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運命的な出会いとは突然訪れるもの【日記#6】

前回に続きバストロ買った話をするのだが、我ながらかなり面倒な性格をしていると思う。購入報告なんて物は、可能な限りシンプルに「いつ頃から欲しいと思っていて、何と何で迷って、何が決め手になったか」を簡潔に纏めればいい物でその経緯や購入者の心情変化などあまり面白くない。

という訳で今回は実際に試奏した楽器と、その吹奏感や購入の決め手という本来の趣旨に立ち返ってみようとおもう。


購入候補はかなり多かった

とりあえずザッと自分が欲しいと思った楽器を並べてみる

・Edwards B502-I
・Edwards B502-AR
・Edwards B545ーE
・YAMAHA YBL-835
・YAMAHA YBL-830
・S.E. Shires Brian Hecht LONE STAR
・Vincent Bach 50AF3
・B&S MS27IK

やはり強かったのはEdwardsで、自分の本職楽器であるテナートロンボーンがEdwardsであることが大きかった。B502系列への執着は前回に書いたので割愛。同モデルのアーティストであるジェームス・マーキィ氏がテナーからの転向プレーヤーであることも手伝ってか、非常に身体に合う楽器であったため最後の最後まで奇跡の1本を探し続けた。
次に候補として強かったのは実はYAMAHA。職場から徒歩5分の場所にある大型店で展示されており、試奏した時は驚いた。どの音域でも鳴りムラが少なく、ボォーーーーン……という包み込む暖かい音からベーーーーン!!!というオープンで支配的なサウンドまできっちりこなすオールラウンダー。
B454や50AF3、LONE STARはアキシャルフローバストロへの憧れとして候補に入れた感じで、実の所あまり有力ではなかった。ヴァルヴ使用時の抵抗の少なさ、それによる低音へのアプローチのしやすさは通常のロータリー楽器を凌ぐ物がある。しかしながら大型ヴァルヴの二重搭載により、重量バランスの悪さを感じてしまうため余程いい個体に出会えたら……くらいの気持ちだった。
そしてB&S MS27IK。こちらが大阪弾丸の本命であった。実の所、Willsonに出会うことがなければ買う楽器はこちらになっていた可能性が高い。入手が現実的で、実用性に優れ、そして何より見た目がカッコいい……。それ以外にも同器に搭載されているICONヴァルヴが実は結構好みの吹奏感を持っており、それも手伝って実質の最有力候補だった。

試奏、そして購入……

いざLBCに踏み入り、立ち並ぶテナートロンボーン達を尻目にバストロンボーンとにらめっこ。BachやYAMAHAをはじめ、お目当てのB&SのほかレッチェやRath、グリーンホーなど様々な楽器を値踏みしつて試奏するに到った楽器は3本。
お目当てだったB&S MS27IK、RathのROTAXモデル、そしてWillson……

ファーストインプレッッションでまずRathが候補から外れた。支柱が少ない楽器特有のフリーな吹奏感、堅実な作りから感じられる心地よい抵抗感は「いい楽器」そのものという感じだったが、自分の吹き方に楽器が合わないのかどうも不完全燃焼な音しか出すことが出来なかった。包み込むような暖かい音を吹こうとすればどこかカサついた乾きが残り、オープンで横幅の広い音にはどこかシワが残る。自分が要求する表現の仕方と、出力される音の間に何らかの解釈の不一致があったように感じられる。

MS27IKは当初の購入予定もあり、息を入れた時の感動はひとしおだった。各倍音の各ポジション、ppからffまで自由度の高い楽器の鳴りに驚いた。しかしながらこの楽器は構造上、スライドとヴァルヴのインジェクション部分からベル先までの距離がテナートロンボーンより若干遠めになっており3pos.や4pos.の感覚が狂う点が自分にとって足枷になるのではという懸念が頭に残った。

最後に試したのがWillson TA551LYB。この楽器に関しての率直な感想はただひとつ。

「最初から自分の楽器だった」

まるで数年間使った楽器かのように、自分の意思に応えて望み通りの音を出力してくれる。何故かは分からないが、吹き始めて2分と掛からずに自分の心は一気にB&SからWillsonへと傾いた。

つまりはこれからも、どうぞ宜しくね

……と、長々と語って置いたところでの結論は
「バストロ買いました!!」
で変わらない。

この先楽器を続けていく中で、本職楽器であるテナートロンボーンは時代や加齢による身体の変化、それによる音楽表現志向の変化でいくつかの楽器を乗り換えていくであろうが、副業となるユーフォニアムとバストロンボーンについては「人生後にも先にもこれ1本」の楽器を買おうと誓っていた。
まだまだ吹き始めて1週間……楽器に負けないような演奏ができるよう、心を新たに基礎練から地盤固めをしてゆきたい。

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