【現状不可】Etsyショップの通貨を日本円に変更する方法
Etsyショップの運営でいただくお困りごとのひとつが「商品の価格を日本円に設定はできないのですか?」という内容。
先に結論を書いておくと「現状はショップ通貨を日本円に変更できない」となります。
設定できそうなメニューはありますが、実際に操作するとできませんでした。今後可能になるかもしれませんが、執筆時点(2024年2月24日)ではできないようです。
* * *
という状況ではあるのですが… 今回は「ショップ通貨の変更方法」の画面解説をしつつも、「なぜショップ通貨を変更する必要があるのか?」という視点も含めての解説も書いてみました。
ちょっと長いのでご興味のある方は読んでみてください。また、なにかつっこみどころがあればお気軽にコメントでお知らせください。
ショップ通貨の変更画面
Etsyのショップ通貨は、開設後も変更が可能です。
まず、Etsyのショップ管理ツールにログインしたら、左側のメニューにある「ファイナンス」をクリックします。
そうすると新しく項目が表示されますので、3番目の「支払い設定」をクリックします。
すると右側の画面が切り替わるので、上部の3つのタブにある「通貨」をクリックします。
一番下にある「ショップ通貨の変更をご希望ですか?」をクリックします。
変更できる通貨がずらっと表示されます。そして、ここにしっかり「日本円」と表示されているのです。
「お!できるじゃん!」と日本円に変更しようと試みたところ、下記のような赤い表示がでてしまいました。
これが冒頭で書いた「設定できそうなメニューはあるが、実際に操作するとできなかった」という状況です。
そもそも「ショップ通貨」とは
ショップ通貨というのは、Etsyのセラーがショップの販売で受け取る売上金の「通貨」のことです。
例えば、ぼくの場合はショップ通貨を「米ドル」に設定しているので、Etsyに一旦入る売上金ーーーEtsy残高とも呼ぶようですーーーは米ドルで入るということになります。
また、ショップ通貨は出品時の価格設定にも影響します。ショップ通貨が米ドルであれば、出品時の価格設定も米ドルです。
ショップ通貨が日本円に変更できれば、出品時の価格も日本円で設定できるということです。現状不可ではありますが...
ショップ通貨と表示価格は異なる
ちょっと紛らわしいのですが、ショップ通貨とショップ上での表示価格は異なります。
ショップ通貨
→ セラーが受け取る売上金の通貨(変動しない)
ショップ上での表示価格
→ 訪問者の地域の通貨(変動する)
例えば、日本でEtsyを閲覧すると、どのショップの商品価格も日本円で表示できます。これはユーザーの利便性を高めるためのシステムです。そのほうが値段感がわかりやすいですよね。
ちなみに、Etsy公式サイト上での設定で、日本にいながら米ドル表示で商品価格を表示させることもできます。訪問者は住まいの地域の通貨しか表示できないということではないです。ここは設定でご自身でのコントロールが可能です。
売上金を受け取るまでの流れ
商品が売れるとその売上金が「Etsy残高」として一旦プールされるのですが、このときの通貨が「ショップ通貨」です。ショップ通貨を米ドル、ユーロ、ポンドと変更すると、「Etsy残高」に入る通貨がそれに応じて変わるとのこと。
Etsy残高に入った売上金は、次にどこにいくかというと「支払い口座」です。ショップセラーの居住地にある現地の銀行口座ですね。
ということで、Etsyショップの売上金を受け取る一般的な経路としては、下記となります。
商品が購入される
Etsy残高にプールされる
支払い口座に振り込まれる
ただし、日本を居住地とするセラーの場合は、ここにステップがひとつ増えます。ペイオニア口座です。
商品が購入される
Etsy残高にプールされる
ペイオニア口座に振り込まれる
支払い口座に振り込まれる
なぜ間にペイオニア口座をはさむ必要があるのか?については、さまざまな国間の事情(法律?)があるだろうとは想像します。
とにかく現状としては、一部の国(アルゼンチン、チリ、日本、ペルー、タイ、ウクライナ)にお住まいのセラーは、ペイオニア口座を利用しないと売上金を受けとれない状態です。
とはいっても、Etsyショップを日本から開設できるようになったことは喜ばしいことですね。運営に感謝です。
ショップ通貨変更のメリット
ふたつあると考えます。ひとつ目は、外貨両替手数料の節約です。ふたつ目は、出品時の価格設定のしやすさです。
1. 外貨両替手数料とは
これは、ショップ通貨と支払い口座の通貨が異なる場合にかかる手数料です。公式によると、2.5%かかるとのこと。
例えば、ショップ通貨はユーロ、支払い口座は米ドルの場合は外貨両替手数料がかかります。
商品が購入される
↓
Etsy残高にプールされる【ユーロ】
↓
(ここで2.5%の両替手数料が差し引かれる)
↓
支払い口座にふりこまれる【米ドル】
このケースでいうと、ショップ通貨を支払い口座と一緒の米ドルに変更すれば外貨両替手数料がなくなりますので、2.5%差し引かれなくなります。
日本のセラーはあまり関係ない?
これがひとつ目のメリットなのですが、日本のセラーの場合はあまり関係がない状況に見えます。というのも、ペイオニア口座を間に経由するので、ペイオニア側で両替手数料がどのみち発生するからです。
例えば、ショップ通貨を米ドルに設定している日本のセラーで考えてみましょう。
商品が購入される
↓
Etsy残高にプールされる【米ドル】
↓
売上金がペイオニア口座に振り込まれる【米ドル】
↓
(ここで両替手数料が差し引かれる)
↓
支払い口座に振り込まれる【日本円】
日本のセラーの場合は、現状ショップ通貨を日本円に設定できないので「Etsy残高」と「支払い口座」の通貨が一緒になることはありません。
これは外貨両替手数料が発生する状況ですが、それがペイオニアで発生するということでしょう。なにかしらの理由でEtsyから日本の口座に直接振り込むことができないので、ペイオニアと提携することで実現しているイメージです。
ということで日本のセラーの場合は、「ショップ通貨を日本円に変更したい」と思ったときのメリットとして「外貨両替手数料」はないのが現状だと想像しています。
2. 出品時の価格設定(為替の影響)
日本のセラーがショップ通貨を日本円に変更するときのメリットは、「出品時の価格設定のしやすさ」となります。
例えば、ショップ通貨を米ドルに設定している日本のセラーのケースで考えてみます。
「このピアスは2000円で売りたい」と思ったとき、ショップ通貨は米ドルですので、価格も米ドルでの設定です。13ドルとしましょう。「13米ドル」と設定するという形ですね。
でも、これは現在の1米ドル=150円というレートが前提です。現状のレートだと13米ドルが2000円くらいだから「13」と設定する。
例えば、円高が進んで1米ドル=130円となったとき、影響がでてきます。価格は「13米ドル」で設定しているので、日本円での価値は1690円に変わります。「2000円で売りたい」と思ったのに、いつの間にか300円も価値が変動している。
ぼくは経済に特に詳しいわけではないので、為替や価値の変動の話で深い考察はできないのですが、なにが言いたいかというと「きっちり2000円で販売したい!」と思っていても、ショップ通貨が米ドル設定だと為替の影響を受けて表示価格が変化してしまう、ということです。
常に為替の状況をチェックしながら価格を調整する必要がでてくるので、運営コストが増えてしまいます。これは送料の設定なども同じです。
ショップ通貨の日本円対応は実現するのか
これはなんともいえないですが、冒頭での変更画面の解説でしっかりと選択肢に「日本円」と表示されているところから推測すると、今後対応する可能性はあるかもしれません。
冒頭でのエラー画面で表示されたのは「残念ながら、Etsy ペイメントを利用できる通貨は限定されています。」というテキストです。要するに、日本円はEtsyペイメント(=お客さんが決済時に利用できる通貨)にはまだ対応していないという意味ですね。
現状でEtsyペイメントに対応している通貨は下記です。
そして、ショップの通貨変更時に選択肢として表示されるのにEtsyペイメントに対応していない通貨は下記でした。
・日本円
・中国元
・ハンガリーフォリント
・タイバーツ
・ブラジルレアル
・チェココルナ
・インドルピー
・新台湾ドル
・ポーランドズロチ
もしかしたら、これらの通貨は今後Etsyペイメントに対応する予定があるのかもしれません。あくまで楽観的な推測ですが…
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ということで、今回は「ショップ通貨を日本円には現状できないみたいです」の一言で終わった内容を、ふくらまして長くなってしまったnoteでした。
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ではでは〜
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