見出し画像

【雑記】船から落ちて思うこと

Twitterアカウント凍結から2週間が経った。
相も変わらず私のアカウントの凍結は解除されず、Twitter公式からの通達は何もなく、CEOはよく分からない謎のキャンペーンを実施している。Twitterにいるフォロワーは「凍結祭りだし辞世の句詠もうぜ」のハッシュタグを作って遊んでいるし、凍結は解除されなくとも世はこともなく回っている。

※「凍結祭りだし辞世の句読もうぜ」の詳細の記事はこちら

とはいえ、いまだに凍結が解除されていないという人は私以外にもまだまだ存在する。元からサブアカウントを作っていた人はそちらに避難しているようだけれど、私のように一つのアカウントしかないというのにそれを閉ざされたという人は気が気では無いだろう。うまく別のSNSを難民キャンプ地にしている人はまだ良いとして、それすらも出来ていない人の沈痛な思いは計り知れない。

そんな難民の元に、一つの情報が入ってきた。

くるっぷに避難している凍結難民に向けて、別のフォロワーさんが届けてくれたTwitterの情報である。なるほど、私たちの思惑とは関係の無いところで、私たちの嘆願を握りつぶしている奴がいる……らしい。だからこっちのリンクから異議申し立てをすると良いよ、と。
だがしかし、ちょっと待って欲しい。

目の前の藁

引用リツイート先は本国の公式アカウントで、異議申し立てのフォームが新しくなったことを知らせるツイートである。リンク先ももちろんTwitter公式の異議申し立てフォームなので、ここへアクセスすること自体は何も問題は無い。

だが「TwitterJPでは届けられた異議申し立てを握りつぶして本社に送信していない疑惑がある」という情報はどこから来た情報なのだろう。

どこかの週刊誌が元社員などに取材をして書いた記事や、Twitter関係者……例えばイーロン・マスクあたりがそんなことを言っていたソースがあるのならまだ分かる。でも今回の場合、発信しているのはどこの馬の骨とも分からない匿名(この場では「社会的に表に出している名前ではない」者は匿名とみなす)のアカウントだ。簡単に鵜呑みにするのは尚早と言える。

それでも引用先の情報を手に入れてしまいたくなるのは「TwitterJPという、公式側であるにも関わらずこの状況で何もしてくれない相手が、信頼できないうえにあまつさえ悪いことをしている」という情報がセットになっているからだ。凍結のせいで鬱屈とした気持ちを抱え、公式に呪詛の言葉の一つも吐きたいと思っている心境で見るこの情報は劇薬に近い。溺れる者の前に現れる藁のように、縋りたくなる力がこのツイートにはある。

ただの藁なら良いけれど

件のツイートの異議申し立てフォームのリンクは2月2日の時点で公開されている物であり、恐らくほとんどの凍結被害者は最初の1週間のうちに見ているページである。この2週間のあいだに何らかの理由によって、ネットに全く触れることが出来なかった人にとっては初見の大事な情報だが、既に情報を得ている人間からするとただの藁に等しい。
でも、ただの藁であったことがむしろ幸運だったとも言えるのではないだろうか。

世の中、心が弱った人間に付け込むビジネスは本当に多い。引用ツイートのガンが消えるパワーストーンもそうだが、あからさまにぼったくりの金額を提示してくる水道修理業者や各種グッズ・チケットの転売屋もこれに該当する。今こうして読んでいるうちは「そんなの引っかかるわけないじゃん」と思いがちだがそんなことは無い。例として過去……6年ぐらい前の自分の恥ずかしいやらかしをここに懺悔すると、刀剣乱舞の1冊目の図録が出たときに、自分が予約していた分が通販サイトの仕様でキャンセルになっていて(予約商品と現行販売商品を同時に注文すると注文完了したあとに自動キャンセルになるとかそういうのだったと思う)発売日に届かないことが発覚し、パニックになった私はあろうことかAmazonマーケットプレイスで倍の値段がついているけど2日以内には届くというものを買ってしまった。なお、きちんと頼み直せば1週間でちゃんと届くという状況でである。この時の私はかなり楽しみにしていた本が届かない事実と、みんながゲットしている中で自分だけが手に入れられていない状況が本当に嫌で耐えられなかった。だがなんとしてでも今すぐ手元に置きたくてどうにかしてしまった結果、正当な金額を付けていないぼったくりの業者……転売屋に蜜を与える形になってしまったのである。オタクとして本当にアホなことをしたと思う。
私の懺悔は単なるアホの所業だが、人間は切羽詰まると本当に何をしでかすか分からない。凍結から2週間が経ち、凍結を解除するために藁にも縋りたいという人は日に日に増えているだろう。私自身、他のSNS等に避難できていなかったら6年前の自分のように何かに縋りついてしまっているだろうというのが目に見える。

藁という名の罠

今後凍結が長引いていけば、恐らく凍結被害者を狙った藁もとい詐欺は確実に増えてくると思う。ただでさえAmazonやカード会社や銀行を騙った不届き物が毎日「登録を解除しました」だの「支払いができませんでした」だのと詐欺メールを毎日送ってよこしてくる世の中だ。冒頭に上げたツイートのような被害者を煽る内容に引き付けられて、藁にもすがる思いで記載されているリンクから飛んだらそこは巧妙に公式に似せて作られたページで、異議申し立てページと同じようにアカウント名とメールアドレスの記入欄があって、更にそこにクレカ番号を入れろだの口座番号を入れろだの、電話番号を入れろだのと出てきたら引っかかる人は一定数出てくるだろう。むしろ私が知らないだけで既にあるかもしれない。
他にも「○○万円で凍結解除を代行します」という詐欺も出てくる可能性はある。実際のところ弁護士に高いお金を払って凍結を解除してもらった話は検索すると出てくるし、最近だとカラーコーンでおなじみの有名漫画家ブロガーやしろあずきさんが、自身のブログで過去に凍結された際、国際弁護士に凍結解除を依頼した旨を載せていた。

※この国際弁護士が凍結解除の決定打になったのかは不明

本当にきちんとした、ネット問題に強い国際弁護士さんに頼む分には問題無いのだろう。だがそういうきちんとした人を探すにはそれなりの知識や日頃の人間関係から引き出せるコネが必要だ。この感覚がよく分からない人は住んでいる家の水道器具が壊れたときに安心して頼める業者をすぐに思い浮かべられるかやってみてほしい。自分で戸建ての家を建てたり、所有しているマンションの部屋のリフォームをしたことのある人ならその時にお世話になった建設会社がまず思い浮かぶだろうが、そういう経験が無い人はまず出てこないだろう。一から探すにしても、前もってきちんとした業者の条件(自治体水道局指定の水道業者が存在し、水道局のホームページで紹介されている等)を知識として得ていないとすぐにはたどり着けない。そういったものを何も持たない人の目に真っ先に入るのが、冷蔵庫に貼りがちなマグネットの広告なのである(注1)。

藁を救命胴衣に変えて

いつどうなるか分からないながらも、できることならそういうものにはなるべくなら引っかかりたくはない。であればどうするべきか。
まずは、縋る先を藁ではなく救命胴衣に変えるところからだと私は思う。病気なら適切な医療機関とカウンセラー、水道のトラブルなら水道局指定の水道業者。危なくなったときに頼る先を、心が弱る前に見つけておくのが一番だと、Twitterでつぶやく先を失ってこうしてnoteに書き散らすようになってしみじみ感じる。
合わせて、凍結が長引く今の状況はガン患者の状況にも近いと感じる。物理的に身体に異常が起きているガンの苦しさとは本来なら比べるべくもないが、いつまでこの異常が続くのか分からない不安と、その状況を見た周りの人が善意から「こうするといい、ああするといい」と情報をくれるようになるのは似ていると思う。もらえる情報が大体既に専門家の指示のもと実施済みだったり眉唾な内容だったりするのも似ている。その善意が心からの善意であることから、その情報を否定することに苦痛を感じるところも、恐らく似ているだろう。実際、その善意は心から嬉しいしありがたい。これは間違いないのだけれど、諸手を広げてその善意を受け入れられないのは、とても、つらい。

Twitterという船から落ちてインターネットの海で溺れている人間が心の救命胴衣を手に入れるのは、それなりに手間がかかる。以前の記事にも書いたが人と交流をするということは、どうしたって疲れる。でも、その疲れることを完全に放棄して変な藁を掴ませられるのは、流石に不利益が大きすぎる。せめて私の周りの人は、できればこうなってほしくはない。

逆に安全圏からインターネットの海で溺れている人を見かけた方は、自分の元にある救命胴衣という名の情報をその人に投げる前に、それが本当に救命胴衣の機能を満たしているのか今一度の確認したほうがいい。感情が先走って投げたくなってしまう気持ちは分からなくもないけど、その救命胴衣が藁以下のものである可能性も無くは無い。「投げた情報がまさかの詐欺でした」なんていう事態は真面目に避けて欲しい。

このままだと1週間後にも「まだ解除されない」と憂いた記事を書いている可能性が高いだろう。そしていつまでインターネットの海に漂い続けることになるのかは誰にも分からない。それでもちゃんとした救命胴衣を使って、可能なら救命ボートに乗り込んで、なんとかして生き延びたいと思う。


拙作を最後まで読んで頂きありがとうございます。
感想、ご意見、何か話題にしてほしいネタのリクエストなどありましたらお気軽にコメントくださると嬉しいです。



注1:ちゃんとした業者でもよっぽどの事態とお付き合いが無い限り緊急対応は難しいと思っておいて欲しい。無条件で24時間来てくれるところがぼったくりのように高いのは、その対応費も含まれているからなのだ。
まぁ、トイレのつまり解消に薬を流すだけなんて不適切な対応をしてウン万円請求してくる業者は対応が早くてもぼったくりなのだが。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?