ガチャポン投資に気をつけろ
久しぶりに上磯のイオンに行くと、これまで改装中になっていた区画が営業を開始していたが、見るとガチャポンの機械を並べた店になっている。仙台の商業施設の中にも割と増えてきていて、ヨドバシカメラの中にもガチャポンばかり並べた区画がある。一昔前は飲み物や食べ物の自動販売機やゲーム機を置いていたところに、電気代の高騰もあり、電気なしで稼働させられるガチャポンの機械を置くほうがいいというブームが来ているようである。函館のイオンにまでその波がやってきた。
ゲームセンターも、昔はよくあった個人経営のような小規模なところはどんどん廃業するか買収されて、いまや英傑大戦もGiGOやラウンドワンなど大規模な事業者のところにしか置いてなくなってしまった。セガもゲームセンター部門はGENDAに売却して、地方に数十店舗あるくらいの中規模なゲームセンター運営会社もどんどんGENDAのGiGOになっている。函館のディノスパークも数ヶ月前にGiGOになってしまった。アーケードのゲーム機も、クレーンゲームも含めて常に電気を通して稼働させておかなければならず、業態としてはホテル業みたいに固定費がバカ高くて儲かりにくい商売ではある。理屈の上では、客が来たときにだけ稼働させれば固定費を抑えられるということになるが、そういうところがほとんどないところを見るとそれは空想の産物で、実際には客が来なくなってしまう結果に終わっているのであろう。
ラウンドワンはアメリカでも好調で、かつてのスーパーマーケットが撤退して廃墟になっていたところに出店して店を増やしている。日本のアーケードゲームにはアメリカにも根強いファンがいて、権利関係が複雑でアメリカ企業は参入が難しいので独自の地位を築いているらしい。
少し前は遊休不動産の活用のために、シェアオフィスやコインランドリーにするという流れが流行っていた。テレワークから出社への回帰が起こったり、電気代・水道代の高騰によってコインランドリーが儲からなくなると、こんどはガチャポンの機械を置いて収益化を図りましょうという話が出てくるかもしれない。電気代や維持費が掛からないので圧倒的に収益性が高いということを謳ったパワーポイントが大量に作られ、ユーチューバーが史上最多の種類のガチャポンを集めた店を開業したことを動画にし、テレビでは外国人がガチャポンにハマり買い集めている様子が取材される。ワセダ卒でアクセンチュアを退社した社長が作ったベンチャーがでてきて、カプセルトイで業界をイノベートするみたいなことを謳って、大赤字を垂れ流しながら上場し、最初の決算発表直前に大幅な業績予想の下方修正を連発してストップ安連発となる・・・。こういうのがいまの資本主義だ。読者はゆめゆめガチャポン投資の話が出てきても手を出さないことである。