新世ひとしんせい」と呼ぶが、これはもともとはAnthropoceneという語である。anthrope-はもちろん「人間の」という意味で、misanthrope(人間嫌い)などの単語がある。

paleolithic / neolithic

 paleolithicは「旧石器時代の」、neolithicは「新石器時代の」。mesolithicという言葉もあり、「中石器時代の」を意味する形容詞。mesoはメソポタミアのメソで「真ん中の」という意味。
 lithos(リトス)はギリシア語で「石」。モノリス monolithはmono + lithosで「一枚岩」、otolithは「耳石」。

On Russian phrases

Британия назвала пуск ракеты КНДР нарушением резолюций СБ ООН
英国は北朝鮮によるロケットの発射を国連安保理理事会決議違反と呼んだ

КНДР……Карейская Народно-Демократическая Республика(朝鮮民主主義人民共和国)
СБ……Совет Безопаснасти(安全保障理事会)
ООН……Организация Объединённых Наций(国際連合)

 пускは「始動、打ち上げ、発射」などで英語のlaunchに相当する。動詞になるとпускать / пуститьで「放す・解放する」(動詞は不完了体/完了体の順で記載)。接頭辞доがつくとдопускать/ допуститьは許可する、容認するなどの意味。отпускは「休暇」、отпускать / отпуститьは「帰らせる、解放する、解き放つ」。

 Республика(共和国)は「リェスプブリカ」と読み、ラテン語のres publicaをそのままキリル文字に移した言葉である。英語ではrepublicだが、ラテン語resは「もの」、publicaは「公共の、みんなの」という意味で、res publicaは本来「みんなのもの」というくらいの意味である。
 政治体制としては王がいない統治体制を意味するが、ギリシアやローマ以外の古代世界でそんな統治体制はあり得なかったためたいていの言語でそのままラテン語が用いられている。「共和」は古代中国で、西周の厲王が追放され王のいない期間が14年続いたことがあり、その期間を「共和」と呼んだことからrepublicの訳語として用いられたという。宰相らが「共に和して」統治したからとも、「共和」という人がいたからだとも言われ由来ははっきりしないが、ともかくそういうわけで王のいない統治体制を共和制と呼ぶようになった。

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