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バカほど、見た目しか理解できない

 筋トレに関する動画をいろいろと見ていると、室伏氏の動画が出てきた。よくあるYouTube動画の作り方ではタイトルの前にその動画のダイジェストカットを短く挿入するものがあるが、そのダイジェストカットが延々と続くような作りで、動画制作としては500円くらいで発注されたみたいな作り方になっているが、室伏氏の言っていることは理に適っている。「動きたい欲求に沿って動く」というのはショーペンハウアーの盲目的意志に通ずるものがあり、スポーツ庁など国家が国民の運動事情に容喙する必要など皆無だとは思うが、室伏氏個人の話は傾聴に値する。

 この中で、あまり同じ部位を鍛える同じ動きばかりしていると、一箇所を回し続けた針金のようにぽっきり折れてしまう、という話が出てくる。3月にジム通いを始めて以来筋トレしてきているが、確かに同じような動きで同じ場所にだけ刺激を与え続けるというのは、単純に飽きてくるし、長い目で見ると筋肉にも良くないだろう。同じ上腕二頭筋でも長頭と短頭があり、上腕三頭筋も長頭・外側頭・内側頭がある。別の動きによって違った部位に違った刺激を与えるということも重要で、なんといっても身体を壊さないようにするというのが一番大切なことなのだから、一つの種目にこだわり続けることがないようにしたいものである。

 筋トレをするときにインターバルを長く取るということも重要で、筋肉に緊張と弛緩を交互に十分に与えることでしっかり成長させることもできるのだが、学生時代に運動部をやっていた人ほど、インターバルや休息=悪というような図式で物事を考えているひとが多い、ということも別の人の動画の中で言われていた。
 
 これはなかなか由々しき話で、最近は有酸素運動もやりすぎないほうがいいというトレンドになってきていることとも関係がある。外であれジムであれ、汗だくになって一生懸命走っていると運動している感じが出るので誰もがそれを目指すが、近年の研究では過度な有酸素運動はコルチゾルの分泌を促し筋肉を分解させるし、走る動きは筋肉よりも腱を使うので、それほどエネルギーを消費しないことも分かってきている。

 よく汗だくになって運動らしきものをしているがたいして脂肪が落ちていない人がいる。もともと筋肉がさほどついておらず基礎代謝が低い状態で、食事もおそらく炭水化物や糖質の多いもので、無理に動くことで食欲だけが増し、運動すればするほど太るという悪循環に陥っているのである。

 脂肪を落とすためであれば、炭水化物は控えめにするが1日1食くらいは米を食べて、糖質や果糖ブドウ糖液糖は控え、鶏肉や野菜中心の食事にし、運動はウォーキングを延々やるくらいでいいはずだ。それでも痩せないのは基礎代謝が低いからで、スクワットや腕立てをやって大臀筋や大胸筋など大きな筋肉をある程度発達させれば代謝も良くなる。

 大胸筋のトレーニングは、ジムに行っているのであればベンチプレス、ダンベルベンチフライ、ケーブルクロスオーバーなどをやれば良いが、自宅での腕立て伏せもよい。腕立ての場合も、動作をゆっくりにしてみたり、曲に合わせてやるなどでさらに負荷を高めることができる。軍隊の訓練では上官の合図に合わせて上下するので、かなりきついらしい。

 筋肉や運動に関する話でも、部活など義務教育によって埋め込まれた愚かな思い込みのせいで大きな損失がもたらされている。そういうのがなければ世の中はもっと住みよいであろう。

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