見出し画像

【G7香川・高松都市大臣会合 Re:Earthブース出展レポート】

はじめに

2023年7月7日〜9日にかけて、G7香川・高松都市大臣会合が開催されました。

G7都市大臣会合は、カーボン・ニュートラルや都市課題を解決するためのデジタル技術の活用など、価値観を共有するG7各国との間で「持続可能な都市の発展」に関する国際的な共通理解を図る場です。

私たちEukarya(ユーカリヤ)はこのイベントへ、東京大学 大学院情報学環 渡邉英徳研究室と共同でRe:Earthブースを出展しました。

東京大学 大学院情報学環渡邉英徳研究室とその取り組みについて

今回共同出展した東京大学 大学院情報学環 渡邉英徳研究室では、ウクライナにおける史跡・文化遺産のデジタルアーカイブ「Museum of Ukrainian Victory」3Dマップを公開しています。

このプロジェクトは戦禍の影響を受けて破壊され、あるいは危機に瀕しているウクライナの史跡・文化遺産をデジタル保存する取り組みです。

フォトグラメトリによる史跡・遺産のデジタルアーカイブ化に取り組む国際NPO「Pixelated Realities」とのコラボレーションにより、現地有志の協力で収集されたデータが、3Dストーリーマップとしてまとめられています。

また現在渡邉研究室は、東京大学基金にて、「戦災・災害のデジタルアーカイブ基金」を設置し、支援を募っていらっしゃいます。

渡邉研究室のこういった取り組みは、Eukaryaの目指す「平和で、あらゆるデータが保管・可視化・活用される豊かな未来」とビジョンを共にすることから、今回各国の方々が訪れるG7香川・高松都市大臣会合へ共同で出展することを決めました。

東京大学 岡野さんが取り組む、「ハンセン病アーカイブ」

また、今回出展を決めた大きな理由のもう一つとして、東京大学教養学部2年の学生である岡野さんが、Re:Earthを用いて取り組んでいる「ハンセン病アーカイブ」の存在がありました。
※個人情報等の観点から「ハンセン病アーカイブ」アーカイブはWeb非公開となっています。

今回G7会合の会場となった香川・高松港からフェリーで約30分ほどの「大島」という島には、日本の国立ハンセン病療養所唯一の離島施設である、大島青松園が存在します。

しかし現在、回復者の皆様やそのご家族といった関係者の高齢化等もあり、ハンセン病問題にまつわる記憶や記録の保存・継承が危ぶまれています。

岡野さんは、高校生の頃から個人でハンセン病や大島の歴史等に関する聞き取りや取材を行い、Re:Earthを用いてそれをGISデジタルアーカイブとして残す活動を行なっています。
「その活動成果を、この機会に高松を訪れる各国の方にぜひ見てもらえれば」ということで、今回一緒に参加してくれました。

私たちEukaryaも、Re:Earthのノーコード性によるこれまでにない「市民自身によるGIS・デジタルアーカイブツール」としての活用の形を示すだけでなく、「平和で、あらゆるデータが保管・可視化・活用される豊かな未来」へそれぞれのやり方で働きかける東京大学渡邉研究室と岡野さんの行いに共感し、一緒に出展できることをとても誇らしいことだと考え、参加を決めました。

会場の様子

Re:Earthブースの様子

会期中は、斉藤鉄夫大臣をはじめとした日本の国交省・GIS関連だけでなく、各国大臣や大使館、都市計画や国連人間居住計画関連の方など、実に様々な立場の方が立ち寄ってくださいました。
また、どなたもRe:Earthの説明へ熱心に耳を傾けてくださっていました。

今回、出展場所の制約上ポスターとパンフレット・無音の動画ベースでしたが、かえってオーディエンスの皆様と各国の課題感やそれぞれの土地・組織特有の背景等、相互に意見を交わすことができ、非常に実りある時間となりました。

また、岡野さんの語る日本や香川・高松とハンセン病の歴史や証言についても、そのデジタルアーカイブでの表現とあいまって、人々の心に強くインパクトを残していたのが印象的でした。
実際に会場に偶然いらした高松出身の方からも、「地元なのに詳しく知らなかった、これはぜひ次の世代に伝えるべき内容だ」といったコメントが寄せられていました。

また、今回のG7香川・高松都市大臣会合では、ウクライナ侵攻および都市の破壊からの復興というテーマで議論も交わされました。
(ブースに立ち寄ってくださった大臣、官僚、大使館関係者の手にはウクライナ国旗が入ったトートバックなども……)

これら複合的な面から、都市データの利活用の先にある、「平和で、あらゆるデータが保管・可視化・活用される豊かな未来」というビジョンを今回の展示を通して、伝えることができたのではないかと思います。

最後に

EukaryaがRe:Earthで目指すのは、平和でデータが豊かに活用される未来です。

今回のG7香川・高松都市大臣会合への出展参加は、日本だけでなくG7各国や国際的組織の関係者にこのビジョンについて知ってもらい、意見をいただく素晴らしい機会となりました。

私たちは単なる都市のデータだけではなく、市民の声や安全・平和への思いなどもアーカイブし、可視化することを重要視しています。

今回の、東京大学 大学院情報学環 渡邉英徳研究室と岡野さん、そしてEukaryaによる共同でのRe:Earthブース展示は、このメッセージを強く伝えるものとなりました。

会場の窓から望む高松港と海

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?