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vol.8 物語の中へ。共依存体験。 《新婚妻、放浪の旅に出る。》

そうこうしながら4月も下旬にさしかかってきた頃、Yと再び合流することになりました。
以前からYも私も「会ってみたい」と思っていた男性と葛西臨海公園で会うことになったからなのですが、なんと彼が自宅を出ると彼のスマホがネットに繋がらなくなるという珍現象が起こり(しかも2日連続)、外で連絡が取れないため結局会えずじまい。
(ならばピンポイントな待ち合わせ場所を決めるとかすればよかったのですが、なぜかそういうことはしなかった。笑)

それで結局ずっと2人で過ごしていたわけなのですが、このあたりからますます私たちは一体化し、Yの世界の中に私がずっぽりと入っていくような感じになっていきました。
もちろんそれもすべて自分で選んだことなので後悔はしていませんが、どうしてあそこまで入り込んでしまったんだろう?と、今では不思議です。

Yには、都度キャッチしている「物語」がありました。Yは「シナリオ」と表現していました。人生のシナリオ。
それは瞬間的にどんどん書き変わっていき、そしてとても神話的でした。
「まるで村上春樹の小説みたいな世界だな…」と私はずっと思いながら、Yの話を聞いていました。

具体的な内容は書きませんが、ひとつだけ。忘れもしない葛西臨海公園のマクドナルドで、唐突にYが「このままだと神隠しのように身体が消えてしまう。君がいなかったら僕は消えてしまう。」と言いました。
どうやら私はその時Yにとって「こちらの世界」とかろうじて繋がるための存在になっていたみたいです。
私は「消えるなんて、そんな!消えないで!」と必死になり、ほぼ満席のマクドナルドの店内で、いつのまにか2人で泣いていました。
ほんとうに消えてもおかしくないと思えたのです。夜の葛西臨海公園の中にすうっと消えていってしまっても、全然不思議じゃないような気がしたのです。
それで私は「私がそばにいなければ!」と思い、同じ物語の中を生きるようになっていきました。
それがどんなに「こちらの世界」の常識とかけ離れていても。

これは今感じることですが、Yの世界がどんなだったかということよりも、私が「この人は私がついていないとだめなんだ」という考えにとらわれてしまったことが問題でした。そういう共依存的な関係は、それまでにも様々な人間関係で何度も体験し、「もうやりたくない」と思っていたのですが、またやってしまった。
でも、これで最後です。もうやらない。

Yはほんとに高性能な鏡みたいな存在で、この「共依存」体験をはじめ、私の中の残留物の最後の消化!みたいな体験をたくさんさせてくれました。
自分以外の存在は常にすべて鏡だけれど、Yの鏡っぷりはすごかったです。

Yとの物語はもう少し続きます。

💫🛸ほよよ〜🛸💫