脳の闇 中野信子著 

読書メモ

自分や周囲の事象でなんとなく感じていたり、これでいいのかどうかモヤモヤしていた部分、ビジネススキルに関連するものまでが、脳の働きによるもので、実は生存戦略として実は自然なことであることがわかった。
結局は個々の欲求と社会性とのバランスを取るということで日々生きていくのだと理解できた。
そう考えることで客観的、メタ認知的に見れて楽にもなれる気がする。

・承認欲求
→社会生活への適応を促進することに利点があったためヒトに備わった。承認欲求を深く満たされることで心を掌握されることもある。
※感想 脳科学的には承認欲求は人間に備わった自然な欲求。でもアドラー心理学的にはほめられて行動するのではなく自ら選択し行動することが求められている。そのバランスが必要かも。

・自由を嫌う脳
→人は意思決定を誰かに委ねて責任を負わない方が脳がラクをできる。ただし自分が決めている(関わっている)という実感は欲しい。

・正義中毒
→SNSで自分と無関係な人を傷つけてしまうひとたちは正義を振りかざす快感がある。一方で自分や周囲との関係性やそれがどう影響するかの客観視、メタ認知が必要では。相手のことをどうでもいいと思える絶妙な距離感が大事。

・女の捉えられ方と振る舞い方について
→女だと意識されないように振る舞うか、女であることを利用するか、2つの方法がある。
※感想:100分で名著 金子みすゞで、女・子どもの作品とされていたという話があった。金子みすゞさんも中野信子さんも、デメリットを分かっていて(?)女性の名前で創作活動をしたり、帯に顔写真が載っていたりする。本のように顔が見えずにビジネスする場合、私なら男性の名前か、男女が分からないペンネームを使ったかもしれない。不利になる可能性があることが分かっているのに女性の名前を使うのは、プライドなのか、それとも女性が少なく目立ちやすいことを利用しているのか、なぜなんだろうか。

・集団極性化した集団の中での批判しづらさ
→みんながこっちに進むと言っている時に逆のことを言い出すと叩かれる
※感想:数ある紛争の中でウクライナだけ極端に注目され政治家も動く日本の不思議、BEV化一辺倒(?)など、ムーブメントや流行りの影響が大変大きいのは集団極性化なのか

・ポジティブの強要
→ポジティブを強要されることでむしろネガティブになる場合がある。実は抑うつ状態の人の方が複雑な問題に丁寧に向き合えるという実験結果がある
※感想:ネガティブな人を否定せず、良い部分を見て大切にしたい。

・その他感想
一定の知性のある人が本にお金を使う、知性のある人がこの本を理解できる、など、ターゲット層の承認欲求をくすぐる書き方が随所に出てくるのもこの本の内容に合っていて面白く感じた。

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