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自然言語処理による高齢者のフレイル検知に向けた取り組み

株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部の城前です。

先日開催されたフレイル対策コンソーシアム https://frailty-prevention.org/ 
主催のイベント「産官学連携で挑む!AIやデータを活用したフレイル対策と高齢化社会の課題解決〜健康寿命を延伸し、誰もがいきいきと活躍できる社会へ〜」に、弊社がパネリストとして登壇しましたので、その模様をご報告いたします。


①フレイル対策コンソーシアムの概要

フレイル対策コンソーシアムは、「健康寿命を延伸し、誰もがいきいきと
活躍できる社会へアップグレードする」というビジョンを掲げ、「フレイルの検知」「フレイルの予防・改善」を軸に、地⽅⾃治体の⾼齢者福祉の基盤を構築することを目的に設立された団体です。

2020年には、電力データをAIで解析し要介護⼿前のフレイル状態を検知する技術を三重県の自治体におけるフィールドテストで実証することに成功しました。

現在は主に、以下3つの推進テーマを掲げた活動を行っています。

  • フレイルの予防改善モデルの構築

  • フレイルの検知拡大の検討

  • 高齢者の雇用創出

②弊社参加の経緯

弊社における研究テーマの一つに、「保有する独自の電子カルテデータベースから、フレイル状態を“検知”することができないか」というものがあります。

本来フレイルは専用の問診を行うことで診断されるものですが、それを電子カルテ内にあるテキストデータの自然言語処理により検知するとともに、フレイルに至るまでの途中経過の変化や予兆を可視化したいというものです。

それを実現するには、自社としての単独の取組みだけでなく、アカデミアや自治体・他企業との連携も検討すべきとの考えからフレイル対策コンソーシアムに接触し、ご相談する中で登壇依頼を受けるに至ったという経緯です。

③パネルディスカッション概要

パネルディスカッションは、東京大学 高齢社会総合研究機構 機構長/未来ビジョン研究センター教授の飯島勝矢先生を座長とし、東京大学発でAI関連事業を展開する株式会社JDSC 益本 佳代子様の司会のもと、

  • パナソニックホールディングス株式会社 スマートエイジングPJ 山岡 勝様

  • RIZAP株式会社 法人事業部 部長 杉原 悠治様

  • 株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部 新村 和久

の3名をパネリストとして行われました。

④弊社コメントの要旨

ディスカッションテーマ1:高齢化社会の課題解決において、どのような取組みをしているか?

弊社ユカリアは「ヘルスケアの産業化」をビジョンに掲げ、病院の経営支援から高齢者向けサービスの展開まで幅広い事業を展開しています。

その中で、データインテリジェンス事業部ではパートナー病院を中心とした病院との連携により、独自の電子カルテデータベースを構築しています。
データ提供元の病院は200床未満の中小規模が多く、かかりつけ病院として使われているため、高齢者の患者が多いという特徴があります。

そのデータベースを用いて、例えばどのような薬品が高齢者において使われやすいか、使われにくいか、高齢者にはどのような薬剤が選択肢になりうるのか、などの分析を製薬企業向けに実施しています。

また、フレイルに関するテキストデータを用いた分析にも取り組んでいます。自然言語処理により、高齢者がどのようにフレイルになっていくのか、要介護になったか否かなど、経過を定量的に分析できないか試行しています。

フレイルは保有しているデータベースに高齢者が多いという特徴から、取組みテーマとして適していると考えております。

ディスカッションテーマ2:取組みにおける、評価・分析側面での課題は?

1点目は、データベースの対象が病院の患者なので、既に病気に罹患している方が対象となっており、偏りがある点、
2点目は、病院では後期高齢者に対してフレイル診断用の問診が基本的に行われていない点です。

2点目への対策として、電子カルテ内のテキストデータを分析することでQOLを指標とした解析を試みています。
QOLの良し悪しがフレイルと結び付いているかどうかの検証は必要ですが、研究デザインはアカデミアの先生方の助言もいただきながら進めていきたいと考えています。

もし将来的に弊社の分析データとフレイルの問診データとの連結ができれば、より包括的な分析が可能になるのではないでしょうか。

また、医療経済的な観点での評価もできればと考えています。
特に「予防」の分野は効果の評価が難しいところです。介入による効果がどうだったか、医療費の削減に繋がったのかということを、エビデンスとして示すことができると理想的です。

ディスカッションテーマ3:自治体や他企業と連携しての取組みの意義や展望は?

アカデミアの先生方とは、フレイルをテキストデータ分析で評価するという弊社の試みの研究デザインにおいて連携させていただきたい。

また、自治体の方とは、弊社のデータと住民の方々のフレイル問診データをを連結する分析構想の検討にあたり、個人情報利用の同意取得などの部分で協力が必要と考えています。

弊社は医療データの分析を強みとしていますが、フレイルの検知・予防という大目的に向けて、弊社だけでは不足している部分をコンソーシアムの関係各位と連携させていただければ幸いです。

⑤本ウェビナーのアーカイブ配信視聴方法

本ウェビナーのパネルディスカッション及びその他講演等は、主催者様によりアーカイブ配信が行われています。

フレイル対策コンソーシアム公式サイトの以下ページに記載されているリンクより、無料でアーカイブ視聴の申込みが可能です。

ご関心のある方はぜひご覧ください。


ユカリアでは、
独自の電子カルテデータベースと専門家(医療従事者・アカデミア)ネットワークを強みとした、製薬企業様のマーケティング・営業活動をご支援する調査・コンサルティングを行っています。
詳細や事例にご関心のある方は、以下までお気軽にお問合せください。

株式会社ユカリア データインテリジェンス事業部
お問合せ窓口:pharma.biz@eucalia.jp


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